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[副 題] 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち


[会 期] 2016年1月14日(木)~3月31日(木)


[会 場] 森アーツセンターギャラリー



 あまりにも長い時間が経過し、表記展覧会の情報をどこから入手したのか思い出せない。

 ヨハネス・フェルメールの作品が見られる貴重な機会なので足を運んだことは間違いない。

 ※作品名後の()内は所蔵館、無記入は個人所蔵です



Ⅰ ハールレム、ユトレヒト、アムステルダム-オランダ往郷時代の幕開け

スタートはヘンドリック・ホルツィウス作【苦悩するキリスト】(ユトレヒト中央美術館)、描かれたキリストは泣いてはいるが、筋骨隆々たる肉体が力強く逞しい。

ヤン・ファン・ベイレルト作【マタイの召命】(カイレイネ修道院美術館、ユトレヒト)は、カラヴァッジョの有名な同タイトル作品に触発されて制作されたことは一目で分かる。

アブラハム・ブルーマールト作【ラトナとリュキア人の農民】(ユトレヒト中央美術館)は、農家の表現が印象的だった。

【モルデカイの凱旋】(レンブラントハイス美術館)の作者ピーテル・ラストマンはレンブラントの師匠、馬上のモルデカイの衣装、馬具や鞍下の表現に注目した。



続きはこちら
by nene_rui-morana | 2019-06-30 16:10 | 展覧会・美術展(東洋編) | Comments(0)

フェルメール作品リスト

 本リストは2012年≪フェルメール光の王国展≫の記事の整理用に作成しましたが、今後は逐次内容を書き換えていく予定です。
 すなわち、新たなフェルメール作品が発見されれば書き加え、逆にリスト中の作品がフェルメール作ではないと判明したら削除します。
 見た月日と場所も書きます。昔のことで思い出せないものは判明した時点で書き加えます。
 また、赤字表記の作品は未だ直接見ていないもので、いつの日か全作品が黒字になればいいなと思っています。


【マウリッツハイス美術館】*オランダ
1.デルフト眺望

2.真珠の耳飾りの少女
   2012年9月7日、11日  東京都美術館
3.ディアナとニンフたち
   2008年12月12日  東京都美術館


【アムステルダム国立美術館】*オランダ
4.牛乳を注ぐ女
    2018年11月20日  上野の森美術館
    2019年1月28日   上野の森美術館
5.青衣の女
   2012年 Bunkamura ザ・ミュージアム
6.恋文
7.小路
   2008年12月12日  東京都美術館

【ベルリン国立美術館】*ドイツ
8.真珠の首飾りの少女(真珠の首飾りの女)
    2012年8月8日  国立西洋美術館
    2018年11月20日  上野の森美術館
    2019年1月28日   上野の森美術館
9.紳士とワインを飲む女(ワイングラス)
    2018年11月20日  上野の森美術館
    2019年1月28日   上野の森美術館

【アントン・ウルリッヒ公美術館】*ドイツ
10.二人の紳士と女

【ドレスデン国立美術館】*ドイツ
11.窓辺で手紙を読む女
12.取り持ち女
    2019年1月28日   上野の森美術館


【シュテーデル美術館】*ドイツ
13.地理学者
    2011年  Bunkamura ザ・ミュージアム

【ルーブル美術館】*フランス
14.天文学者
    2015年5月  国立新美術館
15.レースを編む女
   2009年6月11日  国立西洋美術館


【ロンドン・ナショナル・ギャラリー】*イギリス
16.ヴァージナルの前に立つ女
17.ヴァージナルの前に座る女

【ケンウッドハウス】*イギリス
18.ギターを弾く女

【バッキンガム王室コレクション】*イギリス
19.音楽の稽古

【スコットランド・ナショナル・ギャラリー】*イギリス
20.マリアとマルタの家のキリスト
    2008年12月12日  東京都美術館
    2018年11月20日  上野の森美術館
    2019年1月28日   上野の森美術館


【アイルランド・ナショナル・ギャラリー】*イギリス
21.手紙を書く女と召使い(手紙を書く婦人と召使い)
    2012年 Bunkamura ザ・ミュージアム
    2018年11月20日  上野の森美術館
    2019年1月28日   上野の森美術館

【ウィーン美術史美術館】*オーストリア
22.絵画芸術
    1993年  ウィーン美術史美術館

【ワシントン・ナショナル・ギャラリー】*アメリカ
23.手紙を書く女
    2012年 Bunkamura ザ・ミュージアム
24.天秤を持つ女
25.赤い帽子の女(赤い帽子の娘)

26.フルートを持つ女


【フリック・コレクション】
27.兵士と笑う女
28.女と召使い
29.稽古の中断

【メトロポリタン美術館】*アメリカ
30.眠る女
31.水差しを持つ女
    2016年2月11日(金)  森アーツセンターギャラリー
32.窓辺でリュートを弾く女(リュートを調弦する女)
    2008年12月12日  東京都美術館
    2018年11月20日  上野の森美術館
    2019年1月28日   上野の森美術館
33.少女
34.信仰の寓意
【個人蔵】
35.聖女プラクセデス

36.ヴァージナルの前に座る若い女
   2008年12月12日  東京都美術館


【イザベラ・スチュアート・ガードナー美術館】*アメリカ
37.合奏 (1990年盗難)

by nene_rui-morana | 2019-02-08 22:16 | 2012フェルメールYEAR | Comments(0)


