2012年 11月 04日
フェルメール光の王国展 ②
以下に、今回世界に散らばるフェルメール作品を一度に見て感じた独断的フェルメール論を記したいと思う。
既述のように複数の作品の中には、部屋に始まり、衣装、調度、モデルなど、複数の共通点が見出された。描かれている人物は、上品で美しく裕福そうな人もいるが、少なくとも王侯貴族のような特権階級でも絶世の美男美女ではない。新興ブルジョワとその使用人の日常生活の一コマが切り取られている点は、日本の浮世絵とどこか似ている。
これらから推察するに、おそらくフェルメールは、自身が理想とするアングルや採光がとれる自宅(おそらくは多くの研究者が指摘している義母の邸宅)の一室をアトリエとし、そこで自宅にあった家具や調度を用いて制作にあたったのだろう。中にはもちろんモデル指定の注文作品もあっただろうが、多くの作品のモデルは、家族や使用人・知人などフェルメールに近しい人々だったと思う。近代黎明期の写真家がある程度のコスチューム・小道具を揃えた自身のフォトスタジオでモデルを使って撮影したのと、ちょっと似ているように思った。
≪感想≫
フェルメールファンの日本人にとって、今年はまさに理想的な年だった。複数のオリジナルの来日に続き、今回レプリカではあっても世界中のフェルメール作品を一度に見られた喜びは計り知れない。
何回かフェルメール展に足を運び、風俗的な画風に日本の浮世絵との共通点を感じたが、本展覧会でも「フェルメールが用いた絵具は7種類で他の画家よりは少ない。」との解説を目にして、ますますその思いは強まった。
各作品の素晴らしさについてはとても自分の拙い筆力では表現できないが、本当にフェルメール作品はいい。個人的には、激動の時代を生きる人々のたくましさ・したたかさが伝わってくる【兵士と笑う女】のような作品もいいが、やはり【窓辺で手紙を読む女】(窓に映る女性の姿の表現もたまらない)のような上品で静かな作風が好みである。また、フェルメール作品のモデルには、王侯貴族のような金銀ダンヤモンドのきらびやかな宝飾品よりは、やはり真珠が相応しいと感じた。
二度目の訪問で【デルフト眺望】が真っ先に目に入ってきた時、いつの日か必ずマウリッツハイス美術館を訪れてこの作品を見て、あわせて何としても【真珠の耳飾りの少女】との再会を果たさねばと思った。<フリッツ・コレクション>3点はすべて気に入ったが門外不出のため、オリジナルを見るには現地に足を運ぶしかない。これらを含めて、世界各地のフェルメール作品を全て制覇するのが、今の自分の見果てぬ夢である。
盗難にあい所在不明の【合奏】が一日も早く発見され、この目で見られることも、心より願ってやまない。
今回も、クリアーファイルや絵葉書などを記念に購入した。
会場までの往復の途中の地下鉄・三越前駅では、日本の道に関するパネル展が行われていて、こちらも印象に残った。
by nene_rui-morana
| 2012-11-04 15:50
| 2012フェルメールYEAR
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