趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。
by nene_rui-morana
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ダブル・インパクト 明治ニッポンの美

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[副 題] ボストン美術館×東京藝術大学

[見学日] 2015年4月12日(日)

[会 場] 東京藝術大学大学美術館


 表記展覧会を知ったいきさつは良く覚えていないが、内容は現在の自分にとっては最も関心をそそられるものなので、ぜひ見ておきたいと思った。

 例によって諸般のやりくりをし、当日は国立西洋美術館でグエルチーノの展覧会を見た後、会場へと向かった。藝大のコレクションは素晴らしいし、数年前に開催されたボストン美術館展も当初の予定になかった複数回鑑賞をしたので、期待に胸が弾んだ。

※ 作品前の「B」はボストン美術館所蔵、「藝」は東京藝術大学を表します。



  • プロローグ 黒船が来た

( The Arrival of the Black Ship )

 スタートは作者不詳のB【ペルリ浦賀上陸図】、船の形状や乗務員を解説入りで詳しく描いている。

 先に進むと、新しい時代の到来を伝える作品が続く。河鍋暁斎作B【蒙古賊船退治之図】、歌川芳虎作B【蒙古賊舟退治之図】とB【東京築地ホテル館表掛之図】、三代歌川広重作B【横浜波止場ヨリ海岸通異人館之真図】、等々、横浜開港150年の年が懐かしく思い出された。

 芳虎のB【万国名勝尽競之内仏蘭西把里須府】は空想で描かれたもので、仮名垣魯文が解説を書いている。

 歌川芳員作B【亜墨利加国蒸気車往来】は、国旗以外はモノクロで描かれていた。

 歌川芳盛作B【書画五拾三駅 武蔵 神奈川 横浜 眺望】は、描かれているのは西洋人や近代だが、一目で我が歌川国貞の影響を受けた作品であることが分かる。

 ボストンの資本家、ギルバード・アットウッドの子孫宅に伝わっててたという写真も展示されていた。

 高橋由一の藝【花魁(美人)】は、以前に当館で開催された展覧会に出品されたが、父の病気のため見られなかった。今回、念願の対面が果たせた。

 他にも、先述のお気に入りの暁斎の他、フェリーチェ・ペアト、チャールズ・ワーグマン、五姓田義松らの作品も見られた。

  • 第1章 不思議の国

   ( How the West ❝Discovered❞ Japan)

 本章には、鈴木長吉のB【水晶置物】以降、近年とみに魅了されている『帝室技芸員』の作品が多数出展され、大感激した。

濤川惣助作B【七宝潚湘八景図額】は水墨画と見まごうばかり、個人的には並河靖之(今回は彼の作品は残念ながら出展していなかった)の有線七宝の方がより好きだが、濤川の作品も見る度に恍惚境に誘われる。

 柴田是真の明治宮殿を飾った藝【千種之間天井綴織下図】は、日本古来のモチーフをモダンに表現している。B【雪中鷹図】とB【野菜涅槃図蒔絵盆】も素晴らしかった。

 この章にも我が河鍋暁斎が登場、B【暁斎百図】は文句なしに楽しく、他の頁全てを見たいと思った。「人を祈らば穴二つ」の詞書の脇には「丑の刻参り」の衣装姿の人物が描かれている。他の詞書が読めなくて残念でならなかった。

 一方で、亀井至一作B【流鏑馬展覧図】や北邑龍山作B【陶器七宝店引き札】など、今回初めて知った人の作品の中にも、興味をそそられるものがあった。加納夏雄も初めて聞く名だが、デザインした金貨は大変見事だった。

 髙石重義の巨大な自在置物B【竜自在】も圧巻だった。

 

  • 第2章 文明、開化せよ

     ( The Blossoming Westernization)

 この章には、揚州周延や豊原国周らの作品を展示、何点かは多分、過去に見ている。周延B【浅草公園遊覧之図には関東大震災で倒壊した凌雲閣が描かれていた。

 作者不詳のB【神戸鉄道蒸気車通行図】は扇型、当然ながら残存数が少ない史料だという。

 三代歌川広重作B【上野公園内国勧業第二博覧会美術館并猩々噴水器之図】以降は、更に時代を色濃く伝える作品が続く。

 小林清親の作品は、さすがに見応えがあった。今年、没後百年を迎えた清親の作品を紹介する複数の展覧会が開催され、実は本展覧会を最初に見たのだが、記事のアップは最後となってしまった。確かな空間把握、広重を彷彿とさせる情趣あふれる画風に、ガス灯など新時代のシンボルを盛り込み、実に素晴らしい。

 【猫と提灯と鼠】も、この時に初めて見た。清親の画力に、彫師と摺師の高度な技術が結集した、明治を代表する名品だと思う。

 【教導立志基 福地源一郎】は、明治を代表するジャーナリストを描いた作品だが、ハイカラないでたちのモデルに対して、コマ絵などに浮世絵の残影が感じられた。

 また、この章には、清親の弟子・井上安治(探景)の作品も展示されていた。25歳で早世したが、最近、複数の展覧会や書籍などで清親の画風を踏襲したその作品に接する機会があり、大いに魅了されている。

  • 第3章 西洋美術の手習い

 ( Japan and Western Instruction in the Arts)

 この章には、ワーグマン、ファンタネージ、および彼らに師事した五姓田義松や浅井忠、高橋由一らの作品が展示されていた。何点かは過去にここで見ているが、松岡寿や印藤真楯は初めて聞く名だった。

 このコーナーでは、高橋由一の藝【司馬江漢像】が印象に残った。

  • 第4章 日本美術の創造

    ( The Creation of a New Japanese Art)

 地下の展示室へと移動する。

 展示のスタートは、横山大観の藝【村童観猿翁】、これは多分、以前に見ている。

 以後、狩野芳崖や橋本雅邦、下村観山、菱田春草など、お馴染みの面々が続く。居並ぶ作品は圧巻、さすがに見応えがあった。

 一方で、このコーナーらも初見の画家の作品があった。ポスター等に使われていた小林永濯のB【菅原道真天拝山祈祷の図】もその一つ、予想よりはるかに巨大な作品だった。

  • 第5章 近代国家として

    ( Japan Comes of Age : The Assertion of a National Identity)

 別室でフィナーレの展示を見る。

 迎えてくれたのは竹久久一の巨大な藝【神武天皇立像】、この章も、見知った名前から初見の名前まで、様々だった。

 鈴木松年のB【戦勝萬歳図】は報道風のテーマを大きな屏風に描いている。

 蒔絵作品は好きなので、小川松民のB【片輪車蒔絵螺鈿手箱】藝【熨斗若松蒔絵盆】と、六角紫水の【蓬莱山蒔絵模造手板】は心に残った。

 岡田三郎助の藝【セーヌ河上流の景】は、タイトルのとおり心安らかになれる画風だった。

 藤島武二の藝【イタリア婦人像】も出展されていた。

 水野年方のB【万国旗『文芸倶楽部』10巻14号】は、御真影が万国旗に隠れていた。

≪感想≫

 タイトルのとおり、日米両国を代表する二つの美術館の珠玉の所蔵品を堪能できて、大変感激した。

 19世紀という時代とその時代の芸術(一部は20世紀初頭)は、個人的に最も関心をそそられているので、見応えのある展示だった。

 展示作品の作者の中には、最近別の展覧会で見た名前も多く、記憶の中で比較しながら鑑賞した。下村観山展をはじめ、ほとんどがまだアップできていないが、本展覧会を思い出しながら、なるべく早く記事をまとめたいと思っている。


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by nene_rui-morana | 2015-09-26 22:29 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)
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