趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。
by nene_rui-morana
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運慶 前期

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[副 題] 興福寺中金堂再建記念特別展


[見学日] 2017年10月22日(日)


[会 場] 東京国立博物館・平成館


 表記展覧会が告知された時の喜びは並々ではなかった。

 運慶作品には、金沢文庫その他で開催された展覧会や奈良旅行の際に何度も接しているが、これだけの名品が一堂に会する機会は滅多にない。自分が外せるわけはない。

 当日は近くの東京都美術館で開催中の『ボストン美術館の至宝展』を見た後に知人と合流、平成館へ入館後、休憩コーナーで軽くお菓子をいただき、2階会場へと向かった。

  ※作品名の前のローマ字は、Jは重文、Kは国宝を表します。後方の()内は所蔵、無記入は興福寺所蔵です





第一章 運慶を生んだ系譜-康慶から運慶へ

スタートは、J【阿弥陀如来および両脇侍坐像】(奈良・長岳寺)、いきなり重文が登場し、期待に胸が高まった。

J【毘沙門天立像】(奈良・中川寺十輪院伝来、当館蔵)には、金箔や彩色・截金文様が残る。

K【運慶願経(法華経巻第八)】の奥書には運慶の自筆が見られ、快慶など一門が結縁している。

本章には慶派が密接に関わった興福寺所蔵の作品が出展されていた。慶派作品には数多く接しており、興福寺にも何回か足を運んでいるが、運慶の父・康慶作K【法相六祖坐像】は多分初見だと思う。写実的なK【四天王立像】も康慶作、こちらも過去に見たか思い出せない。J【仏頭(興福寺)】は文字通り頭部だけだが、若き運慶の才能をいかんなく伝えている。



第二章 運慶の彫刻-その独創性

 本章は運慶作品のオンパレード、感動と興奮は最高潮に達する。


K【毘沙門天立像】(静岡・願成就院)は、高校一年時の史学部夏合宿の際に多分現地で見ていると思う。懐かして思い出と再会の喜びに浸りながら、夢中で見入った。文句なし、この作品は本当に素晴らしい。風格、気品、ポーズ、全て完璧、オーラ溢れる珠玉の逸品である。

この仏像もしくは同寺の不動明王像内から取り出されたのが、K【五輪塔形銘札】、こちらについても合宿時に現地で説明を受けた記憶がある。文治2(1186)年5月3日の造像開始日や、運慶、平時政(鎌倉幕府初代執権・北条時政、政子の父)の名が記されている。日本史上のビッグネーム2名が登場し、日付も確認できる貴重な歴史史料、慶派作品は中世のタイムカプセル、このような胎内納入品も自分は大好きなので、嬉しい展示だった。

J【不動明王像】(神奈川・浄楽寺)は源頼朝が政権を掌握した後間もなく制作された。同寺からの出展、J【毘沙門天立像】も、先の願成就院の像と同様、本展覧会の代表作であろう。作風もよく似ている。

傍らに展示されているのは同像の納入品【月輪形銘札】、書かれている≪平義盛≫はもちろん、鎌倉幕府初代侍所別当・和田義盛、日本史の授業で習う人物が間違いなく存在したことが確信できた。

K【八大童子立像】(金剛峰寺)とも感動の再会を果たした。運慶作品の中でも特に大好き、個人的には赤銅色の肌の【制多伽童子立像】が最も気に入っている。本日は間近に見られ、より感激も大きい。過去に見た展覧会の記事が未だアップできていないのが恥ずかしく腹立たしい。

歩みを進めると、興福寺北円堂のかつての堂内が再現されていた。

四方を守るのは、現在は南円堂に安置されている巨大なJ【四天王立像】、左手をあげポーズをとる多聞天が印象的だった。

【無著菩薩立像】【世親菩薩立像】は国宝の風格あふれる名品、興福寺北円堂でお会い?した時に心を鷲掴みにされ、ますます慶派仏に魅了されることになったマイベスト仏像、旅行が困難な現在の自分には本展覧会での再会は文字通り涙もの、本当に嬉しい。本日は手が届くまで近づき、衣装の柄まではっきりと見える。しばし夢中で見入った。

J【大日如来坐像】(栃木・光得寺)とは多分再会、やや小ぶりだがこの作品も素晴らしい。

白い肌と彩やかな衣装が印象的なJ【聖観音菩薩立像】の像内には、頼朝の歯と鬢が納められている。X線写真には、箱がはっきりと写し出されていた。

K【宝篋院陀羅尼経(金剛力士立像納入品)】も自分にとっては外せない展示、慶派仏の像内納入品は仏本体と同等の魅力がある。

J【法眼運慶置文(尊勝寺領近江国香庄文書のうち)】(早稲田大学図書館)には、≪法眼運慶≫の自筆署名と花押が見られる、大変貴重な史料である。

J【大威徳明王坐像】(神奈川・光明院)は近年、晩年の運慶作と判明した作品、この像の発願者・大弐局は源実朝の乳母でかなり力のある女性だったと想像される。



第三章 運慶風の展開-運慶の息子と周辺の仏師

J【四天王立像】(京都・海住山寺)は、小さいが色彩が残る。邪鬼にも玉眼が施されている。

 【多聞天立像】(京都・東福寺)は解説に書かれているとおり、【八大童子像】の【恵喜童子】に似ていると私も思った。

 湛慶作J【毘沙門天立像 吉祥天立像 善膩師童子立像】は、毘沙門天の枘に「法印大和尚位湛慶」の署名がある。

湛慶作J【善妙神立像】は、容貌も捧げ持つ箱も美しい。


 感動の展示も終盤に近づく。目の前にはそれに相応しい展示がそびえている。

K【天燈鬼立像】【龍燈鬼立像】が日本彫刻史上屈指の名品であることに異論のある人はいないだろう。中学3年生の修学旅行で興福寺を訪れて初対面し、大好きになった。大学時代に友人と奈良を旅行して再会した時に「自分の家にもこれが欲しい。」と言って、どういう神経をしているのかと絶句された記憶があるが、それでもやはりレプリカを傍に常置したいほど魅了されている。他の像と同様、今回は手に触れられるほどの至近距離から、細部まで念入りに鑑賞できた。素材の木目、両神の持ち物?、ポーズ、衣装のデザイン、玉眼が表情を豊かにしている。龍燈鬼が首に巻く龍にも玉眼が施されている。


J【十二神将立像】は、数奇な運命を経て現在は、当館が5軀、静嘉堂美術館が7軀、それぞれ所蔵している。今回は12軀が一堂に会した。十二神将も個人的には好きなジャンルなので、フィナーレのこの群像もじっくり見た。干支のキャラクターを生かした作風がとても楽しく、見応えがある。亥神像内の文書から制作は運慶が没した後の安貞2(1228)年とされ、作者は運慶の子か周辺の慶派仏師と推定されるという。



≪感想≫

 スケール、内容、その他全てに於いて、文句のつけどころのない最高の展覧会だった。慶派仏は大好きで、何度見てもこれでいいということはない。遠出が出来ず奈良で開催された『快慶展』が見られなかった自分としては、本当に嬉しい企画で感激は並々ではなかった。

 今後も慶派の展覧会には可能な限り足を運びたい。

 スケールの大きな展覧会だけに、鑑賞にはかなりエネルギーを使い、見終えた時は空腹感を覚えた。同伴者と「事前に小腹を満たしておいてよかったね。」と話した。


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by nene_rui-morana | 2018-05-09 22:10 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)
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