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[副 題] 日常を描く風俗画に見る-ヨーロッパ絵画の真髄

[見学日] 2015年5月27日(水)


[会 場] 国立新美術館

 都内および近郊でフェルメール作品が見られるとあっては、行かないわけには行かない。表記展覧会についても、告知時に直ちに足を運ぶ決心をしたが、例によって諸般がたてこみ、比較的会期が長かったにもかかわらず現地に赴けたのは、かろうじて振替休暇がとれた終了間近だった。


●プロローグⅠ 「すでに古代において...」風俗画の起源

 【シドンの彩色墓碑】でスタートする最初の章は、私が好きな古代エジプトやギリシャ、オリエントなどの展示で、人類が積み重ねてきた歳月が体感でき、俄然気持ちが高揚した。

 【雄牛と牛飼いを表したオストラコン】はラメセス王朝時代のもの、彩色された石灰岩と破片という点に注目した。

 小振りな【アンテステリア祭りの赤像式オイノコエ】は、似た作品を他所で見た記憶がある。

 【アモルを売る女】は時代が下って18世紀の作品、ブーシェを思わせるものがあった。



続きはこちら
by nene_rui-morana | 2015-10-12 15:25 | 展覧会・美術展(西洋編) | Comments(0)

≪独断的フェルメール論≫
 以下に、今回世界に散らばるフェルメール作品を一度に見て感じた独断的フェルメール論を記したいと思う。
 既述のように複数の作品の中には、部屋に始まり、衣装、調度、モデルなど、複数の共通点が見出された。描かれている人物は、上品で美しく裕福そうな人もいるが、少なくとも王侯貴族のような特権階級でも絶世の美男美女ではない。新興ブルジョワとその使用人の日常生活の一コマが切り取られている点は、日本の浮世絵とどこか似ている。
 これらから推察するに、おそらくフェルメールは、自身が理想とするアングルや採光がとれる自宅(おそらくは多くの研究者が指摘している義母の邸宅)の一室をアトリエとし、そこで自宅にあった家具や調度を用いて制作にあたったのだろう。中にはもちろんモデル指定の注文作品もあっただろうが、多くの作品のモデルは、家族や使用人・知人などフェルメールに近しい人々だったと思う。近代黎明期の写真家がある程度のコスチューム・小道具を揃えた自身のフォトスタジオでモデルを使って撮影したのと、ちょっと似ているように思った。


≪感想≫
 フェルメールファンの日本人にとって、今年はまさに理想的な年だった。複数のオリジナルの来日に続き、今回レプリカではあっても世界中のフェルメール作品を一度に見られた喜びは計り知れない。
 何回かフェルメール展に足を運び、風俗的な画風に日本の浮世絵との共通点を感じたが、本展覧会でも「フェルメールが用いた絵具は7種類で他の画家よりは少ない。」との解説を目にして、ますますその思いは強まった。
 各作品の素晴らしさについてはとても自分の拙い筆力では表現できないが、本当にフェルメール作品はいい。個人的には、激動の時代を生きる人々のたくましさ・したたかさが伝わってくる【兵士と笑う女】のような作品もいいが、やはり【窓辺で手紙を読む女】(窓に映る女性の姿の表現もたまらない)のような上品で静かな作風が好みである。また、フェルメール作品のモデルには、王侯貴族のような金銀ダンヤモンドのきらびやかな宝飾品よりは、やはり真珠が相応しいと感じた。
 二度目の訪問で【デルフト眺望】が真っ先に目に入ってきた時、いつの日か必ずマウリッツハイス美術館を訪れてこの作品を見て、あわせて何としても【真珠の耳飾りの少女】との再会を果たさねばと思った。<フリッツ・コレクション>3点はすべて気に入ったが門外不出のため、オリジナルを見るには現地に足を運ぶしかない。これらを含めて、世界各地のフェルメール作品を全て制覇するのが、今の自分の見果てぬ夢である。
 盗難にあい所在不明の【合奏】が一日も早く発見され、この目で見られることも、心より願ってやまない。

 今回も、クリアーファイルや絵葉書などを記念に購入した。
 会場までの往復の途中の地下鉄・三越前駅では、日本の道に関するパネル展が行われていて、こちらも印象に残った。

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by nene_rui-morana | 2012-11-04 15:50 | 2012フェルメールYEAR | Comments(0)

 世界各国のフェルメール作とされる絵画37点を≪リ・クリエイト≫という最新のデジタルマスタリング技術で復元し展示した表記展覧会、情報を得て以来会場に赴く日を心待ちにしていたが、不測の事態や仕事等でなかなか時間がとれないまま会期終了が迫ってきた。半ば諦めかけた時、「好評につき会期延長」と告知され、天は自分をお見捨てにならなかったと感激した。
 8月11日(土)に太田記念美術館で広重と国貞の浮世絵を見た後、地下鉄で銀座に移動し第一回目の鑑賞、この日は会場(フェルメールセンター銀座、銀座ソトコトロハス館4F)の会場内には【マリアとマルタの家のキリスト】に始まり制作年代順に作品が展示されていた。フラッシュをたかなければ館内撮影もOKだった。
 その後【真珠の耳飾りの少女】との対面も果たし、感動と興奮も冷めやらぬうちに、さらに会期が延長になったことを知る。身辺はますます慌ただしくなり、他に見たい展覧会も数多く、調整は難航したが、何としても見ずにはいられず10月21日(日)に再び会場に足を運んだ。この時は【デルフト眺望】を筆頭に所蔵館ごとの展示となっていた。
 既に対面した作品との再会、未だ対面を果たせていない作品、世界に散らばるフェルメール作品を一度に見られた喜びは計り知れない。ただし、限りなく現物に近い複製画ではあるが見たのはレプリカなので、本稿ではいつもの鑑賞感想記と多少趣向を変えてみようと思っている。
今回、居並ぶフェルメール作品を見比べて、いくつかの≪共通点≫が目についた。それを整理した後、別稿で≪独断的推論≫と感想を記したい。

