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内国勧業博覧会-明治美術の幕開け

[見学日] 平成24年6月10日(日)

[会 場] 宮内庁三の丸尚蔵館


 三の丸尚蔵館のHPで表記展覧会の情報を得る。内国勧業博覧会や外国の万国博覧会には最近とみに関心が高まっており、帝室技芸員の作品も出展されるので、ぜひ見たいと思った。情報を得てから会期終了までの期間が短く、調整にはひと方ならぬ苦労があり、かなり雨足の強い第2期最終日に何とか会場に赴くことができた。
 まず目に入ったのは【第四回内国勧業博覧会授賞人名録】、宮川香山や川之邊一朝らの名前が本籍地(もしくは住所)と共に見られた。
 展示作品のいくつかは過去の展覧会で既にお目にかかっているが、なかなか見る機会の少ない明治期の芸術作品に再び接することができた喜びは並々ではない。

 明治期の美術の中でも特に魅了されているのは七宝焼、個人的には並河靖之の有線七宝がお気に入りで、本日は【舞楽図花活】が出展、十八番の花鳥図ではないが細部まで繊細に表現されている。一方でもう一人のナミカワ、濤川惣助の【寰宇無双図額】も素晴らしかった。知らずに見たら、この作品が七宝だと分かるだろうか。

 【綴織平等院鳳凰堂図】も、タイトルを見なければ絵としか思えないが、双眼鏡で覗くと緻密な織りに驚嘆させられる。作者・西村治兵衛の名も並河らと共に最近の展覧会で知った。
 華やかな【孔雀鸚鵡図】(瀧和亭作)も多分過去に見ていると思う。

 どの展示も素晴らしいが、木彫の【義経高松ノ図額】(荒川嶺雲作)や、慶派作品を思わせる【鬼神置物】(山田鬼斎作)などが、特に心に残った。

 柴田是真の【温室盆栽蒔絵額】は、本日の至宝の中でも珠玉の逸品、金・銀高蒔絵や研出蒔絵など、様々な蒔絵技法を駆使して質感を巧みに表現、特に簾は絶品、繰り返し作品の前に立ち何度も見た。何年か前に山種美術館で是真の展覧会が開催されたが多忙にかこつけて行かなかった。その後別の展覧会でその作品の素晴らしいを知り、大いに後悔している。今回この作品を見られた感激は計り知れない。将来再び是真の展覧会が実現したら、必ず足を運びたい。

 今回はまた、内国勧業博覧会に関するパネルや、最後となった第5回(大阪)の写真なども展示されていた。

 展覧会の規模としては大きくはないが、貴重な作品を見ることができて、大変嬉しく思っている。
 いつかぜひ、内国勧業博覧会や帝室技芸員をテーマとしたより大規模な特別展が実現することを、心底願っている。

*P.S
 本展覧会は三期に分けて展示替えがされましたが、第二期のみ鑑賞が叶いました。
by nene_rui-morana | 2012-07-30 20:41 | 旧展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

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