2010年 12月 02日
興福寺
拝観券を購入してまず向かったのが【五重塔】(国宝)、本日は初層が特別公開され、心柱を中心に安置された四組の仏様を拝観した。室町時代の再建で【東大寺大仏殿】と並び奈良市のシンボル的存在ともなっている名建築、今回内陣を見られた喜びは計り知れない。この塔に関しては明治時代の廃仏毀釈にまつわる有名なエピソードがあるが、あの時燃やされないで本当によかったと思う。
続いて【東金堂】(国宝)に入る。居並ぶ国宝・重文級の所像は圧巻、舞台のフィナーレで見栄をきる役者たちを見るような錯覚さえ感じた。四天王に踏みつけられた邪鬼までもポーズしているようだった。前面を何度か往復し、繰り返し見入った。
本日は【後堂】も特別公開されていた。通常は見られない【阿弥陀如来像板絵】に対面、貴重な機会が得られたことを天に感謝しつつ、こちらもじっくり見学、係員の方の解説は3回は聞いたと思う。下に安置された【正了知大将像】は11世紀の火災時に踊り逃げたという逸話が伝わる。現在の像は後世の再興だが、今回50年ぶりに東金堂にお里帰りしたとのことで、こちらも大変意義のある見学となった。
当寺のクライマックス、【国宝館】は今年3月にリニューアルされ、照明や展示場所が一新された。館内は大変混雑していた。
【阿修羅像】は東京でお会いした時より少しふっくらされたような印象を受け、壁に映った影もなかなか幻想的だった。【仏頭】を含めた館内の展示作品については多くの方が感想を述べておられるので、ここでは自分はこれ以上述べないでおこうと思う。自分の拙い文章力では到底表現できず、皆様と同じく「どの像も素晴らしく大変感激した。」とした記せない。館内は以前より斬新になったと思うので、ぜひご自身で訪問していただきたい。
館内のミュージアムショップも改装され、グレードアップしていた。
この後、他のスポットを廻って近鉄奈良駅まで戻り、駅前商店街からの近道から駆け足で【北円堂】へ向かった。
3年前に訪れた時もちょうど特別開扉していて、居並ぶ慶派の仏像に雷に打たれたような衝撃を覚えた。特に【無著・世親菩薩像】(国宝)はまさに生きた人間がそこに立っているようで、慶派作品を再認識するきっかけともなった。大好きなこの二体の彫刻に再会できたことも、今回の旅の大きな喜びだった。まずは正面で手を合わせ、その後は何度も堂内を廻り、いろいろな角度からじっくりと鑑賞した。文句なしに、日本のみならず世界の肖像彫刻の中で屈指の逸品、高校の日本史の教科書にもぜひ写真を掲載してほしい。いつまでもそこにいたいが、それは許されない。再会を祈り、後ろ髪ひかれる思いで北円堂をあとにした。
現在、興福寺では【中金堂】の再建が進められている。竣工はずっと先だが、その時に再び来られることを祈っている。
by nene_rui-morana
| 2010-12-02 20:40
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