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両陛下と文化交流-日本美を伝える- 後期

両陛下と文化交流-日本美を伝える- 後期_f0148563_18493847.jpg[副 題] 特別展 御即位30年記念


[見学日] 2019年4月28日(日)


[会 場] 東京国立博物館 本館特別4・5室


 表記展覧会は、展示作品は多くはないが逸品揃い、後期には我が酒井抱一の【花鳥十二ケ月図】が出展されるとあっては、足を運ばないわけにはいかない。


連休初日で会期終了前日の4月28日の土曜日、「たばこと塩の博物館」の特別展見学、「ウインズ浅草」での天皇賞馬券購入、少し遅めの昼食を経て、会場となる東京国立博物館へと向かった。

寒の戻りで、会場に入った時はかなり肌寒かった。


前期と同様、両陛下の洋装の写真に迎えられて、展示室内に入る。

 ※作品名前の印は以下の所蔵を表します

  ● 宮内庁三の丸尚蔵館  〇宮内庁侍従職所管  ◆宮内庁用度課書簡



御即位

 ≪即位の礼≫の両陛下の写真に続いて展示されていたのは、◆【主基地方風俗歌屏風】、作者・高山辰雄画伯は他所で作品を見ているかもしれないが名前は記憶がない。前期の東山魁夷筆◆【悠紀地方風俗歌屏風】と並んで、平成2年の≪大饗の儀≫の際に、両陛下の御座左右に置かれた屏風の一つ、『主基地方』とは大饗祭で神に供える新穀を献上する地域とのこと、展示作品には平成の主基地方となった大分県の景観が描かれている。大自然と現代の町並みが融合された独特の世界観に見入った。



外国ご訪問と文化交流

 コーナーの一角には、両陛下が御即位後に公式に訪問された国々を地図と年表で紹介するパネルが展示されていて、自身の足跡・渡航の思い出と比べつつ見た。

本日のメイン、見学の目的である名品が目に飛び込んでくる。私が最も愛する酒井抱一作品のひとつ、●【花鳥十二ケ月図】と感動の再会、美術書などでは繰り返し見ているが、当然ながら現物でなければ臨場感は伝わらない。自分は『十一月 芦に白鷺図』が最も好きなのだが、全幅素晴らしい。雅びで上品で繊細、抱一の動植物に対する愛情と優しく穏やかな性格が伝わってくる。平成の始まりにはまだ知らなかった抱一の作品を、平成のフィナーレに鑑賞することが出来て、本当に嬉しい。多くの人がこの作品に見入っていた。

●【塩山蒔絵十種香道具】は前期に感銘を受けた●【松竹薔薇蒔絵十種香道具】と思ったが確認したら別物だった。こちらも大変素晴らしい工芸品でじっくり見た。

 ●【丹鳳朝陽図花瓶】(海野勝珉作)とはこれで何回目の対面になるのだろうか。

 ●【小栗判官絵巻】は前期と巻が変えられていた。多くの神々や諸仏・人々を、多彩に鮮やかに描き分けている。神仏も岩佐又兵衛らしく下ぶくれの人間らしい表情で表現されている。人物表現は絶妙、動物などはユーモラスで楽しかった。

 2009年7月にご訪問先のカナダで●【源氏物語図画帖】を見られる両陛下の写真も展示されていた。



皇后陛下とご養蚕

本日展示されている天皇陛下の幼少期の御召し物は、が展示されていた。〇【黒紅縮緬地吉祥文様刺繍振袖】(前期は「赤」だった)と〇【黒紅綸子地吉祥文様振袖】(前期は「落瀧津文様」だった)、壁面の3歳の陛下は女児のように愛らしい。

 ●【養蚕天女】は作者は同じ高村光雲だが、前期よりも小さかった。

 〇【イヴニングドレス】は皇后陛下のお人柄そのまま、控えめで美しい。



第2会場

隣の展示室の壁面には両陛下の写真を大型パネルで展示、中央のケースには様々な【ボンボニエール】が展示されていた。

 【ボンボニエール】の語源は砂糖菓子を入れる蓋付き容器を意味するフランス語『bonbonniere』を語源とし、皇室の御慶事の折に関係者に下賜されるという。英国の王族は個人で紋章を持っていると以前ニュース報道で知ったが、日本の皇族方も「お印」(シンボルマーク)をお持ちで、ご自身ゆかりの御慶事の時には「お印」がボンボニエールにデザインされる。天皇陛下のお印は「榮」、皇后陛下は「白樺」、皇太子殿下は「梓」とのことだが、老眼の悲しさで展示作品のデザインは菊の御紋しか判別できなかった。

  ボンボニエールについては、小林忠先生の講座もしくは浮世絵学会かなにかで学習院大学を訪れた時、先頃まで皇太子殿下が研究員をされていた史料館の展覧会で目にした記憶があるが、その時には格別感じるものはなかった。しかし、大正期に制作されたものも含めて様々なモティーフが一堂に会した本日の展示からは、強いインパクトを受けた。小さいが格調高く精緻な造形は私好み、今後は俄然、注目していきそうな予感がする。一生のうち、一つでいいから自分も欲しいと思うが、この夢が実現する可能性は限りなくゼロに近い。

 表記展覧会は小規模だが、平成フィナーレを飾るに相応しい内容だったと思う。

 展示作品は選りすぐられた逸品揃い、両陛下のお人柄が感じられた。



 当日中は再入場ができるので、同じく本館に展示されていた帝室技芸員の作品や新指定の国宝・重文を見た後、再び展示室に戻り、【花鳥十二ケ月図】などを幾度も見直した。

 そろそろ上がろうと室内のベンチで一服していると、関西からみえたという少し年上の御婦人に声をかけられ、しばし談笑した。



 家を出た際はもう少し早く家路につくつもりだったが、結局8時過ぎまで居残ってしまった。

 本日の展示作品との再会を願いながら、名残を惜しみつつ館をあとにする。


 本稿をもって、平成時代の感想記アップは最終とし、未投稿分は新たな時代に持ち越しとさせていただきます。


 夕食は駅近くのイタリアンレストランでとる。

 日が落ちて更に寒くなり、駅のホームで電車を待つのが辛かった。


by nene_rui-morana | 2019-04-30 09:00 | 平成から令和へ | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。

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