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不折が学んだ、書聖・王羲之

不折が学んだ、書聖・王羲之_f0148563_20443814.jpg[副 題] みんなが見たい優品展パート10
          -中村不折コレクションから-

[会 場] 台東区立書道博物館


 2月10日(日)に平成館で見た王羲之の特別展には、地元の台東区立書道博物館からの出品が多数あった。会場内には標記展覧会の案内も掲示されていた。係の方にうかがうと、徒歩20分ほどかかり場所も少々分かりにくいとのこと、しかし時間もありお天気も良かったので、散歩もかねて足を運ぶことにした。
 鶯谷方面へ歩き、途中見つけた店で遅い昼食をとった。
 近くまでは思ったより早く行けたが、持ち前の方向音痴が災いして案内板を見つけたのに所在地が分からない。界隈は正直街歩きには相応しくないカラーなので、早く入館したいと思い地元の方に教えていただいた。
 路地を入った所にようやく見つけて、ほっとした。すぐ近くには再建されたものだが【子規庵】がある。


 当館の前身は、明治から昭和にかけて活躍した洋画家・書家の中村不折(1866年~1943年)が蒐集したコレクションを紹介した書道博物館、長きにわたり中村家が維持・管理してきたが、平成7年にコレクションが台東区に寄贈され、12年に新たな書道博物館としてスタートを切ったという。私はこの日に初めて中村不折の名を知った。


 建物は2つに分かれ、まずは受付のある2F建ての≪中村不折記念館≫で標記展覧会を見学した。数は多くないが館内でグッズや図録の販売もしている。
 不折自身の書の拓本、今見たばかりの王羲之の書(拓本や碑)、施設の規模は大きくはないが、内容は大変充実していて、興味深く見た。展示や解説から学べたこともあった。
王羲之といえば【蘭亭序】があまりにも有名だが、手紙を集めて作った法帖【十七帖】も草書の手本として広く学ばれているという。平成館に引き続き、この作品の別バージョンを当館で鑑賞した。【十七帖-欠十七行本-(宋拓)】はタイトルのとおり、全体のうち十七行が欠落している。
 なお、【法帖】とは複製品のことで、複数の書家の書をまとめた法帖を【集帖】、単独の書家の書を複数まとめたものを【専帖】ということも、本日知った。
 個人的には、永和12(356)年という年(【蘭亭序】の3年後)が特定できる【東方朔画賛(「停雲館帖」所蔵)】が特に心に残った。王羲之の貴重な楷書作品である。
 

 本館も2F建てで東京都指定史跡となっている。入口に「猫が入るので扉は必ず閉めて下さい」と貼り紙がしてあるのが微笑ましかった。
 1Fには、石碑・刻石、仏像、玉器などが展示されていた。書の展覧会では紙に書かれた作品や拓本が中心で石碑はなかなか見る機会がないので、かなり古い時代のものもあり興味深く鑑賞した。
 2Fでも、青銅器、板碑、硯、墨などの他、見る機会の少ない展示を目にすることができた。墓誌や瓦経は特に印象に残る展示だった。
 ここでも新たな遭遇があった。
【塼】は装飾用の建築資材として使われたレンガのこと、文字や紋様が見られ、【大塼(大型のもの)】や【空塼(中身が中空のもの)】などの種類がある。展示の横からものぞき、念入りに見た。
【墓券】は墓の権利書、展示されていたのは2世紀のものというから、卑弥呼の時代より古いことになる。


 見学した時間は少なかったが、バラエティーに富んだ展示の数々は大変見応えがあり、足を運んでよかったと思う。
 中村不折も、昨年に特別展を見た青山杉雨も、日本の著名な画家は目利きとしても超一流であったことを再確認した。
 今後は、当館で学んだことを、書道関係の展覧会で生かしていきたいと思う。
by nene_rui-morana | 2013-09-22 20:45 | 旧展覧会・美術展(東洋編) | Comments(0)

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