2012年 04月 28日
北京故宮博物院200選 ②
第Ⅱ部を彩るのは清朝の華麗な文物の数々、特に中国史上屈指の名君とされる乾隆帝は展示の中で重要な位置を占めている。
第1章 清朝の礼制文化-悠久の伝統-
展示のスタートはそのものずはり【乾隆帝像】、25歳の若き日の肖像画で作者はイタリア人ジュゼッペ・カスティリオーネと言われている。
続いて、皇帝や皇后の礼服、宮廷女性を華やかに彩った簪や髪留・腕輪・数珠などが展示されていた。金印も見応えがあった。
【康熙帝南巡図巻】はこの日特に心に残った逸品、、私が好きな日本の絵巻物や屏風絵と共通点があるが、よりスケールが大きく壮大かつ多彩な逸品、何時間見入っても見飽きそうになく、この後も幾度となく作品の前に戻って特に念入りに鑑賞した。もともとは全十二巻で現存するのは九巻、本日展示されているのは第十一巻と十二巻だが、それだけでも圧倒的なボリュームがあり、清朝皇帝の権威・文化に対する造詣の深さを体感した。壁には各所の現在の写真をパネル展示、破壊された建物など現存しないものは日本の小川一真が撮影した写真が往時の様子を伝えていた。
【御製五体清文鑑】は五か国語の対訳標音辞典、満州族である清朝皇帝は他民族の伝統文化を尊重することで国家を統治してきたが、その歴史を物語る史料ともいえると感じた。
第2章 清朝の文化事業-伝統の継承と再編-
このコーナーの主役はもちろん乾隆帝、【乾隆帝是一是二図軸】は至宝の数々に囲まれて物思いにふける乾隆帝の姿が描かれている。そして背後にはこの作品に描かれている遺愛の品々を展示、清朝皇帝は名宝の数々に囲まれて生活していたことを再認識した。
【藍地粉彩蓮華文花盆】はサンプル画である【粉彩蓮華文花盆 図様】と併せて展示されており、興味をそそられた。
数々の調度、書画、写本、等等、展示のすべてを語りつくすことは到底できない。
第3章 清朝の宗教-チベット仏教がつなぐ世界-
仏教関係を展示したこのコーナー、【八宝法具】は≪空海展≫などで見た日本の法具が思い出されたが、より綿密な装飾が施された華麗な作品だった。
インド・バーラ朝の仏像には宝飾も施され、華やかな印象を受けた。
チベット仏教にも寛容な政策をとった清朝、本日は通常では接する機会の少ないこの分野の展示も見られ大変嬉しかった。【大威徳金剛立像】は多くの顔や手など複雑な造形が卓越した鋳造技術で完成され、どこかユーモラスな印象を受けた。
第4章 清朝の国際交流-周辺国との交流-
ラストの章にも乾隆帝の肖像画が展示されていた。【乾隆帝大閲像軸】は騎馬民族に相応しく凛々しい馬上姿で描かれている。
【銅製鍍金三辰公晷儀】【銅製鍍金嵌琺瑯晷儀】は清朝の学問水準の高さがうかがえる作品、【銅製鍍金琺瑯亭昇降塔飾置時計】はオルゴールとからくりも仕掛けられ、金や青・緑など色の造形も鮮やか、鑑賞用としても超一級の美しい逸品だった。
【万国来朝図軸】には、日本の他に朝鮮や琉球、また清とは藩属関係になかったイギリスやフランスの使者も描かれていて、国際色豊かで多くの情報が入ってきた当時の北京の姿がうかがえる。
【乾隆帝生春詩意北京図軸】は本展覧会を締めくくるに相応しいダイナミックな大作、縦横2メートルを超える絹本に、紫禁城・北京の町並み、彼方の山々、そして往来を行き来する人々が緻密に描かれ、非常に見応えがあった。私が好きな日本の風俗屏風絵や絵巻物をさらにスケールアップしたようで、隅々までじっくりと見入った。
本日はまた、館内で【紫禁城 天子的宮殿】というフィルムもリレー放映されていた。
by nene_rui-morana
| 2012-04-28 21:46
| 旧展覧会・美術展(東洋編)
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