-古写真に見る明治の東京-「本所区・深川区編」

 JICCフォトサロンに初めて行ったのは明確には覚えていないが、ここが古写真の魅力に開眼するきっかけとなった。以後、回数は多くないが何度か足を運び、その都度感銘を受けてきた。こじんまりとした展示室で、貴重な古写真を無料で落ち着いて見られるのはファンとしては大変ありがたい。

「-古写真に見る明治の東京-」シリーズは同サロンの2月の恒例で今回が8回目、全てではないが過去に何度か鑑賞した。今回は自身が近年とみに関心をよせている「本所区・深川区」なので、ぜひ見ておきたいと思った。

 企画はおそらく、新聞で知ったと思う。翌年度の準備業務に入る多忙な時期ではあったが、必死で時間を確保した。


会場内には古写真の他に、【東京御繪圖】【實測東京全圖】のパネルも展示されていた。


複数展示されていた【洲崎神社(洲崎弁天社)】の写真、茶屋のそばの大きな仏像も写っているが、これは現存しない。

 【御船蔵】は現在の新大橋一丁目付近にあった。





 両国界隈から隅田川の景観を写した【百本杭】数枚、本展覧会鑑賞後に没後100年記念展覧会でこのあたりを描いた小林清親の光線画を見る機会があった。清親が生まれたのは現在の両国駅近くにあった幕府御蔵屋敷、「百本杭」を描いた清親作品は個人的に好感がもてる。現在、図録を見直しながら、清親はこんな風景を見て作品を描いたのだろうなと感じている。

 両国の【料亭中村楼】では安政元(1855)年に我が歌川国貞の七十歳の祝賀会が開かている。会が開かれたのがこの建物なのかは不明だが、国貞ゆかりの建物の写真が見られた喜びは計り知れない。


 両国から亀戸方面に向かって北上する途中にあった小村井の【梅園】は、多くの浮世絵に描かれている。2枚の梅園の写真の台紙には「中ノ郷温泉」「外手町温泉場」と記されているが、同じ建物らしい。いずれも現在の東京スカイツリーに程近い地で、地名は残っていないが町会名や学校名などが往時を伝えている。もちろん本当の温泉ではなく、今日のレジャー施設のようなものだという。


 【亀戸梅屋敷 清香庵臥龍梅】は亀戸天神の北、北十間川沿いにあり、水戸光圀や徳川吉宗も称賛したというエピソードが残り、歌川広重が描き、それをゴッホが模写したことで有名になった。

 【亀戸神社】の写真複数は、頭の中で現在の亀戸天満宮境内と見比べながら鑑賞した。この界隈から柳島にかけてが国貞の活動拠点、自身で歩いたことがある。【法性寺と橋本楼】【橋本楼と柳島橋】のすぐそばの十間橋は、現在は逆さツリーで人気のフォトスポットになっている。北十間川沿いにあり、

葛飾北斎も信仰した「柳島妙見」こと法性寺は今も現地に残るが、臥龍梅は明治43(1910)年の水害で梅園と共に枯れ、橋本楼は関東大震災で焼失した。


【草が生い茂る五百羅漢の本殿】は、かつては『江戸名所図会』に描かれるほど繁栄していた。明治20(1887)年に国貞の生地・本所五つ目から現在の墨田区緑四丁目に移転し、さらに明治41(1910)年に目黒に写った。


現在の墨田区庁舎の隣接地にあった旧久保田藩佐竹邸と庭園「浩養園」の写真も展示されていた。今回は出展はなかったが、ここからすぐ近くにある現在の隅田公園は旧水戸藩・小梅邸があった場所で、徳川慶喜の他、旧水戸家の人々がしばしば訪れている。


 上記以外にも、自身が訪れたことがある「両国回向院」や「富岡八幡宮」、さらには永代橋や小名木川の写真なども展示されていた。

 我が国貞や清親が見聞した往年の景観を、この目で確認できた喜びは計り知れず、本当に感激した。

 特に思い入れている地域なので、帰りがけに図録を購入した。いつかこの図録を片手に撮影地を巡り、現在の景観と見比べてみたいと思う。



 当日はサロンを出た後、日本橋の丸善へ行き、絵画の展示即売会場に足を運んだ。もちろん買うことはできないが、好きな藤田嗣治らの実物作品を至近距離で見られた感激は大きかった。会場では少し前に展覧会が開催されていたデュフィの作品もあり、注目、見に行かなかったことを後悔した。

この日と前後して某デパートの展示即売会も見た。現物を手に届く位置で見られるのは自分にとっては大きな魅力であり、今後も機会があれば行きたいと思う。



PS

 本稿はもっと早くアップするつもりだったが、当日購入した図録が見つからず、資源ゴミにまぎれて廃棄してしまったかと諦めていたが、先日書籍の間から見つかり、ようやく投稿が完了した。

 震災後ほどなく父が入院し、自室をふくめた複数の部屋が物置状態となって久しい。他にも大事なものが複数行方不明で、気落ちしている。

 ブルーレイを購入して以来、録画番組も溜まる一方でこちらも整理できていない。

 本サロンにはこれ以外でも複数の企画に足を運んでいるが、そちらの記事のアップもいつになるか分からない。

 この先も余裕のない日々の継続が見込まれる。自身の力量不足以外の何物でもないが、宝くじでもあたらない限り、上記の解消は実現しそうもない。


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by nene_rui-morana | 2016-01-23 17:38 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。


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