2014年 09月 20日
国貞美人変遷展 Ⅱ
[会場] 礫川浮世絵美術館
待望の標記展覧会、細かな記憶はないが、当日は期待に胸を躍らせて会場に赴いたことだろう。
当日はほぼ貸し切り状態だったので、会場では係員の方に各作品を示しながら、正面摺り・布目摺り・空摺りなどについて、説明していただいた。
【今様三十二相】シリーズは、間違いなく国貞の最高傑作、着物や帯の多様なデザイン、美しい色彩、気の利いたコマ絵、国貞作品の魅力が思う存分堪能できる。空摺りも随所に見られた。
【すずしさう】(2点出品)は今の季節に相応しい爽やかな画風、浴衣の表現が見事だった。
【よひがさめ相】(2点出品)は以前見て深い感銘を受けた記憶がある。
【上りがよそ相】【気まへのよさ相】【逢た相】【夜が明け相】は、表情やしぐさは違うが、同じモデルではないか、それもの女形のような女装した男性ではないかと感じた。本人がそこにいるようで、特に手や着物のしわの表現が素晴らしかった。
【逢た相】は、着物のデザインに描かれている白い鶴が印象的だった。
【手があり相】はコマ絵内のポット?や襟に空摺りが見られた。
広重との共作も、【双筆五十三次 鞠子】一作だけだが見ることができた。
【源氏後集余情 第十八の巻 松風】は、料紙に描かれているのかと思ったが、実は背景の柄は印刷で散らしてあるのだった。
【柳街梨園全盛花一対】シリーズは国貞晩年の作、弟子の手が多分に入っているらしく専門家の評価はあまり高くないらしいが、個人的には気に入っている。描かれた役者の中には、過去の展覧会で見た記憶のある顔も見られた。各人の個性(年齢、美しさ、おどけなど)を見事に描いている。
【稲本楼小いな(芍薬) 市川米升(牡丹)】には有名な<かまわぬ>のデザインが見られた。印象的な表装もあった。
ケースの中の作品は【児雷也豪傑譚】シリーズ、他の歌川派の絵師との合作だという。、小ぶりだが入念な作風で、こちらにも正面摺りや空摺りが見られた。鮮やかな作品は見応えがあるが、【緑林豪傑譚(児雷也豪傑譚 5編)上下】などモノクロ作品も大変良かった。
この日も比較的すいていたので、入念に何度も見直した。
現在はピンク色や茶色の部分は、元々は紫色だったのではと思った。
<感想>
本稿もアップがすっかり遅れてしまった。受けた感動はひとかたならぬものがあったはずだが、残念なことにその後にあまりにも多くのことが重なったために、記憶が薄れてしまっている。
父がまだ存命していた時に「そろそろ取り組まなければ」とネットを開いたら、館長・松井英男氏が亡くなられていたことを知った。一度だけお会いし、国貞作品についていろいろお話をしていただいた。
多分このことにより、当館は目下休館となっている。平木浮世絵美術館も豊洲のららぽーとから撤退し、実に残念に思う。つつしんで松井氏のご冥福をお祈りすると共に、どのような形であれ松井コレクションとの再会が叶い、感動がよみがえるのを切に望んでいる。
by nene_rui-morana
| 2014-09-20 10:20
| 旧展覧会・美術展(日本編)
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