国貞美人変遷展 Ⅰ

[会期] 2013年8月1日(金)~24(日)

[会場] 礫川浮世絵美術館

 歌川国貞に魅了され、彼の情報をネットで検索していて辿り着いたのが当館ホームページ、以後何度か足を運んだ。
当然ながら、ホームページで標記展覧会の情報を目にした瞬間に、迷うことなく鑑賞を決意した。
 行った日時は記録してないが、真夏で会場への往復には蝉時雨を浴びた。
 今回の展示作品は、総て国貞署名だった。

 【北国五色墨】シリーズは、【内証の女房A】と【吉原芸者】の2点を展示、英泉の作品を思わせる艶っぽい作品、獅子の横顔?のコマ絵も心に残る。前者は、神棚とそこに飾られた御神酒、狛犬、おかめ面、祝儀など、国貞らしいバラエティあふれるアイテムが盛りだくさんだった。
 【六歌仙】は、扇形に草子を重ねる形で描かれていた。

 【新板錦絵当世美人合】シリーズは、国貞作品の真髄が満喫できる作品、各種アイテム、着物や帯の柄や色、草子形のこま絵、等々、いくら見ても見飽きない。

 【奉納[手拭見立] 柳ばし堀川屋おしゅん】は、タイトルのとおり、手拭い型のコマ絵に「奉納」の字とタイトルが書かれていた。

 【江戸花見多亭六歌仙】は多分もとは三枚続だったと思う。
【水無月 富士の夕立】も同様で、タイトルにあるが見当たらない富士山は失われた部分に描かれていたのだろう。突然の雨に慌てる洗濯女(かなりの美女)をリアルに描いている。耳を覆う子どもから雷がなっていることもうかがえる。

 【当世三十弐相 ゑらい所のお娘御じや相】はこの日最も注目した作品の一つ、鏡形のコマ絵、モデルの美しさ、帯、着物、髪飾り、少々退色しているが、大変美しく華やかな逸品だった。
 【三人娘 鼓 三味線 太鼓】も、扇の形に書かれた詞書きが強い印象を与える。
【卯春新板 足を洗う美人】【当世六玉顔 高野の玉川】【当世道行振 小さん 金五郎】【当世人情天眼鏡 仲町之花:懐手】など、いかにも国貞らしい作品が続いた。

 一方で、【花鳥余情吾妻源氏】シリーズ2枚は、これまでの国貞作品とは少々違う印象を受けたが、これはこれでまた心に残った。

 【江戸八景 花屋しき 秋月】も大変気に入った作品の一つ、咲き乱れる秋の花や秋草・水の表現などにに琳派とは違った魅力があり、非常に見応えがあった。ボッティチェリの【春】が思い出された。

ケースの中には、いささかエロティックな作品が展示されていた。

<感想>
 見学から一年以上が経過し、この間は本当にいろいろなことがあったため、大好きな国貞作品に胸躍ったであろう本展覧会についても残念ながら明確な記憶がない。しかし、当日のメモに「もっと見ていたい。」と記してあるので、興奮冷めやらぬ中、名残を惜しんで会場を出たのだろう。詞書が読めず、学生時代に古文書や変体仮名の勉強をしておかなかったことも後悔している。
 他の絵師のそうだが、国貞作品も「六歌仙」や「源氏物語」などを見立てた作品が多数ある。描く方も見る方も、それなりの教養がなければ理解できない。幕末は庶民の間にも今日の我々が学校の授業で習うレベルの古典の知識が広まっていたことがうかがえた。
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by nene_rui-morana | 2014-09-06 20:27 | 旧展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)