2017年 10月 02日
歌川国貞~和の暮らし、和の着こなし。 (2)-2
日野原氏のスライドトークをはさんで、この日も貴重な国貞作品鑑賞の機会を満喫した。
国貞は、人物の個性等の他に、季節も描き分けていることが、居並ぶ作品から伝わってきた。
大好きな【江戸名所百人美女】シリーズをじっくり鑑賞、本日も「よし町」が一層輝いて見えた。
【今様三十二相】シリーズの「気まヘかよさ相」は、他所で見て以来、大変気に入っている作品である。コマ絵の祝儀袋もキマっている。
本日も【時世江戸鹿子 隅田川木母寺】にはじっくり見入った。
2Fへと上がり、ケースに入った【江戸名所百人美女】をじっくりと鑑賞した。「第六天神」「新大はし」の衣装の表現が素晴らしいと感じた。
【風りう花暦 撫子】は描かれている玩具に注目した。
【時世百化鳥 風車にみゝづく】はタイトルのとおり、胴体部分に「壽」の字が書かれ目をパッチリ開いたコマ絵のみみづくがユニークである。画中の達磨(後ろ向きで鏡台に写る)、猫の玩具、引き出しに入る「美艶仙女香」、国貞は細部まで手を抜かない。
【浮世人精天眼鏡 針仕事】は山東京山が詞書を書いている。
【江戸八景 吉原ノ夜雨】、屋外に降りしきる雨が伝わってくる。
【十二月の内 衣更着 梅見】、現在の東京スカイツリーに程近いあたりから国貞が活動していた柳島・亀戸にかけては梅林がひろがっており、満開の時期は文字通り花のパラダイスだったであろうことが想像できる。
展示作品を見て、制作年代もおおよそ見当がつくようになったように思う。後の時代のものほど、カラフルになっている。絵の具の質が良くなったのかもしれず、あるいは国貞(既に豊国襲名)の名声が確立して高級な絵の具が使用できるようになったのかもしれない。
何度も繰り返し見た後、次の目的地、大規模な展覧会が開催されている渋谷へと向かった。
国貞が残した作品は膨大だが、歌麿や北斎に比べると国貞に特化した図録は少ない。その意味では、当館監修の『没後150年記念 歌川国貞』『歌川国貞 これぞ江戸の粋』が刊行されたのは、自分にとっては非常に嬉しい。これらをじっくり読み込みながら、国貞への注目がより高まり、再度開催される展覧会の鑑賞へとつながることを切望してやまない。