ミケランジェロ展 天才の軌跡

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                [副 題] システィーナ礼拝堂500年祭記念

                [見学日] 2013年10月4日(金)

                [会 場] 国立西洋美術館


 ミケランジェロは自分にとっては忘れられない芸術家なので、標記展覧会は何としても行きたかった。身辺の諸事情により一時は断念しかけたが、何とか興福寺展の後に足を運ぶことができた。
 *レオナルド・ダ・ヴィンチに関しては本ブログでは『レオナルド』と標記していますが、本稿では同名のミケランジェロの甥と区別するため、『ダ・ヴィンチ』と記します。


第1章-伝説と真実;ミケランジェロとカーサ・ブオナローティ
 標記タイトルが示すように、本展覧会はミケランジェロの甥レオナルドの子孫に伝えられたコレクションを引き継ぐフィレンツェの『カーサ・ブロナローティ』の所蔵品を紹介したもの、フィレンツェには二度行ったが残念ながらここには訪れていない。
 展示のスタートは【ミケランジェロの肖像】、作者はマルチェッロ・ヴェヌスティに帰属した人といわれる。
次いで注目したのは、彫刻家レオーネ・レオーニによる【ミケランジェロのメダル】謝礼用といわれ、試作もあわせて展示されていた。
 そして待望のミケランジェロ作品の登場、俄然気持ちはハイになる。
 【食べ物のスケッチと3種のメニュー】は、以前見たダ・ヴィンチの書簡を思わせるものがあった。
 続いて、甥レオナルドに宛てた手紙数点を展示(一部は代筆)、大芸術家ミケランジェロの人間性・愛情が感じられた。
 カラスのイラストも入った【ルイジ・デル・リッチョに送られたチェッキーノ・ブラッチを讃える4つの墓碑銘】も心に残った展示の一つ、文末に当時ミケランジェロが居住していた通り<マチェル・デ・コルヴィ>の記載も見られた。
 とても美しい【レダの頭部習作】は男性がモデルともいわれ、弟子アントニオ・ミーニという具体的な名前もあがっているという。




第2章-ミケランジェロとシスティーナ礼拝堂
 タイトルを見ただけで心躍るコーナー、小学生時代にその存在を知って以来、システィーナ礼拝堂とそこにあるミケランジェロ作の至宝については、数多くの関連書や美術書に目を通し、特集テレビ番組等を視聴し、ついには自身で現地を訪れ直に接した。これら長年に渡って自分の中に培ってきた記憶や思い出を心の中に呼び起こしながら、ひときわ念入りに展示作品を鑑賞した。
 スタートはミケランジェロによるシスティーナ礼拝堂天井画の習作群、このジャンルは好きだし、当然ながらあの大作を仕上げるためにミケランジェロは骨身を削って準備にあたったことも体感できて、感無量だった。
 ジョンジョ・ギージによる【最後の審判】の版画は19世紀に制作されたもの、この作品により現地では視点からの距離が遠いためよく分からない細部まで見ることができて、これも嬉しい内容だった。
 グスターヴォ・トニエッティ作【ミケランジェロ改築以前のシスティーナ礼拝堂(復元図)】とフランチェスコ・バルバッツァ作【システィーナ礼拝堂内部の景観()】からは、タイトルのとおり世界的な文化遺産の往年の姿がうかがえた。


 階段で地階へと下りると、<史料コーナー>と<映像コーナー>で、4Kフィルムによる写真などによりシスティーナ礼拝堂が紹介されていた。ローマとフィレンツェの関連史跡地図は、自身が彼の地を訪れた時の記憶と重ねながら見た。


第3章-建築家ミケランジェロ
 彫刻家として画家としてルネサンスに輝かしい足跡を残したミケランジェロ、これまで触れる機会は多くなかったが、建築家としての側面も持ち合わせていた。このコーナーにはこの分野の業績を示す作品が展示されていた。
 【ユリウス2世の霊廟に使用する大理石のスケッチ】【サン・ロレンツォ聖堂のファザード、および自筆の書き込み】には書き込みが、【ピエトロ・ウルバーノ・ダ・ピストイア宛ての手紙[1518年4月2日]】【教皇クレメンス7世宛ての手紙[1525年1月末あるいは2月上旬]】には署名が見られ、ここでも人間ミケランジェロと共に、彼が生きた時代、華麗な人脈も感じることができた。
 ピエル・パオロ・マルツィと教皇クレメンス7世による【ミケランジェロ宛ての手紙[1525年12月23日]】は、教皇の自筆部分もある貴重な史料である。


第4章-ミケランジェロと人体
 いよいよ本展覧会の目玉、【階段の聖母】との感激の対面となる。ミケランジェロ15歳頃の作品といわれ、「超薄肉浮彫」と呼ばれる技法を用いつつもマリアの全身を立体的に掘り出し、力強い存在感を与えている。後世を彷彿とさせるオーラあふれる逸品、門外不出とされてきたこの作品を東京で見ることができた喜びは計り知れない。
 対して【キリストの磔刑】は晩年の作品、70年にわたる歳月をミケランジェロは芸術に捧げてきた。
展示のラストは【クレオパトラ】、背面には茫然とする老人が描かれている。輪郭線の表現から強烈なインパクトを受けた。
室内にはまた、彼とほぼ同時代に制作された【ケンタウロスの闘い】のパネルも展示されていた。


≪感想≫
 2013年は、ルネサンス三大巨匠の作品を東京で見ることができて、本当に幸運だった。
 芸術家としてのミケランジェロに関しては、それなりの数の関連書やテレビ番組を視聴してきたのでそこそこ知っているつもりだったが、親族について触れられたものはなかった。よって彼に甥がいたことは、恥ずかしながら今回初めて知った。生涯独身だったミケランジェロに関しては、これまで「孤高かつ頑固な芸術家」というイメージを勝手に抱いていたが、愛情を注いだ甥がいたことを知り、これは間違いだったと反省している。手紙や署名からは「人間ミケランジェロ」が感じられ、これまで知らなかった彼の一面に触れられた意味でも、自分にとっては大いに意義のある展覧会だった。あわせて、スケッチや習作のような小作品からも、ヴァチカンに残る大作とはまた違ったミケランジェロに接することができた。数か月前に見たダ・ヴィンチの手稿が頭に浮かび、両名は対抗心を燃やしていたが芸術家として共通する部分もあったように思った。
今の自分には海外旅行は叶わぬ夢だが、いつの日か再びフィレンツェを訪れ、カーサ・ブオナローティに足を運んで、至宝の数々と再会する夢は持ち続けていたい。
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by nene_rui-morana | 2014-01-22 15:04 | 旧展覧会・美術展(西洋編) | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。


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