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フェルディナント・ホドラー展

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[副 題] 日本・スイス国交樹立150周年記念

[見学日] 2015年1月9日(金)     [会 場] 国立西洋美術館


 スイスの国民的画家フェルディナント・ホドラーの名は今回初めて知った。いつにも増して多忙の折、表記展覧会については足を運ぶか否か迷ったが、かろうじて時間が確保でき、スイスの芸術家の展覧会はなかなか開催の機会もないと思うので、見に行く決心をした。
 当日は出張の後、時間休をとって上野へ向かう。公園内のパン屋で軽食をとり、会場へと向かった。
 入口前で「フェルディナンド・ホドラー 永遠を描く」という映像を見た後、展示室に入った。


1 光の方へ-初期の風景画
 20歳の頃に描かれた【自画像】で展示はスタートした。
 会場内のパネルでホドラーの年譜が紹介されていた。生まれはペリーが日本に来航した1853年、つまりゴッホと同い年である。生地はベルン、実家はあまり豊かではなく、幼くして父は病死、他の家族も当時の不治の病・結核で次々と倒れ、30代前半で天涯孤独の身となった。
 ホドラーは当初、バルテルミー・メンに師事した。この師は、アングルに学び、コローとも交流があった。【シャダウ城とシェルツリンゲン教会、ブリュームリスアルプス】には、私が好きなコローの作品を彷彿とさせるものがあった。
年譜から、やはり好きなカンディンスキーもホドラーの影響を受けていると知り、俄然興味をそそられた。





2 暗鬱な世紀末?-象徴主義の自覚
 このコーナーに展示されているホドラーの初期の作品には、若き日の不幸を暗示するような、死や教会での祈りの場面を描いたものが多く見られた。
人物画の中にも、哲学的なもの・内面や心理の表現が感じられる。


3 リズムの絵画へ-踊る身体、動く環状
  展示は時代の流れを反映した作風へと変わる。
 【オイリュトミー】は本日の目玉の一つ、個人的にも印象的に残った。ホドラー作品の大きな特色であるパラレリズムが顕著で、画面にリズムを生み出している。日本近代画に似た作品を見たように感じた。
 【感情 Ⅲ】も間違いなく、ホドラーの代表作だろう。
 【歩む女】の後は、前衛的な作品が続く。【恍惚とした女】は、運動と静止を表現、モダンバレエを思わせる画風だった。
 実際にホドラーは、この20世紀初頭に台頭したモダンバレエに大いなる触発を受け、その影響を受けた作品を数多く描いた。室内には、初めて聞いた名だが、著名な音楽家というエミール・ジャック=ダルクローズによる100年前の写真も展示されていたが、この中には高校時代に体育の授業と少女マンガで知った名ダンサー、マリー・ヴィグマンのものもあった。


4 変貌するアルプス-風景の抽象化
 地下に移動すると、そこに展示されているのは、初期の頃とも、印象派とも違った画風の風景画の数々だった。ホドラーは、知覚した現象のなかから形式やパターンを探り出している。好みは分かれるだろうが、忘れられない画風であることは間違いない。
 個人的には、【トゥーン湖とシュトックホルン山脈】に注目した。


5 リズムの空間-壁画装飾プロジェクト
上に上がると、スイス国立博物館やチューリヒ美術館の壁画など、晩年の代表作の習作が展示のメインとなっていた。
 【マリニャーノからの退却】【独立戦争に向かうイェーナの学徒出陣】には先の大戦が、【全員一致】にはフランス革命時の<ジュー・ド・ポームの近い>が重なった。
 【ムルテンの戦い】は未完に終わり、後進が完成させてスイス国立博物館に飾られているという。
 しっかり明記してこなかったが、ある作品はホドラーの政治的発言のために一時隠されていたと解説に書かれていた。


6 無限のまなざし-終わらないリズムの夢
 チューリヒ美術館を飾る大作【無限のまなざし】の習作を展示、同寸大の写真の他、制作風景を伝える写真のリレー放映が、その大きさを伝えていた。
 展示室内の年譜によると、ホドラーは次々と親族と死別する失意の少年・青年時代を送ったが、複数回結婚し、妻以外の愛人との間に子どもをもうけている。愛人に先立たれたことも含めて、日本の竹久夢二との共通点を感じた。ホドラーのプライベート写真も展示されていた。


7 終わりのとき-晩年の作品群
タイトルのとおり、自画像や愛人を描いた最晩年の作品が展示されていた。
【バラのある自画像】が描かれたのは1914年、その翌年にはモデルだった若い愛人ヴァランティーヌ・コデ=ダレルが乳飲み子を残して亡くなった。【バラの中の死したヴァランティーヌ・コデ=ダレル】は、ラフなタッチながら癌で痩せ衰えた姿が克明に伝わってきた。モネが死の床の妻カミーユを描いた作品を連想した人が自分以外にもいるだろう。
 フィナーレはレマン湖とモンプランを描いた作品および【緑のジャケットの自画像】だった。


≪感想≫
 ホドラーの作品は、好みは分かれるが忘れられない画風であることは間違いない。まだその名を知って間もない現段階の自分には、まだ評価も好みも記すことはできないが、前衛的で個性的な画家という印象を受けた。個人的にはピカソやセザンヌと相通じるものがあるように感じた。
 昨年末よりホドラーやスイスの絵画に関するテレビ番組が何度か放映されており、録画もしてあるが、多忙で視聴する時間が持てなかった。これらの番組を事前に見ていたら、より深く本展覧会を味わえただろうと少々残念に思っている。
 ともあれ、貴重な作品を多数見ることが出来て、大変嬉しく思う。次回にホドラーや他のスイスの作品に会う時まで、再度しっかり勉強をしておく必要性を感じている。
by nene_rui-morana | 2015-01-26 15:16 | 展覧会・美術展(西洋編) | Comments(0)