趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。
by nene_rui-morana
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クラーナハ展 1

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  [副 題] 500年後の誘惑  [見学日] 2017年1月12日(木)
  [会 場] 国立西洋美術館

 ルカス・クラーナハ(1472年~1553年)の名は、その作品を紹介したテレビ番組で知った。

 表記展覧会が告知された時点では多少興味をそそられる程度だったが、本邦初の大回顧展とのことなので、足を運ぶことにした。


 当日は入館後、まずは入口前のロビーでリレー放映されている≪ルカス・クラーナハの生涯≫を見た。クラーナハの生地クローナハはバイエルン州、生まれた頃の日本は昨今話題の『応仁の乱』の只中、生涯のちょうど折り返し地点となった1517年に宗教改革が起こる。この歴史上の大事件は彼の人生にも多大な影響を及ぼした。

 ※本稿中の作品の作者は、父親のクラーナハは無記入もしくは「クラーナハ」、息子は「クラーナハY」と記します。作品名後の()は所蔵館です。





1 蛇の紋章とともに-宮廷画家としてのクラーナハ

 スタートは【ザクセン選帝侯フリードリヒ賢明公】、所蔵するウィーン美術史美術館には遥かなる昔に一度訪問しているが、当時はクラーナハの名前も良く知らなかったので、記憶はない。続いて同じくクラーナハのデザインによる同選帝侯のメダルが展示されていた。

 クラーナハは、時代が16世紀に入ろうとした頃より活躍を始め、1505年に上記選帝侯に招聘されヴィッテンベルクで宮廷画家となり、12年後に宗教改革を直に経験することになる。本展覧会では、ウィーンやハンガリー、アムステルダムなどヨーロッパ各地の美術館の他、当館が所蔵する版画作品も多数出展されていた。

 

 見覚えのある作品が目に入る。タイトルは【神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世】(ウィーン美術史美術館)、描いたのはアルブレヒト・デューラーの工房ないしは追従者、自分にとっては感動の再会?、デューラーはクラーナハより1年早く、同じバイエルンのニュルンベルクに生まれ、後に交渉をもって共同制作もしている。彼らの関係を知ったことは本展覧会の大きな収穫のひとつだった。

 歩みを進め、居並ぶ作品を次々と鑑賞していく。

 肖像画に宗教画、大きさも大小様々、画風もテーマも個性豊かでバラエティーに富み、クラーナハの天才ぶりがうかがえる。

 クラーナハは工房を構えて多くの注文をこなし、時代の荒波を見事に乗り切って幾多の名作を残した。実業家としても成功し、市の参事会員もつとめた。莫大な資産を手にしたこと、そしておそらく相当の好色家であっただろうことが、展示作品からもうかがえる。

 【聖母子】(ブダペスト国立西洋美術館)のマリアは娘のように若く美しい。添え乳をしているが後の作品のようなエロティシズムは感じられない。

 【聖母子と幼き洗礼者ヨハネ】(チロル州立博物館フェルディナンデウム、インスブルック)はカトリック信仰者向けの作品だが、1537年以降にヴィッテンベルクで描かれたと推察される。宗教改革後もクラーナハはカトリック側の仕事を請け負い続けた。

 デューラーは日本の鳥居のようなAの下にDを書いたモノグラムが印象的だが、クラーナハはLとCを組み合わせ、さらには本章のタイトルのとおり蛇のデザインの署名を用いた。ザクセン選帝侯から授けられたもので、冠を戴いた蛇がルビーのついた指輪をくわえており、制作年が添えられているものもある。本章の作品の中に早くもこの署名が登場する。



2 時代の相貌-肖像画家としてのクラーナハ

 本章のスタートは【ザクセン公マリア】(リヨン美術館)、署名と共に書かれている制作年は織田信長が生まれた1534(年)で当時クラーナハは62歳、こういう比較をすると当時の世界各国の情勢が鳥瞰できる。

 【フィリップ・フォン・ゾルムス=リッヒ伯の肖像習作】(バウツェン市立美術館)はおそらく本作の下絵とのことだが、見事な完成度に圧倒される。

 半身像が続いたが、ウィーン美術史美術館が所蔵するクラーナハYの【ザクセン選帝侯アウグスト】【アンナ・フォン・デーネミルク】は全身像、風貌はもとより、衣装やアクセサリーの描写も素晴らしい。

 本章には他に岸田劉生の【川幡正光氏肖像】(東京国立近代美術館)も展示されていた。



3 グラフィズムの実験版画家としての-クラーナハ

 クラーナハは私が大好きな版画作品も手掛けていた。デューラー作品も含まれた本章の作品にも大いに魅了されたのは言うまでもない。 

多くの天使が描かれた【マグダラのマリアの法悦】(当館)は同じタイトルの我がカラヴァッジョの作品とは全く違った作風だった。

 マルティン・ショーンガウアー作【聖アントニウスの誘惑】(アムステルダム国立美術館)以降は、お馴染みのテーマの作品が続く。

 本章では、先述の画中に刻まれた紋章や署名に注目した。このジャンルは自分は大好きで、デザインを堪能する他、見つけにくいものを探すのもまた楽しい。

 

 本章以降のクラーナハの版画作品には、ザクセン公家の双剣の紋章、選帝侯領の冠の紋章がしばしば登場する。版画作品なのでモノクロだが、黒白に赤の双剣と黒黄の縞に緑の王冠の紋章がネット等で紹介されていた。 


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by nene_rui-morana | 2018-02-12 12:30 | 展覧会・美術展(西洋編) | Comments(0)
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