*今回の作品名は、一部を除いては、別稿上記のリストの番号で記します。


1.衣装・装飾品
 すぐに気がつくのは、【8.真珠の首飾りの少女】が身に着けている黄色のサテンジャケット、同じ衣装が【23.手紙を書く女】の他、6、18、28、32の合計6品に描かれている。この衣装はおそらくフェルメールの(あるいは妻の母の)家にあり、モデルにそれらを着せて絵を制作したのだろう。この点は専門家も指摘しているそうで、このジャケットはフェルメールの遺産目録に記載されている品で、妻の持ち物だったという説もある。23のモデルは妻カタリーナとも言われる。
 26はフェルメール作品なのか長年疑問視する声も多かったそうだが、解説によると24と同じ衣装をまとっている。
 アクセサリーに関しては老眼が進んでいる自分の目ではなかなか見分けがつかないが、おそらく同じものが別個の作品に描かれているだろう。【8.真珠の耳飾りの少女】のあの真珠のイアリングを、別のモデルもつけているのかもしれない。
 細部まで入念に見ていけば、共通点はさらに見出せると思う。

2.部屋
 フェルメール作品といわれてまず頭に浮かぶのは、部屋の右側に描かれた窓とそこから差し込む光の表現、この構図の作品は【4.牛乳を注ぐ女】や【8.真珠の首飾りの少女】など十数点にのぼる。窓枠のデザインやカーテン、背後の絵画などの違いはあるが、私はこれらの作品が描かれたのは同じアトリエだろうと感じた。37の右側にもあるいは窓が存在したのかもしれない。床板も多少アレンジはされているが同一の思われるものが複数作品に描かれている(メーカーが同じだったのかもしれないが)。
 この点に関しても中村獅道氏が関想番組の中で、複数のフェルメール作品を見て同じ室内だろうとの感想を述べていた。何十年も舞台や撮影のセットに関わってきた俳優も同じ意見なのだから、この想像も多分間違っているまい。実際、9と10は窓のステンドグラスの意匠と床のデザインから同一空間であることは明らかである。
 おそらくフェルメールは、もっとも自分が好むアングルがとれる自宅(妻の実家?)の一室をアトリエとし、そこで制作にあたっていたのだろう。

3.人物
 複数のフェルメール作品のモデルの中には、同一人物ではと思われるほど容貌が似ている人物が存在する。
 特に【13.地理学者】と【14.天文学者】のモデルは、明らかに同一人物だと思う(この人物はフェルメールの遺産管財人アントリー・ファン・レーウェンフックとの説がある)。この2点に関しては、描かれた部屋、後方の箪笥、地球儀も、同一のような気がする。
 他にも、25と26、5と11と21の演奏している女性、18と19と32と33のモデルは、自分の目にはどこか似ているように映った。
 12の<取り持ち女>は、女性でありながら10の中央の男性と似ているように感じた。したたかな個性を強調するために男性をモデルに女性を描いた可能性は捨てきれないと思う。
 21の<女>は6の<召使い>を思わせる。37と【22.絵画芸術】の後姿の男性(これはフェルメール自身ともいわれている)、10と29の男性も、どこか似ているような気がした。

4.調度
 衣装やモデルと同様、画中の調度の中にも共通点を感じるものがあった。
 【8.真珠の首飾りの少女】と【22.絵画芸術】に描かれている椅子、同じく11と30及び19と32の画中の椅子、【5.青衣の女】と16の中の青い椅子、これらはそれぞれ同一のものではないかと思った。17と37に描かれているビオラもあるいは同一なのかもしれない。
 【23.手紙を書く女】と28に描かれている小箱はまぎれもなく同じものである。
 フェルメール作品にしばしば登場する豪華な絨毯も含めて、調度の類も衣装や装飾品と同様に念入りに検証すれば、より多くの共通点が発見できるかもしれない。
by nene_rui-morana | 2012-10-31 21:32 | 2012フェルメールYEAR | Comments(0)

 展示替えにない表記展覧会については、当初は二度足を運ぶつもりはなかった。しかし9月7日に会場を訪れて【真珠の耳飾りの少女】や他の至宝の数々に見入るうちに、「これは再度足を運ばずにはいられそうもない。」という思いが自分の中に俄然湧き上がってきた。
 ますます高まるその気持ちに押し切られる形で、翌週の9月11日の火曜日、再び現地に赴いた。開館延長しているという情報は事前に入手していたので、昼休みに職場近くのコンビニでチケットを購入し、仕事帰りに上野に出た。
 平日でまだ開館延長もあまり知られていないのか、前回よりはすいていて待たずに入場できた。
 この日は前回よく見られなかった作品はもとより、大部分はしょった解説文もかなり念入りに読み込んだ。

