企画展示「向島・今昔ものがたり-江戸人の愛した行楽地-」

f0148563_22113665.jpg[見学日] 平成26年6月29日(日)

[会 場] すみだ郷土文化資料館


 これまで何度か足を運んできた当館、標記企画展の情報を得た時も興味をそそられる内容なので必ず行こうと思った。
 当日はこれまでと同様、近くの三囲神社をお参りしてから館へと向かった。いつものように料金を払い、エレベーターで3階に上がった。

 展示のスタートは【安政新刻 隅田川向島絵図】、制作は大政奉還の前年とのこと、その後は浮世絵や草子などお馴染みの展示が続く。
 現在は東京スカイツリーの町として全国的に注目を浴びている墨田区、本企画展のタイトルのとおり、江戸時代の向島は風光明媚な景勝地として愛された。当地の名所は数多くの浮世絵に描かれ、時のVIPの別荘などもあった。
 
 本日も、歌川国貞や広重、渓斎英泉らの浮世絵を堪能した。
 国貞(署名は三代豊国)の【雪月花の内 花曇】は、墨堤から屋形船に乗り込もうとする芸者の一瞬の姿を見事に切り取っている。桜餅や桜の枝、都鳥の折鶴など、当地ゆかりのものを描き込む気配りも忘れていない。Viva、国貞!と叫びたくなる珠玉の逸品である。
 広重と国貞のコラボ作品【東都高名会席尽 小倉庵】は当地の高級料亭を描いたもの、【会席即席御料理番付】はこの小倉庵と八百松の名が見られる。いずれも、武士階級の利用もあったという。

 川瀬巴水は最近魅せられている画家、【霧之向島】は情趣あふれる上品で美しい作品だった。
 墨田区出身の小林清親の作品も見られた。

 今回は写真展示もあり、こちらも強く心に残った。
 注目したのは、米軍が撮影した航空写真、昭和23年と31年のものが日本陸軍撮影の昭和19年のものとあわせて展示されていたが、戦前の町並と空襲で焼け野原になった惨状、そしてそこからの復興が如実に見てとれた。
 他には、明治34年4月3日に撮影された【第一回労働者大懇親会】、撮影場所は白髭神社脇の境内、これが事実上日本最初のメーデーだという。
 明治43年の水害の写真は、何度見ても感じるものがある。
 関東大震災で社殿が大きく傾いた三囲神社の写真もあった。しかし当社とその周辺の一角は、東京大空襲では焼け残ったと当時から区内に住んでいる人から聞いた覚えがある。一方で近くの言問橋での犠牲者は都内でも特に甚大だったことが近年の研究で明らかにされている。

 2階展示室では、【江戸の花火】の特集展示がされていた。
 こちらでも、国貞の【吾妻橋夕涼之景】【見立隅田川夕涼】や、弟子・歌川貞秀の【東都両国ばし夏景色】、清親の【両国花火之図】などを楽しんだ。


 今回の展示作品のほとんどは、おそらくこれまでにも何度か見ていると思う。しかし、葛飾北斎が生まれ国貞も数多くの作品で描いた墨田という土地には非常に魅力を感じるので、今後も当館で企画展が開催される時は、可能な限り足を運びたいと思っている。

 見学を終え、本日の次の目的地・三井記念美術館に移動すべく、地下鉄・本所吾妻橋方面へと向かった。
 いつものことながら、言問橋詰から眺める東京スカイツリーの姿は絶品だった。
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by nene_rui-morana | 2014-08-04 10:10 | 東京スカイツリーの町から | Comments(0)

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