特別展 医は仁術

f0148563_21223263.jpg [見学日] 平成26年6月14日(土)
 [会 場] 国立科学博物館

 標記展覧会のチラシは、父の存命中に訪れた上野のどこかの展覧会で入手した。我が歌川国貞の浮世絵が掲載されていたこともあり、ぜひ行きたいと思った。
 その後に父が急逝したため、一時は見学を断念しかけたが、何とか実現にこぎつけた。6月14日に展覧会見学を復活したのは、本展覧会の会期が翌日までだったことによる。
 当日は藝大美術館で法隆寺の展覧会を見た後、徒歩で現地へと向かった。入口近くに野良の子猫が水溜りの水を舐めていて、とても可愛かった。

 当館は子供の頃に、動物園とセットで一家で訪れた記憶がある。前回訪れたのは2000年の≪ダイヤモンド展≫だったと思う。
 内部はかなり変わっていて、かすかに記憶に残る往年の面影はなかった。


≪第一章≫病はいつの時代も身分の貴賤なく人々を襲う
 スタートのこの章には、お馴染みの歌川国芳作【大宅太郎光国妖怪退治之図】や、歌川芳虎の浮世絵などが展示されていた。以前に別の日本画の展覧会でその名を知った霊獣を描いた【白澤之図】も見られた。





≪第二章≫東から西から医術の伝来
 このコーナーの見ものは【五臓六腑図】、京都の某寺で仏像の胎内から発見された布製の内臓が展示されていたのを思い出した。同様に【経絡人形】は墨田区の江島杉山神社で同様の人形を見た記憶がある。曲直瀬道三の名もどこかで聞いている。
 他にも、英一蝶作【神農図】や、お隣の墨田区にあった平戸藩邸に伝わったという【松浦家漢蘭医書箱】など、興味深い展示がされていた。平戸の松浦家には、他藩に先駆けて多くの医学情報がもたらされたことが想像できる。シーボルトのお抱え絵師・川原慶賀が描いた【ヒポクラテス像】も出展されていた。ある【医学書・薬箱】は、かの原遊羊斎の作と伝わっている。
 個人的に注目したのは、日本に帰化して<沢野忠庵>と名乗ったポルトガル宣教師フェレイラに関する展示、私は読んでいないが遠藤周作氏の『沈黙』にえがかれているという。拷問に耐え切れず棄教して日本に留まる道を選んだ西洋人もいたことが分かった。彼らは医学を含めた貴重なヨーロッパの知識・情報を江戸初期の日本にもたらしたのだろう。
 

≪第三章≫医は仁術~和漢才知魂洋才の医~
 展覧会のタイトルにもなっている最大のコーナー、流石に見応えがあった。
 大和本草、養生訓、貝原益軒、ドゥーフ・ハルマ、桂川甫周、中津、平戸、シーボルト、エレキテル、等等、日本史の教科書にも登場するお馴染みの面々が名を連ねていた。高校時代に読んだ小説の主人公・華岡青洲も登場した。
 注目したのは、司馬江漢作【和苗茶臼】(コーヒーミル)、薬屋の看板、漢方薬、【長崎瓦版図巻】など。
 最大の目玉は何といっても【解体新書】に関する展示、少し以前に見た関連テレビ番組を思い出しながら、じっくりと見入った。今回が初公開となる【杉田玄白・桂川甫周書軸】や玄白直筆の書なども出展されていた。
 本日は他にも、やはり日本史で習った山脇東洋の【蔵志】や【解剖図】も見ることができた。
 本コーナーにはまた、江戸時代の死刑囚の解剖の様子を詳細に伝える資料も多数展示されていた。正直、かなりグロテクスな内容ではあるが、事実を正確に描いた絵巻などは大変見応えがあった。【刑死者解体図】は藩に提出する報告書といわれ、医者や絵師の姿も描かれていた。当然のことなのだが、解剖された死刑囚の中には女性もいたことや、頭部の解剖も行われたことを認識した。
 国貞の【房事養生鑑】も、自分にとっては嬉しい展示だった。


≪第四章≫近代医学と仁  ≪第五章≫現代の医 
≪終章≫医は仁術  ≪第2会場≫
 本展覧会では出品リストが配布されなかったので、音声ガイドを借りなかった自分には各展示の正確な名称や出展コーナーが分からない。特に終盤近くの第四章以降はよく思い出せない。
 近代の歴史関係書でその名を知ったポンペやボードウィン、現在に残る順天堂などに関する展示があったように思う。
 第五章は、やはり今の自分には感じるものがあった。
 鉄拳のパラパラ漫画シアター「受け継がれる仁」は、やはり胸に迫るものがあった。自分自身は、10代の頃に家業の倒産や家族の病気を黙っていたがために同級生や先輩から誤解を受けた経験があり、昔の職場では上司や同僚の不始末の尻拭いをさせられて大いに人生を歪められ、父の病気についても最後まで職場には話さなかったので、劇中のお母さんの気持ちがよく分かるように感じた。


<感想>
 繰り返しになるが、本展覧会は今の自分にとっては相応しい内容であり、見られて良かったと思っている。歴史的に貴重な資料にも多数触れられ、有意義だった。
 本展覧会のタイトルは、父の看護を通じて、自分も繰り返しそう感じてきたことをここに記したい。
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by nene_rui-morana | 2014-07-22 21:23 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

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