趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。
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レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の挑戦

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[副 題]

 日伊国交樹立150周年記念 特別展


[見学日]

 2016年1月16日(土)


[会 場]

 江戸東京博物館





 2016年は日本とイタリアが国交を樹立して150年、数多くの巨匠の作品が来日する。他の展覧会もあり調整はいつにも増して厳しくなるため、標記展覧会は開始日に足を運んだ。

例によって見学から長期間が経過し、この間に自身の身の上に甚大な出来事が何度も発生したため、細部には記憶違いもあると思いますが、悪しからずご了承ください。



 イタリアの田園風景を写した写真に迎えられて会場内へと入る。レオナルドの故郷、ダ・ヴィンチ村の景観だろうか。





 スタートは、かのジョルジョ・ヴァザーリが下絵を描いた【レオナルド・ダ・ヴィンチの肖像】の版画、その後も何枚かレオナルドの肖像画が続いた。


最晩年のレオナルドのパトロンとなったのはフランス国王・フランソワ1世、19世紀に制作されたリトグラフ【平服姿のフランソワ1世】に続いて、【フランソワ1世の腕の中で息を引き取るレオナルド・ダ・ヴィンチ】(ジュゼッペ・カデス)が展示されていた。舞台は多分、レオナルドの終の棲家となったアンボワーズ近郊のクルー館、同じテーマのジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル作【レオナルド・ダ・ヴィンチの死】が知られているが、これはフィクションで史実ではない。しかし、フランソワ1世がレオナルドを庇護した結果、レオナルドが最期まで手元に置いていた絵画史上最高の傑作【モナ・リザ】を含めた3点が、フランス国のものとなったのである。


 【航海と善政の寓意(レオナルド・ダ・ヴィンチ作品に基づく)】(ベルトモ・ウィリアム・トムキンス作)には興味をそそられた。19世紀初頭に制作されたエッチングで、原本は【ウィンザー紙葉】、狼犬を乗せた船は教会で狼犬はローマ法王(レオ10世か?)、鷲はフランス国王(フランソワ1世か)を、それぞれ指すといわれている。個人については別の人物だとする説もあるが、法王庁とフランス国王を暗示していることは間違いない。レオ10世はメディチ家出身で、豪華王ロレンツォの次男ジョヴァンニ、周知のとおりローマ法王庁およびその後の欧州の歴史に及ぼした影響は極めて大きい。レオナルドとも面識があった。


 今回は、レオナルドの素描や手稿も出展されていた。【花の研究】、【羊飼いの礼拝のための研究】(これは大変小さい、)、【子どもの脚の研究】、【子どもの研究、】等々、何年か前の展覧会『レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像』で同様の作品を目にして大いなる感銘を受けたことが、懐かしく思い出された。

 これらの作品の中にはもちろん、【糸巻きの聖母】のほか、今日に伝わる名画の試作的なものが多数ある。


独立したケースに別展示された【鳥の飛翔に関する手稿】は、【糸巻きの聖母】と並ぶ本日最大ヒット、レオナルドの研究実験の図解で所々にイラストや買い物メモなどの書き込みが添えられ、レオナルドの存在感や息づかいが伝わってくる。ケース内で開かれていた頁は第10紙葉の裏、紙面上部の筆跡の下に赤チョークで髭を生やした長髪の男性の素描があり、レオナルドの肖像の可能性がある。自分にとっては非常にインパクトのある魅力的な展示だが、老眼の自分にはオリジナルでは判読できない箇所も多く、近くの全頁の解説パネルとの間を何度も往復し、繰り返し見比べた。赤チョークによる書き込みは他にもあった。

【鳥の飛翔に関する手稿(レオナルド・ダ・ヴィンチ作品に基づく)】(ジャコモ・マンゾーニ作)は、原本の変遷を知る上で興味深い。レオナルドより弟子のメルツィに贈られたが、その死後散逸し、多くの年月を経て日本でいえば明治維新間もない時期にイタリアのジャコモ・マンゾーニ伯爵が不完全な手稿を入手して今回の写本を制作、さらに複数の所有者の手を経て大正最後の年に現状を回復した。

 

 北イタリアの画家による6枚の【貴族の肖像】は、見覚えのある画風だった。


いよいよ【糸巻きの聖母(バクルーの聖母)】との対面、貴重な機会を大切にするべく、特に念入りに鑑賞した。想像していたよりは小さく、西洋の多くの作品に見られるラメのような輝きを放っていた。背景も人物も、【モナ・リザ】の前座的な作品であるという印象を受けた。幼子イエスが手にする十字架型の糸巻きは、その形のとおり運命を暗示している。

解説パネルも展示されており、かつて作品左側の背景には、聖ヨセフが歩行器を作りそこにイエスを入れようとする女性2人の姿が風景と共に描かれていたという。赤外線写真も展示されていたが、老眼の自分には判別できず、レオナルド派の画家による模倣作品で往年の姿をうかがった。


 【12歳のキリスト(若き救世主)】の作者ジャン・ジャコモ・カプロッティの作者は、最晩年のレオナルドと生活を共にした弟子サライである。このサライがモデルともいわれるレオナルドの【洗礼者ヨハネ】の模倣と思われる複数の作品が、今回出展されていた。

テオドーロ・マッティーニの下絵によるエッチング【最後の晩餐(レオナルド・ダ・ヴィンチ作品に基づく)】は大変素晴らしかった。他にもレオナルド作品のリメイク的な絵画を今回多数見て、レオナルドの作品は、【モナ・リザ】以外も、手稿を含めて後世に多大な影響を与えていることを実感した。


当日のメモには、「イッポリート・デステ」なる人物の名が記されている。会場内のパネル展示のどこかにその名を見かけたはずだが、どうしても思い出せない。今回調べたところ、レオナルドのクライアントで【モナ・リザ】のモデルとも言われるイザベッラ。デステの甥で、生母はかのルクレツィア・ボルジア、枢機卿となり、ティヴォリに現存する『ヴィラ・デステ』は彼の別荘だという。今年、正使の伊東マンショの肖像画が話題になった天正遣欧使節団は、ここに滞在した。


最初に記したとおり、本展覧会へは会期初日に赴いた。受けた感動はもちろん大きかったが、充分に事前勉強していったとはいえず、見学後に【糸巻きの聖母】を特集した複数のテレビ番組を目にして、もう少し後に行けばよかったと後悔した。しかし再度足を運ぶ余裕はなかった。

 いつの日か再び、本展覧会の出展作品と再会できることを熱望してやまない。

 


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by nene_rui-morana | 2016-09-23 21:58 | 展覧会・美術展(西洋編) | Comments(0)
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