 第1章に展示されているヨーハン・ゲオルク・ツィーゼニス作【オラニエ公ヴィレム5世の肖像】は、ロープや剣の表現に注目した。
 【マウリッツハイスの景観】は、対面の写真付き案内パネルと見比べた。所蔵作品は800点ほどだというが逸品揃い、ぜひいつか自身で訪れたい美の殿堂である。

 第2章も前回は良く見られたとは言い難いので、今回はじっくりと鑑賞した。
 ヘリット・ベルクヘイデ作【狩りに向かう貴族たちのいる、ホフフェイフェル池のほとり】にはマウリッツハイスも描かれている。紋章入りの城門は現在も残っているという。

 第3章では、あらためて、レンブラントの多才ぶりに驚嘆させられた。過去の展覧会で肖像画や宗教画に深い感銘を受けてきたが、彼か描く歴史画も実に素晴らしい。【スザンナ】ではレースのタオル?や傍らの衣服が印象的だった。【シメオンの賛歌】は前回混雑のため良く見えなかったので、本日は心ゆくまで見入った。後ろ向きの預言者アンナの衣装の表現なども、本当に素晴らしいと感じた。そばに展示されたアーレント・デ・ヘンデルの同名の作品とじっくり見比べた。

 注目の第4章、上層階へ移動する間から興奮で胸が騒いだ。
【真珠の耳飾りの少女】は、まずは列に並ばず人垣の間から見た。前回より人数は少ないがそれでも多くの人が熱心に見入っていてなかなかどかない。本当にこの作品はいくら見ても見飽きるということがない。座ったり、背伸びをしたりと、様々な角度からじっくりと鑑賞した。あらためて感じたが背景の黒も実にいい。モデルの少女は、多くのオランダ絵画に描かれた富裕層や貴族のような、絢爛豪華な衣装も装飾品も身に着けていない。耳飾りは非常に大きいが、こちらも模造品説やデフォルメ説がある。しかしこの絵画が放つ輝きは他の追従を許さないものがある。

 このコーナーの人物画は特に心に残ったので、【真珠の耳飾りの少女】以外の作品も念入りに見た。
 特に気に入ったアンソニー・ヴァン・ダイクの【アンナ・ウェイクの肖像】【ペーテル・ステーフェンスの肖像】は、壁にかけられた紋章入り盾形飾りまでじっくりと鑑賞した。モデルの風格、そのステイタスの高さを表す見事な衣装と装飾品、今回でますますヴァン・ダイクという画家が好きになりそうな気がする。
 フランス・ハルスの【アレッタ・ハーネマンスの肖像】は妊婦のような体型をしているが、これは当時流行したファージンケールという下着のためだという。この作品も、豪華な衣装の精緻な表現に驚嘆させられた。
 レンブラント作品を数多く見られたのは今回の大きな喜び、【羽根飾りのある帽子をかぶる男のトローニー】は角形の耳飾りをつけている。甲冑の一部を模した首あての表現は絶品、模写作品ではあるが【首あてをつけたレンブラントの自画像】にも似た描写がみられ、レンブラントの輝く金属の表現は他の追従を許さない。
 
 この日は閉館ぎりぎりまで、複数のフロアーを何度も往復し、限られた時間を最大限に生かすべく、繰り返し作品を鑑賞した。時間が経過するに従って人影は少なくなり、至宝の数々を至近距離で落ち着いて見ることができ、この日の訪問は大正解だったと天に感謝した。
 閉館直前には【真珠の耳飾りの少女の前に陣取り、最前列で3回鑑賞、後ろの列で費やした時間は計り知れない。
 後ろ髪を引かれる思いで展示室を出た後、ショップでミッフィーのぬいぐるみなどのグッズを購入し、復元された衣装を身に着けたマネキンを記念撮影した。


 この度の【真珠の耳飾りの少女】との対面は、間違いなく自分の中に新たな一頁を刻んだようと感じている。作品の素晴らしさについては他のブログ等で多くの方が書かれているので、自分の拙い文章力ではあらためて記すまでもない。できればもう少し早く、この作品と対面したかった。私は以前ウィーンの美術史美術館や国内他館の美術展でフェルメール作品に対面しているが、今日ほどは印象に残らなかった。もっと以前にこの作品を知ってフェルメールの魅力に目覚めていれば、より深い鑑賞ができたろうにと少々残念に思っている。
 本展覧会で、フェルメール、オランダ、共に自分の中での地位は著しく飛躍した。考えてみれば、第二次世界大戦に不幸な一時期はあったが、江戸時代オランダは日本が直接交渉を持った数少ない外国の一つで、それだけ日本との歴史的な関わりは長く深かったわけである。フェルメールの【地理学者】は[ヤポンス・ロック]と呼ばれる着物の模造品をまとい、【真珠の耳飾りの少女】の衣装も日本風との指摘がある。レンブラントも日本の和紙を好んで版画作品に用いていた。ゴッホが浮世絵に傾倒していたことはよく知られている。
 これらを念頭に本展覧会を鑑賞して、私個人は展示作品の中に日本との共通点を感じた。描かれた対象の中に王侯貴族ではない新興ブルジョアや庶民および彼らの日常生活が多数みられることなどは日本の浮世絵と相通じるものがある。作品を見ているうちに、江戸時代にわずかながらもオランダの絵画は日本にもたらされ、芸術に関しては並々ならぬ感覚を持っていた絵師の感性を刺激し、多くの浮世絵の傑作を生む原動力となり、時代を経て再びオランダのゴッホへと戻ったのではないかという勝手な想像をかきたてられた。
 何はともあれ、オランダは俄然、自身で訪れたい国の筆頭格に躍り出た。マウリッツハイス美術館はボルゲーゼ美術館同様に規模は大きくはないが、コレクションの内容は世界に誇るものがある。ルーブルやウフィッツィのような大美術館も素晴らしいが、中小規模の美術館で名作の数々をじっくり見ながら過ごすのもまた格別の味わいがあると思う。今の自分には海外渡航は夢のまた夢だが、いつの日かぜひオランダを訪れたい。マウリッツハイスでの【真珠の耳飾りの少女】との再会をはじめ、ライデンのシーボルトコレクション、アムステルダムやデルフト訪問などに、夢を託したい。
by nene_rui-morana | 2012-10-14 14:30 | 2012フェルメールYEAR | Comments(0)

