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第59回正倉院展

 11月11日(土)、近鉄奈良駅より徒歩で会場の国立博物館へ向かう。午前8時40分過ぎに到着すると、まだ開館前なのに既に長蛇の列、辟易としながら最後尾に並ぶ。
 並び始めて約40分、入口近くにさしかかると、テーブル上に本企画展の特集を掲載した読売新聞と出陳宝物リストが置かれていたのでそれを取る。午前9時25分、ようやく入館、2Fに上がると、今回の会場は2部屋に分かれており、まずは第一会場に入る。かなり混雑していたので、多少順番を崩して比較的すいている展示から見ていった。こういう時は、164センチの自分の身長がけっこうありがたい。

1.聖武天皇遺愛の宝物
 今年はろうけつ染めの屏風や蝋蜜、敷物などか出陳、屏風に描かれた動物の姿が印象の残った。

2.楽器・遊戯具
 天平時代の楽舞や遊戯を伝える品々。
 多くの人垣で混雑している一角があり、隙間から覗くとそこに展示されていたのは「墨絵弾弓」、今回特に心に残った逸品である。唐の時代の民間芸能「散学」が墨で巧みに描かれている。当時の文化がよく分かり興味をそそられる。このサイズでここまで器用に描いた絵師の力量にはひたすら脱帽。後ほど、少しすいた時を見計らって再び一列目でしげしげと見た。

3.文房具
 目玉は、宝庫で唯一の硯である「青斑石硯」、モザイクで装飾された台に据えられた、大変美麗かつ高級な作品、輸入品といわれる。他は筆や硯など。


 以下はエントランス向こうの第二会場の展示となる。


4.大仏へ捧げた品々
 「金銀平脱衣箱」が実に素晴らしい。図柄の鳳凰や尾長鳥、植物のアレンジも見事で、しばし見入った。他の目玉は、「亀甲型漆箱」「琥碧誦数」など。中倉や南倉に収蔵される数珠や銀器には大仏開眼会に献納された品もあるという。
 
5.仏具
 「紫檀金鈿柄香炉」のまわりには多くの人垣が出来ていた。他には合子(ふたもの)や錫杖など。
 
6.各地から納められた品
 税として納められた麻布や木綿を展示、なかには納めた年を記載した墨書もある。豪華な宝物とは一味違う、当時の社会の実情を伝える貴重かつ興味深い品々。

7.染織品
 展示品は、幡や褥、天蓋の飾りなど。正倉院は古代染織の宝庫。

8.正倉院文書
 個人的には極めて興味深いコーナー。写経所の事務書類の紙背が伝える戸籍や正税帳は、当時の社会を研究するうえで大変重要な史料である。一部の出陳品の中に日本史の教科書に出てくる人物の名前もみられ、間違いなくその人が存在したことが実感できた。また高齢ないし夫のいない女性に対する救済事業を記した古文書もあり、古代の福祉政策を知ることが出来て有意義だった。

9.聖語蔵の経巻
 鑑真請来および光明皇后御願経と伝わる「四分律」、称徳天皇御願経と伝わる「須摩提経」

 ひと通り見学した後、エントランスのソファで少々足休めをし、再び会場に入って「墨絵弾弓」など心に残った展示品を中心にもう一度見直した。
 階下に下り、売店でハンカチやポチ袋などのオリジナルグッズを購入、絵葉書は残念ながら売り切れだった。ミニサイズの英語図録があり、迷ったが結局購入しなかった。帰宅したら読売新聞の関連記事をスクラップしようと思ったが、直前に交換に出されてしまっていて無念の涙となった。

 今回、持ち帰った資料を見ながら展示品を思い返し、あらためて、正倉院は当時の上流階級の生活や社会のしくみを伝える「宝庫」であると実感した。同時に、帰宅してから思い出せる範囲でも回想録を作成してみると、復習効果と同時にあたらな発見・感動があるとも感じた。正倉院展は10年以上前に一度見学しているのだが、その時は感想をしっかり記しておかなかったので、今詳細が思い出せない。
 今後は可能な限り、感想を書きとめるようにしたい。結果は、次の旅へとかき立てられることになるのだろう。
by nene_rui-morana | 2007-11-15 05:05 | 旧展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。

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