趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。
by nene_rui-morana
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逆境の絵師 久隅守景  中期

 10月に行った表記展覧会の第一期は大変素晴らしかったので、見る機会が多くないこともあり、展示替え後もぜひ見ようと決心した。

 11月6日当日は横浜でやはり二度目の五姓田義松展を見た後に、とんぼ返りをして六本木に向かった。道中に何度か利用した金券ショップでチケットを買ったが、今回の展覧会は客入りが芳しくないのか、最終日までまだ日があるのにかなり値崩れしていた。


 展示のスタートは山水画、【瀟湘八景図】や本日展示されている個人所有の【山水図】【夏山水図】などは気に入っているテーマ、屏風という形態も好きなので、第一章は個人的には嬉しい内容だった。

 【十六羅漢図】(神奈川県指定有形文化財)は表情豊か、画中の獅子は狩野派を思わせるものがあった。

 本日展示されている【四季耕作図屏風】も多彩、守景の真骨頂が堪能できるモティーフである。共に重要美術品の『旧浅野家本』『旧小坂家本』は、牛や驢馬、鶏などの動物、特に牛が愛らしい。

 【耕作琴棋書画図屏風】はタイトルのとおり、耕作図に琴棋書画を組み合わせた珍しい作品だが、描かれた日常生活の一コマは心和まされる。

 守景作品に見られる点描表現は、好きな池大雅の先駆的なものが感じられた。

 その手法が一部用いられた【賀茂競馬・宇治茶摘図屏風】(重文)は最晩年の作品、横の直線も含めて柔らかで優しい画風だった。


 下の階へと移動する。


前回印象に残った【鍋冠祭図押絵貼図屏風】は、【許由巣父図屏風】へと変わっていた。

 やはり気に入っていた【花鳥図屏風】も【鷹狩図屏風】に変わっていたが、こちらは濃彩で鷹狩の様子を生き生きと描写、追われる白鳥や捕らえられた鶴なども描かれていた。右隻には子どもも描かれ、傍らの木の苔は琳派を思わせるものがあった。


 展示室内へと移動する。

 【六歌仙画帖】や【琴棋書画・士農工商図巻】なども好きな内容なので注目した。

 【海棠に山鵲図】は淡色作品、【花鳥図屏風】に共通するものを覚えた。

【喜鵲図】に描かれた鳥は人間味にあふれている。

【山鶏図】【小野小町図】【三船図】【佐野舟橋図】などには、守景の古典の教養が表れている。

 【秋草に人物図】の秋草の表現が心に残る。

 【天神図】は珍しく賛を左から右に書いてある。後の【寒山拾得図】【臨済栽松図】も同様の趣向だった。守景は一時期金沢に滞在したが、前田家は菅原姓を称して道真を厚く信仰したという。

 【山越達磨図】以降はお馴染みのモティーフ作品が続いた。


 本日も守景の子供たちの作品を興味深く鑑賞した。

 【花鳥図屏風】は 清原雪信に多い掛軸ではなく屏風作品、私好みのモティーフがバランスよく配された、女性らしい細やかなモノクロ画だった。【弁財天図】などは、後世の浮世絵美人につながるものを感じた。

井原西鶴の『好色一代男』が当時の雪信の名声を伝えていると解説されていたので、後日地元の図書館の古典全集で確認した。松本清張氏の小説のタイトルではないが、同時代に別の世界で生きた複数人物という「点」が「線」でつながったように思えた。

 ラストを飾る狩野胖幽作【蝦蟇仙人図】は、曽我蕭白画を思わせるものがあった。



本展覧会の最大の目的は【納涼図屏風】だったが、そり以外の守景作品の魅力もドラッカー展に続いて満喫することができた。この日にその作品を見た五姓田義松と久隅守景は、2015年の自分にとっては最大のヒットとなった。

義松同様、市販図録が少ないので本展覧会の図録を購入したが、残念ながら大きな屏風などはやはり現物を見ないと臨場感・迫力が伝わってこない。その意味でも、本展覧会で通常は見る機会の少ない守景作品を多数見られたことは自分にとっては大きな収穫だった。

 もっとゆっくり見ていたかったが、体調が優れず翌日の仕事のこともあったので、ある程度で切り上げた。

 いつかまた、他の展覧会で守景作品を見られることを心待ちにしている。


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by nene_rui-morana | 2016-02-23 05:06 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)
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