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市川團十郎 荒事の世界

[副 題] 日比谷図書文化館開館1周年記念特別展

[見学日] 平成24年10日20日(土)

[会 場] 千代田区立日比谷図書文化館

 某博物館を訪れた際、館内で表記特別展のポスターを目にする。近年足繁く通いつめている浮世絵の展覧会で江戸の役者絵には並々ならぬ興味を抱いており、何よりも我が歌川国貞の浮世絵も出展されるだろうと思い、足を運ぶ決心をした。
 当日は山種美術館で竹内栖鳳の特別展を見た後、恵比寿に出て地下鉄で現地へと向かった。

 日比谷図書館へは都立館時代に大学のレポート作成や仕事の資料探しで何度か訪れた。千代田区に移管されてから訪問するのは今回が初めて、内部が改装されて往年とは比べものにならないほど綺麗かつ明るくなっていた。図書室では関連資料コーナーなども設けられ、こちらもじっくり見たかったが、本日は時間がなかったので、早々にチケットを買って会場へ入った(実は先述の博物館で配布されていた割引券が財布に入っていたのだが気がつかず少々悔しい思いをした)。
 展示室はそれほど広くはなかったが、歌舞伎の衣装、写真、台本、そしてもちろん浮世絵や番付などが展示され、音声も流され、興奮に心が躍った。
 * 本展覧会のタイトルは表記のとおりなので、本稿では「團十郎」と書かせていただきます。

 入ってすぐの所に展示されていた【千歳座新舞台仕初図】(明治18年制作)の右端に描かれている<市川金太郎>は幼き日の七代目・松本幸四郎、現在の松本幸四郎氏や市川團十郎氏のお祖父様、それぞれの息子さんや甥御姪御さんの曾祖父様である。

 ≪團十郎の代々≫コーナーの壁にはタイトルのとおり歴代團十郎の肖像を展示、初代から八代までは浮世絵で九代以降は写真、傍らのケースにはゆかりの品々が出展されていた。
 初代・鳥居清信描く【風流絵本四方屏風】は、現代のマンガのような印象を受けた。
 溪斎英泉の【文化十五年絵暦 七代目市川團十郎】は、作者、作品のジャンル、モデルなど、面で現在の自分が魅了される多くの要素が凝縮した本日の大ヒット、感激で胸が一杯になった。モデルの似絵と三升紋が心に残る。

 本日はまた、≪團十郎ギャラリー≫で現十二代目の舞台や楽屋の写真パネル、その他にも、台本、番付、挨拶状などが展示されていた。普段はなかなか目にすることのない品も多く、これらを見られたことも大変嬉しかった。
 また展示室内には【荒事-その魅力】というタイトルの映像も放映されていた。

中央の柱に展示された≪歌舞伎十八番≫は文字通り本日のクライマックス、さほど歌舞伎に詳しくない私でも知っている【暫】【勧進帳】【助六】など現代人にも親しまれている演目の魅力を、国貞(署名は三代豊国)の卓越した筆があますところなく表現している。その素晴らしさは毎度のことながら、自分の拙い筆力では到底表現できない。何度も柱の間を廻り、繰り返し鑑賞した。特に【七ツ面 ななつめん 十八番の内八 面打賀古世赤右衛門】は気に入った。
国貞の役者絵を見る度に、版元の指示はもちろんあるが、国貞自身も歌舞伎が大好きだったのであろうことがうかがえる。作品からは、国貞がこめた情熱が伝わってくる。
なお、本日も展示室内で件の八代目の姿?を見かけたが、やはり彼は大変美男子だったと感じる。

近年急激に傾倒している内容の集大成ともいえる本展覧会、大変充実した展示で大いに満足した。江戸の歌舞伎や役者絵に関してはまだまだ初心者だが、本展覧会を今後の足掛かりとしたい。

会場を出た時はとっぷり日も落ちていたので、館内のレストランで夕食をとることにした。
昔利用したのは学食と大差ない食堂だったが、今は地下にお酒も飲めるお洒落なレストランが入っていて、感激の余韻にひたりながら食事することができた。
by nene_rui-morana | 2013-01-24 21:52 | 旧展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。

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