第4章 肖像画と[トローニー] ②
 先の≪ベルリン国立美術館展≫同様、本展覧会の主役以外も逸品揃いだった。特に第4章は心に残る素晴らしい作品が目白押しで得た感激も並々ならぬものがあった。過去にレンブラントやフェルメールの別の展覧会でオランダやフランドルの人物画に大きな感銘を受けてきたが、今回でますます深く魅了された。
 最近注目しているアンソニー・ヴァン・ダイク作品は【アンナ・ウェイクの肖像】【ペーテル・ステーフェンスの肖像】の二点が出品、両名は夫婦である。今回もモデルがそこに立っているような写実美に驚嘆させられた。豪華な衣装、モデルの個性、本展覧会で最も気に入った作品で、何度も繰り返し見入った。
 フランツ・ハルスの可愛らしい【笑う少年】はモノグラム、素早く勢いのある筆使いで生き生きと描かれている。一方で、同じ頃に描かれた【ヤーコブ・オリーカンの肖像】は手の血管まで入念に描写、隣の妻【アレッタ・ハーネマンスの肖像】と共に豪華な衣装や装飾品にも目を奪われた。
居並ぶレンブラント作品はまさに絶叫もの、亡くなる前年の【自画像】はそばの【首あてをつけたレンブラントの自画像】(工房による模写、20代の姿)と見比べた。
ペーテル・パウル・ルーベンス作【ミハエル・オフォヴィウスの肖像】はさすがに巨匠の作品らしくひときわ強いオーラを放っていた。説教をする老聖職者の、静かな風貌ながら強い意志を秘めた個性が感じられた。


第5章 静物画
 このジャンルの絵画も大変魅力的、ブリューゲル(父)以外は初めて聞く画家だが、どの作品も心に残った。


第6章 風俗画
 風俗画が人物画と並んでオランダ絵画の中では最も魅力を感じるジャンル、今回もお馴染みの画家の逸品の数々に心躍った。
ヘラルト・テル・ボルフ作【手紙を書く女】は一目でフェルメールが影響を受けたことが分かる作品、描かれた当時フェルメールは23歳だった。
 ヘリット・ファン・ホントホルスト作【ヴァイオリン弾き】は上半身をはだけた女性楽師を描いたもの、この時代の女性演奏家の存在を初めて認知した。どこか艶めかしい描写、色使いなどに、解説文にあるとおりカラヴァッジョの影響が感じられる。
 ピーテル・デ・ホーホはフェルメールと競った画家、【デルフトの中庭】はフェルメール作品を思い出しながら石畳などに特に注目した。
 ラストを飾るヤン・ステーン作【親に倣って子も歌う】はタイトルのとおり、多分に諷刺的要素を含んだ作品だった。


≪感想≫
 長年憧れ続けてきた【真珠の耳飾りの少女】との感動の対面、他の作品も素晴らしく、今思い出しても興奮で胸がいっぱいになる。各作品については毎度のことながら「自身の目で見ていただかなければ、拙い文章力で到底表現できない、」としか記せない。【真珠の耳飾りの少女】は文句なしにこれまで見たフェルメール作品の中ではNo.1、同時に本展覧会で、フェルメールという画家もオランダ絵画も、自分の中に新たな地位を確立した。今後新たな作品に触れる度に、その地位はますます不動のものとなるだろう。
 いつものように一度見た後も、第4章を中心に心に残った作品を繰り返し見直した。本当はもっと長く滞在したかったのだが、午後は仕事があるので、正午の時報が知らされた時点で後ろ髪を引かれる思いで展示室をあとにした。
 ミュージアムショップで手葉書やマグネット、クリアーファイルなどの記念グッズを慌ただしく購入、図録も欲しかったがいつかマウリッツハイス美術館を訪れて館内で購入する夢に託して、今回は見送った。
by nene_rui-morana | 2012-10-08 14:41 | 2012フェルメールYEAR | Comments(0)

[副 題] オランダ・フランドル絵画の至宝

[見学日] 2012年9月7日(金)

