鳥獣戯画 甲巻 (後半部分)

※未だアップしていない記事が多数ありますが、誕生日後最初の投稿は、直近で見て感動も大きかった表記にさせていただきます。

 連日大盛況の東京国立博物館・平成館の≪特別展 鳥獣戯画≫、特に甲巻の鑑賞には何時間待ちという行列が出来ている。実は前期も出向いのだが、甲巻・前半部分の鑑賞は断念した。この時、後期も必ず来ること、その時は甲巻も見ることを決意した。
 5月の後半になってから職場の方で大きな動きがあり、月を超えたら時間を確保するのが困難な状況となったので、必死にやりくりして5月29日金曜日の午後に会場に足を運んだ。
 第1章と第2章をひと通り見た後、午後4時半少し前、文庫本を持って(前期に断念した理由の一つに待ち時間中に読む本を携帯していなかったことがある)長い待ち列に並んだ。3時間待ちという案内に唖然とするが、引き返す気持ちはなかった。
 本を読み、運よく壁面脇に来た時は寄りかかって目を閉じ、展示室内に入ってからはモニター画面やパネル展示を見て、長い待ち時間を過ごした。さすがに足は疲れた。少し前に並んでいた初老の女性は途中で倒れ、車椅子に乗せられた。この会期中に同様のことは何度もあっただろう。
 足ばかりでなく、双眼鏡やミニノートを持ちながら立っての読書で、首肩や手の筋肉も非常に疲れた。あらためて、加齢による体力の衰えを痛感させられた。

 長い長い時間の後、ようやく展示コーナーへと入った。室内にもまだ長い行列があったが、やがて前列の合間から、あの懐かしい画が垣間見え、俄然興奮は高まる。最前列に行くまで、双眼鏡で必死に見続けた。

 いよいよ感動の瞬間が訪れる。
 一列に並び、まずは前期に展示された前半部分のパネルを見る。
 そして、展示は後半部分へ、8年ぶりの再会に胸を震わせながら、限られた時間を一瞬でも無駄にするまいと、一心不乱に見入った。
甲巻の前半を見られなかったのは非常に残念だが、自身はこの作品に関しては、後半部分がより大好きなので、本日鑑賞できた感激は計り知れない。
 目の前には、教科書等によく掲載されるお馴染みの場面が広がっている。
 兎や蛙に追われて逃げる猿、兎と蛙の相撲、蛙仏の前で読経する猿僧正、傍らの木の枝にとまる梟、野草の表現も見事、いくら見ても見飽きない。高校の歴史の教科書でその存在を知り、大学の講義で魅力に目覚め、幾多の歳月を経てなお私を魅了する日本芸術史上最高の逸品、決して語弊ではなく、作品全体から輝かしいオーラが放たれていた。
 ここまでの道のり?は遠く険しかったが、それだけに感じるものもひとしおだった。私の後ろの若い女性二人組のうちの一人は「小学校以来の夢が叶った。」と涙を浮かべていた。その気持ちは自分にもよく分かる。
 大人気の本特別展は数多くの係員の方が各所で整理にあたられたが、この会場で甲巻を間近に見ながら従事された方は、大変だけれどとても幸運だったと思う。

 待ち時間は当初告知されたとおり、ほぼ3時間だった。対して、鑑賞のために許された時間は数分足らず、最前列で見られたが後戻りは出来ない。最後の法会後のシーンを見終えて会場を出る時は、名残惜しさでいっぱいだった。
 先刻の女性二人は、会場を出る時に手を掌わせていた。自分も、遠くない日の再会を祈りつつ、しばしの別れを告げた。
 
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by nene_rui-morana | 2015-06-01 10:30 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

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