特別公開展示  本所の日本画家、鈴木秀太郎の描いた関東大震災

 平成25年11月3日の文化の日、関東大震災の企画展を見るためにすみだ郷土文化資料館を訪れた際、1Fでは標記展示がされていた。自分にとっては想定外の展示だったが、感じたものは企画展にまさるとも劣らなかった。

 画家・鈴木秀太郎は関東大震災当時、東京市本所区相生町5丁目(現在の墨田区緑1丁目)に居住していた。この地区は都内でも特に甚大な被害を受け、秀太郎も九死に一生を得た。
 後日、自身で見聞した震災の状況を、【大正震災本所方面見聞誌】と【大正震災図絵 本所方面】の2点の資料に残した。この作品は鈴木が家族に震災の被害状況を伝えるために描いたもので、他者への閲覧を許さなかったが、震災発生後90年目にしてその存在が確認され、ご親族のご厚意により公開の運びとなったという。

 会場には、作品の拡大版レプリカがパネル展示されていた。プロの画家の作品だけに、臨場感があり非常に見応えがあった。特に後世の伝えるべき視点で描かれていると感じた。随所に文章も添えられている。私が愛する、日本の絵巻物の近代版のような印象を受けた。
 鈴木の名は今回初めて知った。近代の画家を紹介した書籍等でも見かけた記憶はないが、この作品は間違いなく、震災の事実を後世に伝える貴重な史料だろう。
最近あるテレビ番組で、安政の大地震を描いた絵巻物を知り、大いに感銘を受けた。この作品は現在は国宝か重文に指定されていたと記憶しているが、鈴木のこの2作品も、将来は同等の評価を受けるに値する逸品だと思う。
 いつまで見ても見飽きないが、本日3箇所目の見学で足腰の疲れも限界に達しており、残念ながら念入りに見られたとは言いがたい。ネット等で再確認することもできない。
展示室内の机上にはコピーサイズで製本された複本も置かれていた。許されるのであればこの複本を、当館や墨田区内の図書館、都立図書館などにいつでも閲覧できるように常設してほしい。あわせて将来、オリジナルが寄託されているという国立歴史民俗博物館などで、原本の展覧会が実現することも切望する。
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by nene_rui-morana | 2014-02-03 21:05 | 東京スカイツリーの町から | Comments(0)