[会 場] 東京都美術館


 昨年上野の博物館を訪れた時、東京都美術館のリニューアル記念となる表記展覧会のチラシをゲットした時は、心の中で万歳した。【真珠の耳飾りの少女】に東京で会える、その日が待ち遠しくてならなかった。当日は休暇をとり、降り注ぐ蝉しぐれを浴びながら会場へと向かった。国立西洋美術館ではまだ≪ベルリン博物館展≫が開催されていた。30数点しか現存しないフェルメール作品の3点までが上野の地にある、美術ファンにとってまさに涙ものである。
 実は8月15日に一度会場に足を運んだのだがこの日はシルバーデイとあり長蛇の列、炎天下を一時間近く待ち疲れ切った状態で作品に対面しても感動が薄れるだろうと判断し、チケットだけ購入して別の展覧会に切り替えた経緯がある。
 9月に入り夏休みも終わったので少しは空いただろうと思っていたが、予想に反して前回ほどではなかったがかなり混んでいた。しかし会期終了も迫りもうやり直せない。30分ほど待った後に入場、途中列近くの方に場所とりをお願いして手荷物をロッカーに預けることもできた。
 今回の出品作品リストは小冊子型だった。


第1章 美術館の誕生
 案内パネルを読んで最初に目に入ったのは、ナッサウ=ジーゲン伯ことヨーハン・マウリッツ卿の胸像(模刻)、その名が示すようにこの美術館は元来はマウリッツ邸だった。イタリアのボルゲーゼ美術館との共通点を感じた。
 他には、かつての邸の景観を描いた絵画や説明パネルなどが展示されていた。


第2章 風景画
 このコーナーでは、時空を超えて欧州旅行を堪能する思いがした。過去にも複数のオランダ・フランドルの美術展に足を運び、彼の国の風景画には魅了されてきたが、今回も珠玉の作品の数々に心洗われた。日本人の私には、国や時代こそ違え、広重の浮世絵との共通点も感じられる。
 特に心に残ったのは黄金色に輝く光景を描いた【イタリア風の風景】(ヤン・ポト作)、時刻は早朝だろうか、それとも夕刻だろうか、見た瞬間は後者のように思えた。


第3章 歴史画(物語画)
 このコーナーには日本人にもお馴染みの画家が登場し、ますます見応えのある内容となっていった。
 【四季の精から贈り物を受け取るケレスと、それを取り巻く果実の花輪】は、ヤン・ブリューゲル(父)とヘンドリック・ファン・バーレンが各々の得意ジャンルを描いたコラボ作品、当時はこの手法の作品が多く制作されたという。直前に広重と国貞のコラボ浮世絵を見ていたので、感じるものがあった。
 【シメオンの賛歌】はシメオンのきらびやかな衣装が強烈なインパクトを感じさせる。レンブラントの独壇場である光と影のコントラストに関しては言うべき言葉が見当たらない。
フェルメールの【ディアナとニンフたち】は若き日の作品、以前見た【マルタとマリアの家のキリスト】と画風が似ているように思った。今回、同時に二作のフェルメール作品を見られる喜びは計り知れない。

第4章 肖像画と[トローニー] ①
 いよいよあの有名な少女と、感動の対面となる。いつともなくその存在を知ってから、テレビ番組や美術書・複製画などで無数に接してはきたものの、本物を見るのはもちろん今回が初めて、歩きながら最前列で見られるのはほんの数秒、しかし長蛇の列となっていた。当然ながら私も、傍らのテレビでリレー放映されている関連映像を見た後、列の最後尾に並んだ。約20分の間、歩きながら双眼鏡で、人垣の間をぬって夢中で見入った。遠目からでも真珠の輝きがはっきりと見てとれた。
 この章の表題にあるように、この作品は[肖像画(ポートレート)]ではなく[トローニー]に分類される。今回初めて知った名称だが、不特定の人物の胸から上を描いた習作とのこと、レンブラントなど他の多くの画家も手掛けているが当時の美術評論家からはさほど評価されなかったという(このあたりも庶民の日常生活にありふれていた日本の浮世絵と相通じるものを感じる)。
 そしていよいよ、長年憧れ続けてきた【真珠の耳飾りの少女】と間近での対面となる。鼻やほほ・首筋あたりの微妙な影、別名【青いターバンの少女】の由来ともなったラピスラズリをふんだんに使ったターバンやこの作品の大きな特徴の一つとなっている黄色の衣装の表現も絶妙である。半ば開かれた濡れた唇とそこに一点描かれた白の点、つややかな肌、等等、この作品と直に向き合って得た興奮と感動は、事前の予想をはるかに上回った。最前列で見た後も後方に回り、場所や角度を変え、しばしの間夢中で見とれた。
 現在私は、公私にわたって過酷な現実にさいなまれており、この日は特に苦しい状態で会場に赴いた。それだけにこの作品から得た感動もひとかたならぬものがあり、見ているうちに目頭が熱くなった。ポーランド映画界の巨匠アンジェイ・ワイダ監督は、対独レジスタンス運動に身を投じていた若き日、偶然目にした葛飾北斎の浮世絵に大きな感銘を受け力を与えられたと回想している。第二次世界大戦下に生きたワイダ監督と現在の自分とでは苦しみ悲しみは比較にならないが、ワイダ青年が北斎の青に勇気づけられたように、私もフェルメールのブルーに束の間癒されたような気がした。
by nene_rui-morana | 2012-10-06 15:37 | 2012フェルメールYEAR | Comments(0)

