2017年 09月 30日
歌川国貞~和の暮らし、和の着こなし。 (2)-1
表記展覧会は期間が短く展示替えもないため、当初は再度足を運ぶ予定はなかった、しかし、大好きな国貞の展覧会でもあり、近くのミュージアムで開催される国貞・国芳の展覧会に足を運ぶことにもなったので、2016年4月22日に先ず太田記念美術館に立ち寄った。
当日は金曜日、午前中は仕事に出て、午後は休暇をとった。
会場近くで昼食をとった後、入館し、しばし国貞ワールドを満喫した。
午後2時より、地階の部屋で学芸員・日野原健司氏によるスライドトークが催された。実は、これが再度当館に赴いた大きな理由の一つだった。
しかし、超多忙な4月、午前中の勤務、昼食後の午後というシチュエーションは、講座を聴講するには最悪だった。恥ずかしながら、数分後には船をこぎ始め、貴重なお話を半ば夢の中で聴く羽目になった。長期間が経過し、記憶も曖昧になり、正確でない部分もあると思いますが、当日メモした内容を列記します。
●(弟子の歌川国周が描いた死に絵【三代目歌川豊国肖像】を紹介して)当時の国貞は、人気・業績共にトップでした。
●(国貞の画業を紹介して)彼が得意とした役者絵・美人画が、当時の浮世絵の王道でした。
●(弟弟子の国芳と比較して)国貞はお高くとまって真面目、国芳は江戸っ子気質で権威嫌いといった特質があったようです。
●楽器、料理、幼児への慈愛、アウトドア、女性のしぐさや身だしなみ、人物の心の動き、等々、国貞は実に多くを描きました。今回の展示作品には猫などの動物も登場します。
●【松葉屋内 代々山 かけを にしき】は、髪型や衣装に注目してください。花魁と禿の打掛のデザインは烏と白鷺でペアルックです。
●シンプルな装いの町人も描いています。【江戸名所百人美女 薬けんぼり】のモデルの女性は、体を洗う糠袋をくわえています。
●【雪】のモデルはお歯黒をし、黒い御高祖頭巾をかぶり、柄入りの手拭いをマフラーのように巻いています。着物の柄の水鳥は、背景の隅田川を暗示しているようです。
●【当世三十貳相 世事がよさ相】は歯を磨いています。
●【当世美人合 かこゐ】のモデルは、当時人気のコスメ用品でコマ絵にも描かれている「美艶仙女香」で化粧に余念がありません。着物の柄は椎茸の笠の裏側と松葉の組み合わせです。
●【当世三十貳相 あそびた相】のモデルは前髪にリボンを飾っていますが、これは10代前半の若い娘を表しています。立派な装身具から見ると、おそらく大店の娘でしょう。
上記以外には、【星の霜当世風俗 蚊やき】について解説があったようである。また「梓客=版元」と当日のメモにある。いずれも内容については記憶がない。
先述のとおり、半ば夢の中での聴講となってしまったが、貴重な指南となった内容もあった。