和モダンの世界 近代の輸出工芸

[副 題] 金子皓彦コレクションを中心に


[見学日] 平成29年12月22日(金)


[会 場] たばこと塩の博物館



 『たばこと塩の博物館』が東京スカイツリーに程近い墨田区横川に移転してから、何度か展覧会に足を運んだ。感銘を受けた企画展もあったが、恥ずかしながら多くの記事をアップできないまま今日に至っている。

 しかし、幕末以降に輸出された超絶技巧作品を紹介する表記展覧会は、明治150年の今年中にまとめたいと思った。

 展示作品の多くは以前に渋谷で見ていると思うが、今回も大きな感銘を受けた。





★海を渡った日本の木工芸 寄木細工と木象嵌

 展示のスタートは寄木細工と木象嵌の作品、両方とも好きな技法である。

寄木細工は、大きなものは箪笥や飾棚、小さなものは小箱などが展示されていた。シンプルかつ斬新な幾何学模様は私好み、日本の粋を感じる。ライティングビューローは渋谷で特に感銘を受けた作品、大型のライティングビューローは象嵌模様も含めて何種類もの細工が組み合わせている。一方で小さな作品は、よくこのサイズで

作成できたと感嘆した。当館らしく、シガレットケースなども展示されていた。箱根には何度か行ったが手元には寄木細工はない。次回行く機会があればお土産を買い、ワークショップなども体験してきたい。

木象嵌の作品は、明治のもののほか、昭和50年から平成9年にかけて制作された比較的新しい作品も展示されていた。明治時代の箱根の絵葉書も見られた。



★ジャポニズムと日本の輸出陶磁器

 大政奉還の年に開催されたパリ万国博覧会に出品された陶磁器は大変な人気を呼び、明治期には代表的な輸出工芸品となる。ジャポニズムは時の美術界を席捲した。

 本章の展示は、薩摩焼や有田焼・九谷焼など、他に横浜の真葛焼や現代は絶えてしまった技法による【隅田焼椿下美人図扁壷】なども見られた。



★外国人を魅了した日本の輸出漆器

ライティングビューローと並んでお気に入りの当館所蔵作品は青貝細工、レターボックスや手元箪笥ほか全て美しく見事、上品で実に素晴らしい。懐かしい作品と再会できて大感激、本日は写真撮影も許可されていた。

また、本章に展示されていた壁掛はステンドグラスのようだった。



★麦わら細工の輝き

テレビ番組がもとで麦わら細工に魅せられ、江戸東京博物館の展覧会らも出向いたが、本展覧会とどちらが先だったのか思い出せない。ともあれ今では麦わら細工は自分の中では特別の位置を占めている。

展示作品は、鏡台や料紙箱・トランプなど、デザインは幾何学模様や人物、兵庫県豊岡市城崎で制作されてものが多かった。

都内の大森も一大産地だったが、現在は途絶えてしまっている。



★貝細工の輝き

 本章の展示は貝細工の動物や酒器、貝屏風など、工芸品としての「青貝細工」の対極にある「観光貝細工」も紹介されていた。



★芝山細工と横浜芝山漆器

芝山細工は貝や珊瑚・象牙・鼈甲などで文様を表し、象牙や漆面に象嵌したもの、現在では他の多くの技法と同様に途絶えようとしている。

本日は明治時代に制作された衝立や飾棚・宝石箱などが展示されていた。



★そのほかの日本の輸出工芸

 本章に展示されていたのは象牙や鼈甲を素材とした工芸作品、七宝作品など、外国人向けに制作・販売された様々な観光物産、花瓶や印籠・飾額などを明治期の外国人になった気分で鑑賞した。



★生人形

 生人形も類似作品を江戸博等で見た記憶がある。本日展示されているのは江戸時代から昭和初期に制作されたもの、この中にも過去に見たものがあるかもしれない。



★仙台埋木細工

 この工芸品の名は今回初めて知った。

 出展作品は【松島五大堂盆ほか】、今日に残る作品の数は多くはないのだろう。



★その他

 渋谷で2009年に開催された<阿蘭陀とNIPPON-レンブラントからシーボルトまで->は大変素晴らしかった。当時はその数年前に突然襲われた大きな悲しみもかなり癒え、在籍していた職場の仕事にも意欲を持って取り組み人間関係も良好、私生活もまずまず落ち着いていて年に何度か旅行も行かれた。何よりも東日本大震災前で父も現在だった。

 本章の展示は【F・シーボルト像】と【シーボルトが佩刀していた剣に付属していた房飾】、渋谷の展覧会で見た記憶はないが、同じ頃に横浜で開催された様々な企画を思い出される歌川貞秀画【横浜本町並に港崎町細見全図】とあわせて、さほど昔ではないが戻ることは出来ない平穏な日々が懐かしく思い出された。



 会場内には他にも各地の名産品を描いた貞秀の画が1枚か2枚展示されていた。湯本は「挽きもの」、大森は「麦わら細工」が紹介されていたようだが、作品名をしっかり記録してしなかったため、良い展示だったが残念ながら詳細が思い出せない。



<感想>

 帝室技芸員を知って以来、明治日本の超絶技巧に魅せられている私、今回も精緻な技法に驚嘆し感動した。

全てが素晴らしく見事、日本の物づくりの真髄とジャポニズムを体感できたと思う。

 もっと見ていたかったが、例によって腰痛がうずき、空腹感も限界に達した。翌日は仕事があり体力を温存しておかなければならないので、名残を惜しみつつ次の目的地へと向かった。

 


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by nene_rui-morana | 2018-10-14 10:00 | 明治維新150年関係 | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。


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