●第四章 17世紀:絵画の黄金時代 ②
 第四章には、フェルメール以外にも素晴らしい作品が展示されていた。
 レンブラントの【ミネルヴァ】も本展覧会の目玉作品の一つ、近くで見るとラフなタッチだが離れると写実的な描写に感嘆させられるのかレンブラントの特徴、この作品のロープの縁の表現もその典型である。光と影のコントラストに関してはあらためて述べるまでもない。描かれているミネルヴァに、他例のある最初の妻サスキアの面影が感じられるように思った。
 【黄金の兜の男】はかつてはレンブラント作とされ、現在ではレンブラント派の作品説で定まっているが、時代を代表する逸品であることは間違いない。肉厚な兜の表現は見事というしかない。
 【シカ狩り】(イグナーツ・エルハーフェン作)は、小さめながら緻密な表現に感嘆させられた。


●第五章 18世紀:啓蒙の時代へ
 市民革命の時代への移行は、芸術にも大きな影響を及ぼしたと、このコーナーの作品から実感した。
 知っている作者はいなかったが、ジョゼフ・シナール作【ジュリエット・レカミエ夫人の胸像】のモデルは当時の社交界屈指の美人、肖像画も何点か残っており美術関連書で見たことがある。今は亡き母校のフランス史の先生が、このレカミエ夫人の肖像について新聞でコラムも書かれていた。それなりに人世経験と年齢を重ねた今、フランス史についても学生時代とは違った視点で先生とお話しをしたかったが、それが叶わないのが残念でならない。本日の彫像はうつむきかげんで、豊かな胸に手をあてていた。
 【陽気な人々】(ヨハン・ゲオルク・プラッツァー作)は、タイトルのとおりマンガチックで楽しい作品だった。
 本日はまた、当館のコレクションの中から【村祭(ケルメス)】と【シャンボール城:九月】が特別出展されていた。こちらも壮麗で見応えがあった。


Ⅱ部 素描
●第六章 魅惑のイタリア・ルネサンス素描
 このタイトルは自分の理想そのもの、フェルメール、レンブラント、デューラーと並び、このコーナーの展示も自分にとっては涙ものだった。
 展示室中央に飾られていたのはサンドロ・ボッティチェッリの作品二点、【愛の原理を説くウェルギリウス(第17歌)】と【地上の楽園、ダンテの罪の告白、ヴェールを脱ぐベアトリーチェ(第31歌)】、いずれもダンテの≪神曲≫「煉獄篇」の挿絵素描である。【春】や【ヴィーナスの誕生】とは全く趣向の違う作品だが、羽根のついたライオンや牛・多くの人物などが多彩に描かれ、自分自身もこのジャンルの作品は好きなので、何度も繰り返し見入った。その素描の特定部分をモチーフに、ボッティチェッリは何かしらの作品を描いていたのだろうか。それはサヴォナローラの神権政治(これを宗教改革の先駆とみなす説もある、今回ルターの肖像画も出展されていた)の時に彼自身の手で焼き捨てられたのだろうか。
 【装飾大文字R】(アントリオ・ダ・モンツァ作)と【装飾図案】(ニコレット・ダ・モデナ作)も私好みの作品、他例が少ない貴重な展示だった。
ミケランジェロ・ブオナローティ作【聖家族のための習作】は、多様で複雑な筆線やハッチング、クロスハッチングなど初期の彼の作品の特徴が見られる。ミケランジェロ作品との遭遇も本日の大きなサプライズだった。
 他ではフィリッピーリ・リッピの【衣紋習作】などが特に心に残った。


≪感想≫
 本展覧会の主役はもちろんフェルメール、予想にたがわぬ素晴らしさで感激もひとしおだった。
 一方で、フェルメール以外の作品も美術史上に不滅の輝きを放つ逸品が集結し、実に見応えのある展覧会だったと実感した。母国ドイツはもちろん、オランダ、イタリア、その他多くの国の芸術家の作品が一堂に会し、感動に胸をふるわせながら何度も繰り返し見直した。あらためて、欧州の大美術館の底力・醍醐味をこの身で感じる思いがした。
 ベルリンは古の昔に訪れた思い出の町、それ以前にも一度ドイツを旅し、この国が大好きになった。本展覧会で作品を見ながら、訪問時の数々の記憶が甦り、懐かしさで胸が一杯になった。一方で、ベルリン国立美術館には足を運んでいなかったので、今回東京で珠玉の作品の数々を見られて本当に嬉しかった。
 今回でますます、フェルメールに、それ以外の芸術家に、魅せられるようになった。現在の自分にはヨーロッパを訪れることは夢のまた夢だが、いつかぜひ彼の地で直に芸術に触れられることを望んでやまない。

 帰りがけに、絵葉書などを記念に購入した。
 
by nene_rui-morana | 2012-09-29 22:52 | 2012フェルメールYEAR | Comments(0)

f0148563_2042577.jpg[見学日] 2012年8月8日(水)

[会 場] 国立西洋美術館


 自分にとっては2012年フェルメール展第二弾となる表記展覧会、情報を得て以来楽しみにしていた。
 連日酷暑が続く中、曇りで多少暑さがやわらぐと天気予報で聞いた8月8日に夏季休暇をとり、会場に足を運んだ。10時少し前に上野に到着すると、上野の森美術館で開催中の≪ツタンカーメン展≫(こちらもぜひ見学したい)は既に一時間待ちとのことで少々不安になったが、国立西洋美術館の方は待たずに入館することができた。


 エントランスホールには、これから見る作品の写真も掲載されたベルリン市内のパネル地図が展示されていた。ペルガモン、ボーデ、等等、1994年の訪問の記憶と重ねながら懐かしく見た。リレー放映されているミニ番組を見て予習した後、会場へと入る。


