趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。
by nene_rui-morana
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特別展 京都 後期

[副 題] 洛中洛外図と障壁画の美

[見学日] 2013年11月28日(木)


[会 場] 東京国立博物館・平成館


 表記展覧会を訪れた日は、平日だったがかなり混雑していた。

 前期同様、【洛中洛外図 舟木本】(当館蔵、岩佐又兵衛作、重文)の高精密画像に迎えられて、見学を開始する。



第一部
都の姿-黄金期の洛中洛外図

 前回とは逆に、後期に出展されていない作品は、写真パネルが展示されていた。

 【洛中洛外図 池田本】(岡山・林原美術館蔵、重文)は、きらびやかで美しい作品だった。【洛中洛外図 福岡市博本】(福岡市博物館蔵、重文)は、やや小ぶりで外国人の姿も見られた。


【洛中洛外図 舟木本】(当館蔵、岩佐又兵衛筆、重文)には、前期にも増して入念に見入った。退色しているが、日本美術史上を代表する名品であることは間違いない。自分はこれまでに見た多くの【洛中洛外図屏風】にはそれぞれ感銘を受け、どれも好きである。本展覧会に出展された作品の中には国宝も含まれ、【舟木本】は重文だが、自分は【舟木本】を最も高く評価する。

 【洛中洛外図屏風】は多彩に描き分けられた人物や名所・風俗が魅力だが、【舟木本】の人物描写は他の作品を圧倒している。又兵衛特有のあの、やや下膨れな人物が、表情豊かに各所で様々なドラマを繰り広げ、生き生きと時代を伝えている。双眼鏡で見ても老眼の目には分からないほど小さいのに、大スクリーンに拡大しても全く遜色がない。この作品だけで映画が作れるだろうと思った。

 作者・岩佐又兵衛は荒木村重の子、自分は10数年前に岡山・神戸を旅行した際に村重の名を知り、その少し後に又兵衛作品に触れた。周知のように村重は織田信長に背き、有岡城の戦いで又兵衛の生母である若く美しい妻や一族郎党はことごとく惨殺された。乳飲み子だった又兵衛は辛うじて乳母に救出され、母の所縁の本願寺に逃れたと言われている。

 村重自身は城を脱出して羽柴秀吉の御伽衆となり、本能寺の変の4年後まで生きた。昨年の大河ドラマ≪軍師官兵衛≫では、親子の対面が描かれていた。



第二部
都の空間-装飾障壁画の美

1.王権の象徴-京都御所

後期の【賢聖障子絵】(仁和寺蔵、重文)には、太公望や虞世南など、現代の日本人にもお馴染みの面々?も描かれていた。

もとは仙洞御所の寝殿を飾っていた【群仙図襖】(重文)は、後に南禅寺へ移築された。退色しているが、狩野永徳一門が制作した貴重な作品、綿密な描写に注目させられる。

仁和寺が所蔵する【牡丹図襖】の作者・孝信は、永徳の子、描かれたのは大阪の陣の直前の頃だという。

 【龍安寺石庭の四季】の映像を見て、次のコーナーへと進む。


2.仏法の荘厳-龍安寺

 このコーナーの襖絵は実に素晴らしく、大変感激した。保続状態が良く色彩も鮮やか、劣化した永徳らの作品の往年の輝きがうかがえるように感じた。水や松の表現には、後の琳派のプロローグ的なものを感じた。

 【群仙図襖】は写実的で格調高い。【列子図襖】の中には異国風の顔出しをした人物も見られた。これらの作品中の人物のみを描いた雪舟や琳派の作品を見た記憶がある。

曽我蕭白の美術書や展示図録は手元にないので確信はないが、【琴棋書画図襖(絵を見ている場面)】(メトロポリタン美術館所蔵)中のモチーフを蕭白はデフォルメして描いていたように思う。


3.公儀の威光-二条城

 今回は、二条城の展示とあわせて見られて、大変幸運だった。二段組の展示は壮麗、展示室内はかなり混雑していたが、えも知れぬ風情が感じられた。

二条城にはヴェルサイユ宮殿のような豪華絢爛さはないが、間違いなく日本を代表する格調高い名建築だと思った。本日展示されていた絵画f0148563_11185702.jpgは、後の琳派へと継承されたように感じた。



 <感想>

 本特別展の出展作品は多くはなかったが、厳選された珠玉の名品が揃い、玄人好みの「京都」を堪能できた。【洛中洛外図】や二条城の展覧会は、過去にも見て感銘を受けたので、展示室内でスマホで自身のブログを見ながら記憶を思い起こした(老眼が進んでいるので良く見れなかったが)。

 最も心に残ったのはやはり【洛中洛外図 舟木本】、何度も巨大画像や作品の前に戻って繰り返し見入った。会期中はこの作品を拡大した映像を屋外で放映するプロジェクトや、ミュージアムシアターで≪洛中洛外図と岩佐又兵衛≫が上演されたが、残念ながら見られなかった。【舟木本】は東博所蔵なので、今後も見る機会が訪れることに期待している。

 展示作品との再会を待ち望んでいる。次回京都に行く時は、必ず二条城にも足を運びたいと思う。

 

 本特別展の会期中、父は入院して手術を受けた。手術前日の10月15日は台風で大島などで甚大な被害が出た。10月30日は病院で最後の誕生日を迎えた。

 この頃から自分も漠然と、父との別れがそう遠くないであろうことを悟るようになる。職場では10時近くまで残るような会議が月に数回あり、その準備のために残る日もあったが、通院介助等のため休むことも多かったので、上司に言われても超勤手当は一切申請しなかった。当然ながら介護休暇が申請できるような状況ではなかった。

 このように心身共に過酷な中、多忙な合間をぬって足を運んだ展覧会が、数少ない心の慰めとなった。

 父の生前に見た展覧会の感想の多くを未だアップできていない。自分の中で整理をつけるため、早く取り組みたいと思っている。



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by nene_rui-morana | 2015-07-13 11:23 | 旧展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)
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