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若冲展 後期

[副 題] 生誕300年記念

[会 期] 2016年5月10日(火)~5月24日(火)

[会 場] 東京都美術館


 表記展覧会には、わずかながら展示替えがある。当然、告知を知った時点で前後期足を運ぶ決心を固めた。

 前期に増して大混雑、正確には覚えていないが、3時間近く待ったように思う。当日はかなり暑く、屋外で待つ間、周囲には具合が悪くなったり、疲れて座り込むような人も見られた。この時より、昨今しばしば体験する展覧会の長い待ち時間について、主催者に真剣に検討していただきたいと感じるようになった。

※ 作品名の後の()内は所蔵館です



LBF 画遊人、若冲(1)

 本展覧会の展示替えは少なかったので、前期を思い出しながら印象に残った作品に時間をかけた。直近で既に見ていたのでそれなりに落ち着いて鑑賞できたが、それを押し消すほどの混雑だった。

2つの【孔雀鳳凰図】(岡田美術館、宮内庁三の丸尚蔵館)や【白梅金鶏図】(滋賀・MIHO MUSEUM)はカラフルかつゴージャスな作品、対して【瓢箪・牡丹図】(細見美術館)はモノクロームのシンプルな作品だった。

【厖児戯帚図】は、斬新でモダンな画風だった。

【鹿苑寺大書院障壁画 松鶴図襖絵】(重文、京都・鹿苑寺)の鶴の足や木の表現、同じく【芭蕉叭々鳥図襖絵】の芭蕉と叭々鳥の表現、若冲は多彩な描写で見る者を魅了し続ける。

【樹下雄鶏図】(イセ文化基金)も、木の葉と鳥の羽の綿密な描写に感嘆した。



1F ≪釈迦三尊像≫と≪動植綵絵≫

 【釈迦三尊像】(京都・相国寺)と、【動植綵絵】(宮内庁三の丸尚蔵館)が、本来の一具の姿で見られる貴重な機会を、本日も心行くまで堪能した。

【動植綵絵】の孔雀や鳳凰は、実は雄なのだろうが、レースのドレスをまとった女優か貴婦人のようだった。【老松孔雀図】は木と花の描写にも注目した。【雪中金鶏図】は湿気のある雪の触感まで伝わってくる。

 1Fから2Fに移動する際は、エスカレーター乗り場のところにも人だまりが出来ていた。



2F 画遊人、若冲(2)

 【果蔬涅槃図】(京都国立博物館)は後期展示の目玉、得意の「筋目描き」を駆使して多くの果蔬を描き分けている。実家が京都・錦市場の青物問屋だったという若冲の真骨頂が表された、見応えのある逸品だった。下の方の小さな果蔬まで念入りに鑑賞した。

 【三十六歌仙図屏風】(岡田美術館)は、誰が誰なのか想像しながら鑑賞した。



2F 米国収集家が愛した若冲

本章も前期同様、貴重な在外名宝を見られる幸運に感謝しつつ、心をこめて鑑賞した。

 この日の混雑は前期を上回っていたと思う。展示室のみならず、屋外に設置されたショップでは品切れ続出、買いたいと思っていたグッズは入手できなかった。このような体験はこれまで初めてだった。図録も迷ったが、襖絵や屏風のような大きめの作品は印刷技術が向上しても全てを伝えることはできないと感じ、見送った。



≪感想≫

 感動の鑑賞から、気が付けばやがて4年になろうとする。早くまとめねばと思いつつ、諸事に追われて新時代に入ってしまった。満足いく内容ではないが、令和元年度中には整理をつけたいと思い、地元図書館で図録が借りられた機会に本稿をまとめた。

 近年大人気の若冲作品を、東京で一度にこれだけ見られた喜びは計り知れない。心に残った作品は数多いが、例によって自分の拙い文章ではその素晴らしさを表現できないとしか記せない。館を出た瞬間から、展示作品群との再会が待ち遠しく感じられた。

 本展覧会が開催された若冲生誕300年にあたる2016年、当時所属していた職場でささやかであるが若冲に関連する仕事に携わる機会に恵まれ、そのために彼の一生を同時代の歴史と共に調査・整理した。この作業により、彼が生きた頃、日本と世界はどんな時代でどんな出来事があったのか、どんな人物が歴史にその名を刻んだのか、かなり詳しく知ることが出来た。大学を卒業してから仕事で深く歴史に関わる機会は決して多くはなかったので、これも自分にとっては意義のある経験となった。

 今後も引き続き、若冲作品や、若冲が生きた江戸時代の歴史・文芸に、情熱をこめて向き合っていきたいと思う。


by nene_rui-morana | 2020-03-09 10:00 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。

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