Ⅰ部 絵画/彫刻
●第一章 15世紀:宗教と日常生活
 スタートはルーカ・デッラ・ロッビアの【聖母子】、その後も宗教画が続く。
 【聖母子とふたりのケルビム】(ドナテッロの工房)は、幼児イエスと背景の天使?のレリーフが印象的だった。アンドレア・デッラ・ロッビアの【聖母子、通称アレッツォの聖母】はリースのような円形のカラーフレーム作品だった。優美で美しい【聖母子と聖ヒエロニムス】(ベルナルディーノ・ピントゥリッキオ作)には思わず口元がほころんだ。
 本日は過去に多くの絵画作品を見てきた主題の、絵画以外の宗教作品に出会えた。【受胎告知】の彫刻を見るのが本日のハンス・ヴィディツの作品が初めて、聖ガブリエルや百合の花の表現が印象的だった。【懺悔の聖ヒエロニムス】のブロンズ鍍金のレリーフも同様、トレードのライオンと髑髏も見られるこの作品は北イタリアの彫刻家の作だという。他の聖ヒエロニムス彫刻複数の他に、ライン川流域の工房で制作されたといわれる【最後の晩餐】もあった。
 

●第二章 15-16世紀:魅惑の肖像画
 日本人に親しまれ個人的にも好きなジャンルの作品が揃ったコーナー、感激に胸を躍らせながら念入りに鑑賞した。本日の主役は後述のフェルメールだが、地元ドイツやイタリアで制作された素晴らしい作品群も多数来日?しており、国際色豊かなヨーロッパ美術館の真髄を堪能できた。
 【コジモ・デ・メディチの肖像】は記憶に残るアンドレア・デル・ヴェロッキオの工房で制作されたもの、イタリア名物のカメオを大型にしたような作品で、商人だった自家を事実上のフィレンツェ公主にのし上げる礎を築いた稀代の人物の老練な個性を見事に表現している。トスカーナの彫刻家による【女性の肖像】も心に残った。
 【マルティン・ルターの肖像】(ルーカス・クラーナハ(父)の工房)も登場、歴史の教科書や研究書ですっかりお馴染みの顔だが、じっくり見つめると、個性的な風貌・帽子から少し出た髪・衣装、その他細部に至るまで、さほど大きくない画面に実にリアルに表現されていて、息を呑んだ。歴史・宗教の両分野で人類歴史史上特筆に値する大人物がそこにいるようで、ルターの意志の強さまで伝わってくるように感じた。
 髑髏を手にした【商人バルトロメウス・ヴェルザー(?)の肖像】は、制作されたといわれるアウグスブルクの町を取材したテレビ番組を見た直後だったため、背景の町並みにも注目した。自分もロマンチック街道を旅した時にこの町のホテルに一泊した。
 アルブレヒト・デューラー作【ヤーコブ・ムッフェルの肖像】は特に嬉しかった作品の一つ、同い年の友人を描いたもので、風格ある貴族の容貌と身体・衣装の布地・毛皮まで、完璧に表現されたデューラーらしい作品、あのモノグラムも見られた。この日は何度もこの作品の前に引き返して繰り返し眺めた。
 本日の他コーナーの作品も含めて聖ヒエロニムスは老人として描かれてることが多いが、オランダの画家による【ノールドウェイクの聖ヒエロニムス】は壮年期の男性の姿で描かれていた。


●第三章 16世紀:マニエリスムの身体
 第二章の同じ部屋に設けられた本コーナーにも心に残る展示がされていた。ルーカス・クラーナハ(父)の【ルクレティア】は小さな作品だがモデルの個性的な風貌を見事に描いている。作者の他の作品を過去に見ているらしく、その作風に記憶がある。
 他では小ぶりながら念入りに作られた【幼いヘラクレスと蛇】(フランシスコ・ファネッリ作)が心に残った。
 【ラオコーンとその息子たち】はローマ滞在が懐かしく思い出された。作者は16世紀にヤコボ・サンソヴィーノに帰属した彫刻家といわれる。


●第四章 17世紀:絵画の黄金時代 ①
 タイトルが示すように、本章はこの度の展覧会のクライマックス、興奮も最高潮に達した。【3人の音楽家】(ディエゴ・ベラスケス作)、【難破する聖パウロのいる風景】(ピーテル・パウル・ルーベンス作)、等等、次々と登場する巨匠の作品、一度にこれだけの名品を見られる喜びは計り知れない。

 いよいよ本日の主役、ヨハネス・フェルメール作【真珠の首飾りの少女】と、感動の対面となる。
 想像していたより小ぶりの作品だが、輝かしいオーラにあふれている。左の窓から差し込む光とそれに揺らめく豪華なサテンの上着、輝く真珠、一心に鏡に映る自分の姿に見入る少女の表情、無造作に置かれたテーブルクロス、テーブル上の中国陶器(当時のオランダの国状が感じられる)、バックの白壁、椅子の鋲までも忘れ難い印象を残す。今回も「作品の素晴らしさは自分の拙い文章では到底表現できない。ご自身で確かめていただきたい。」としか記せない。初来日というこの作品と対面することができて、本当に幸せだと実感した。
 
by nene_rui-morana | 2012-09-25 21:25 | 2012フェルメールYEAR | Comments(0)