人気ブログランキング | 話題のタグを見る

金銀の系譜宗達-光琳・抱一をめぐる美の世界-

[副 題] リニューアルオープン展 第1弾


[会 期] 2015年10月31日(土)~12月23日(水・祝)


[会 場] 静嘉堂文庫文庫美術館


 確証はないが、足を運んだ他の美術館で入手したチラシにより、標記展覧会を知ったと思う。

 藤田美術館の【曜変天目】を見る機会に恵まれたので静嘉堂所蔵品にもまた会いたいと思ったこと、以前に当館で見て大いに感銘を受けた【唐物茄子茶入 付藻茄子】【数茶入 十八口揃】などの名宝も公開されるということなので、忙しいし交通アクセスもいいとはいえないが足を運ぶことにした。

 今回の期間には上記作品は展示されないが、迷ったが琳派の作品も見ておきたいので、時間を作った。

 当日の昼過ぎに最寄駅・二子玉川に到着し、駅に隣接するビル内で昼食をとったが、平日なのにレストラン街は大変な混雑で長蛇の列、メニュを選ぶ余裕もなく待ち時間が少なそうな

店に入った(美味しかったが)





 会場に入り、まずは本日の目玉、展示室外の【曜変天目】(国宝)と【油滴天目】(重文)を鑑賞、傍の窓からの陽光を受けて神秘的に輝く。窓外の町並みや山々の景観との取り合わせも実にいい。


 展示室に入り、まずは【鶴鹿図屏風】(伝尾形光琳作)より見学スタート まばゆい金地に、ピンクの桜と紅葉の赤が鮮やかな煌びやかな作品だった。

 先に進み、本阿弥光悦・松花堂昭乗・烏丸光廣の名筆と対面、松花堂の【勅撰和集歌屏風】は地を残して短冊や色紙を表現している。イラストも添えられ、読めないが処々に知っている和歌も見られた。

 【色絵法螺貝香炉】(野々村仁清)は多分初見、仁清らしいカラフルな色彩が印象的だった。

以下は順不同に記します。


 光琳の【鵜船図】(重文)は様々な筆遣いを駆使した水墨淡彩画で、和歌も添えられている。軽妙ながらもオーラが放たれた秀作だった。一方で【立葵図】は渋い色彩で花弁は白い胡粉で表現、二作を見比べて、あらためて天才絵師・光琳の多彩な画業に驚嘆させられた。


 我が酒井抱一作品も興奮の展示がたくさん、本日訪れて本当によかったと実感した。

 【麦穂菜花図】(重要美術品)は、野草も優美に描いている。

多くのモティーフと幅広い画風が網羅された【絵手鑑】はバラエティー豊かな逸品、抱一作品のお気に入りに加えたい。

上質の紙に美しい筆跡で書かれた抱一の書簡【軽挙館句藻】も展示されていた。


 抱一を通じて出会い、今や大ファンとなった鈴木其一、様々な場で彼の作品を見る度に虜になっていく。本日展示されている【雨中桜花紅楓図】も、情感豊かで心がほっとする逸品だった。


 【(江戸流行)料理通】は、抱一関係の書籍によく引用されている。抱一らのサロンにももっていた高級料亭・八尾善の料理本で、見返しの蛤は抱一画、他にも葛飾北斎や谷文晁ら豪華な面々が名を連ねている。


 抱一の盟友・谷文晁の作品は【青緑山水図】が展示されていた。


【源氏物語関屋・澪標図屏風】(俵屋宗達作)は文句なし、国宝に相応しい名宝、空蝉の乗る牛車の他、各所人物の表現は絶品、明石の君の船上の人は小さく描かれ岸から遠ざかっていく様子をあらわしている。


 お気に入りの原羊遊斎の作品も展示されていた。【秋草虫蒔絵象嵌印籠】の下絵は抱一、【雪華蒔絵印籠】と共に雪の表現が美しい。

 当日のメモには、

「布袋は特に素晴らしい、雪が置かれた藪小路が印象的」

「黒楽茶碗、宮殿、所々に書も」

という記載があるが、見学から長期間が経過し、この間に多くの出来事があって自分の人生が激変したため、どの作品のことなのか思い出せない。次回に当館を訪れた時に確認したい。


 当館は自宅からは少々遠く、最寄駅からも少し距離があるので、気楽に足を運べないが、所蔵作品は名品揃いで、本展覧会も魅力的な展示に魅了された。いただいた本展覧会のパンフレットも大変気に入った。今後もいい企画があれば必ず赴きたい。



 館を出た時は、当館の混雑も加わってか、バスは大幅に遅れたうえに満員で乗ることができなかった。地元の方のアドバイスで少し先のバス停から駅に向かうバスに乗車した。

 夕刻となり、沈みゆく夕陽がとても美しく、過去に訪れた旅行先で見た幾多の夕陽が思い出された。


by nene_rui-morana | 2016-08-16 13:14 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。

by nene_rui-morana