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孫文と梅屋庄吉 後期

[副 題] 100年前の日本と中国

[見学日] 2011年8月20日

[会 場] 東京国立博物館 本館特別第5室


 8月6日に本展覧会を見た時、前期後期で展示が変わることを知り、ぜひ後期も来ようと決意した。
 当日はまず江東区の中川船番所資料館の企画展を見学した後、大雨の中、タクシーで上野へと向かった。


1章:清朝の黄昏
 前期同様、最初のこのコーナーから展示に魅了された。
 【太和門】【太和門前ノ金水橋】【保和殿中央ノ陛】さらには雑草が生い茂る【乾清宮】の写真などは、タイトルのとおり黄昏時を迎えた清朝末期という時代を如実に伝えていて、感慨深い。一方で【太和門前ノ戸棚】【太和門前ノ鏡】の見事な造形には驚嘆させられた。
 【朝陽門以北ノ城壁】には、堀?に船が浮かび、馬に引かれた荷車も写され、こちらからも時代を感じた。
 他では【上海蘇州竜化塔】が心に残った。


2章:孫文と梅屋庄吉
 このコーナーの展示品の多くは前後期共に出展、前回心に残った写真を再び見ることができて、大変嬉しかった。
 前回は記さなかったが、孫文の胸像や羽織なども展示されていた。


3章:幕末明治の日本
 こちらのコーナーの展示も前期に比べて遜色なく、自分にとっては非常に意義のあるものだった。20世紀の震災や戦災に襲われる前の、開国後来日した多くの外国人を魅了した日本の風景には、やはり感じるものがある。まるで映画の一シーンを見ているようだった。
 当会場にも程近い【上野不忍池】が伝える19世紀の景観を、頭の中に残る今日とのそれとを比較しつつ、念入りに見た。
 他の写真もすべて大変素晴らしかったが、とりわけ残ったのは長崎を撮影したもの、原爆で壊滅的な被害を受ける前の、鎖国下から外国との窓口になっていたこの町の写真には、歴史を愛する者をとらえて話さない魅力がある。【諏訪町通り】には彩色が施されていた。
 同様に横浜の様子を伝える写真にも魅せられた。【弁天通り】は彩色写真、【横浜海岸通り(2)】は船頭が漕ぐ船を中央においたアングルがとても良いと思った。


4章:近代中国の姿
 展示内容が変わったこのコーナーが伝える第二次世界大戦前の中国各都市の姿からも、強烈な印象を受けた。
 世界で最も愛する町・香港の写真では、雑多な町屋・高層建築・ぶら下がる洗濯物などに、今日相通じるものを感じた。
 北京のそれは、まるで映画やドラマの一シーンを見ているようだった。
 前期同様、特に心に残ったのは上海を撮影した【上海港】【上海河南路】など上海を撮影した写真、港町の光景は島国・日本を母国とする我々のアイデンティティーに訴えかけるものがあるような気がした。
 そう遠くない昔に夢中になってレンタルビデオ店の棚を制覇していった中国・香港映画、多くの作品で描かれていた戦前のセピア色の都市の雰囲気、今回の展示作品からの同じものが感じられて、いささか感無量だった。


5章:万国写真帖
 最後のコーナーの展示品も変わり、前期と同様、頭の中に各都市の現在の姿を思い浮かべながら、比較して見入った。
 【壬申検査関係写真】は18世紀の各地の名勝の姿を伝える貴重なもの、いくつかは過去の展覧会で目にしたことがある。華やかな美術品に比べれば地味な作品かもしれないが、これらも当館が世界に誇る貴重な資料・至宝だと自分は感じている。


 前後期を見た本展覧会は自分にとっては実に意義のある内容で、展示作品は魅力的なものばかり、また新たな学んだことも多く、いろいろ触発された。同時に日本人、ひいてはアジア人として、当然に知っておくべきことを知らなかった自身の不勉強も痛感させられ、しっかり学び直さねばと反省させられた。
 前期の繰り返しになってしまうが、本展覧会は中国にとっても意味のある内容だと思うので、個人的にはぜひ彼の国でも開催されることを切望する。良好とは言い難い昨今の日中関係を思うにつけ、戦前までの両国の関係を再確認することは、それなりに意義があるだろうと感じている。
 見学を終えた後、ミュージアムショップで記念の絵葉書等を購入した。図録にも魅力を感じたが、自宅書架も限界なので涙を呑んで諦めた。
 また本日は、以前に平成館の特別展も見ていたので、その記念の絵葉書も一枚いただけた。

PS.本稿のカテゴリを日本にするか外国するか、非常に迷い、妥協案として、前期は日本・後記は外国にアップすることにしました。
by nene_rui-morana | 2011-10-09 11:55 | 旧展覧会・美術展(東洋編) | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。

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