2023年 12月 29日
令和5年の季節の便り(秋の江戸川公園)
2023年 12月 27日
令和5年の季節の便り(上野の彼岸花)
2023年 12月 25日
大田南畝の世界 エピローグ
〖感想&エピローグ〗
近年とみに魅せられている大田南畝、江戸時代を、ひいては日本の歴史と文芸を代表する、この大文化人を回顧する大規模な企画展を鑑賞できた感激は計り知れず、遅ればせながら本稿を執筆している間も興奮で胸が震えた。
居並ぶ展示の数々を見て、あらためて南畝の業績の偉大さと奥深さに脱帽した。多くの業績と記録をし残してくれたことに、歴史と文芸を心から愛する者として、心より感謝している。
特に自分が驚嘆するのは南畝の人脈の広さ、高校日本史の教科書に載るような同時代の文化人のほとんどを網羅している。彼らの中には、南畝と関わりを持ったからこそ歴史に名を残せた人物もいるだろう。
大文化人に対して恐れ多いが、南畝が関心を抱いた分野も、心に残った事項は記録しておきたく好きなものは収集したく些細な物もとっておきたい性格も、自分と共通している。
心底魅せられ、大いなる関心を抱いているとはいえ、自分は大田南畝についてはまだまだ初心者、今後は本展覧会の図録を参考に自分なりに研究を進めていきたい。関連書籍を読むほか、国立国会図書館のサイト等で出展作品の展示以外の頁も閲覧しようと思っている。最近スマホを機種変更したこともあり、かねてから注目していた古文書解読アプリのインストゥールも検討している。本展覧会に所蔵史料を多数出展した大妻女子大学や法政大学で南畝関連の講座等が実施されるなら、ぜひ聴講したい。
会期が終了してから、本展覧会や南畝に関連する体験等を複数、重ねることができた。
ざっくりだが、南畝及び彼と縁が深い立川焉馬らについて書かれた書籍に目を通した。南畝の子孫は明治末期まで存在が確認できて永井荷風と交流があった人もいたそうだが、現在の本念寺の墓は無縁になっているという。
蘭奢待に関するテレビ番組が放映され、江戸時代の知識人はこの名香木について知っていたことを確認した。
太田記念美術館と新宿区立新宿歴史博物館では過去に南畝に関する企画展が開催されたが、いずれも見ることはできなかった。図録も既に品切れとなっているが、こちらは幸いにもネットを通じて入手できた。
南畝に関するエピローグは今後も逐次、アップしていきたいと思う。
2023年 12月 22日
大田南畝の世界 後期2
Ⅳ 歴史・地理を考証する.
本章の展示も、自分の趣向に合致する内容が多く、作品中に散見されるビッグネームの面々にも感動・興奮した。あわせて、これらの業績を残してくれた南畝に対する感謝の気持ちが高まった。
【群芳社賞奇】(西尾市岩瀬文庫)は文化7(1810)年に開催された古物珍物会の南畝直筆出品記録、会場となった「鑑月亭」は書物奉行・近藤重蔵の邸宅、高校の日本史では蝦夷地探検家として紹介される近藤だが、書物愛好家としての一面もあり南畝と交流があった。本書には市河寛斎や杉田玄白らの名も見られる。
【浮世絵類考】(東京都立中央図書館特別文庫室)は今回初めて知ったが、浮世絵師の伝記についての最重要の基礎資料として不動の地位にあるという。自分を含めた現代の浮世絵ファンは、本作に大いなる恩恵を受けていることになる。
【大田南畝書簡(式亭三馬宛)】(青裳堂書店)はタイトルを見ただけで心踊る、自分にとっては魅力あふれる展示、当代を代表する大文化人の親しい交友が体感できる魅力あふれる史料である。
「杏花園」と摺られた罫紙に書かれた【浄瑠璃雋】(西尾市岩瀬文庫)は、近松門左衛門らの浄瑠璃のさわりを抜粋した南畝自筆本、あらためて、南畝の好奇心の広さに驚嘆させられる。
【高田雲雀 同拾遺】は江戸西郊の地名を、【元宝正亨町触】(西尾市岩瀬文庫)は江戸の町触について、それぞれ記された瀬名貞雄蔵本を写したものと言われる。
【吉原丸鑑】(西尾市岩瀬文庫)は吉原遊女評判記の合綴、長年かけて全6巻を入手した喜びも記されている。ネットオークションがなかった時代より今日まで、自分も同じ経験を何度かしているので、この文を記した南畝の気持ちは良く理解できる。
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2023年 12月 19日
大田南畝の世界 後期1
[副 題]没後200年 江戸の知の巨人
[見学日]2023年6月17日(土)
[会 場]たばこと塩の博物館
最近とみに魅せられている江戸の大文化人・大田南畝、彼を回顧する大規模な展覧会が今年都内で開催されたのは、自分にとっては大きな喜びだった。
会期と展示の情報を得た時点で、迷わず全展示を見るため複数回足を運ぶ決意をした。今回が3回目の鑑賞となるが、展覧会オタクの自分でも3回は珍しい。
Ⅰ 南畝の文芸
前期に続きスタートの章では、漢詩や文集・狂詩・掛け軸などの展示を堪能した。
デビュー作【寝惚先生文集】(個人)は、後述のたばこ屋・平秩東作の助力により世に出たという。
家宝の披露会にかこつけて日用品等に偽の由緒をこじつける「宝合」については、本展覧会の展示と解説で関心を寄せるようになった。図録の出版にはこの時代ならではのブラックユーモアが感じられる。
面白く鑑賞した【たから合の記録】(青裳堂書店)は安永3(1774)年の宝合会の狂文集で、塙保己一が水母散人の名で序を寄せている。
タイトルの下にロゴらしきものが確認できる【狂文宝合記】(東京大学総合図書館)も楽しく見た。山東京伝や北尾政美らと夢の競演をしている。
【報条(天明の宝合開催)】(青裳堂書店)はタイトルのとおり、天明3(1783)年に両国の料理屋で開催された狂宝合のチラン、窪俊満が世話役をしている。
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