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中宮寺

 法隆寺・夢殿の見学を終えた後、隣接する【中宮寺】へと向かう。境内に入ると、塀の向こうに夢殿の相輪が見える。過去に何度か訪れているが、こんなに近かったとは認識していなかった。

 はやる心をおさえ、現在は鉄筋コンクリート造りとなっている本堂へ入る。
 本尊の【菩薩半跏像】は、寺伝では[如意輪観音]となっているが、実は[弥勒菩薩]であるといわれている。私が最も愛する仏像、中学3年の修学旅行で初対面?した時の感激は、今でも忘れられない。今よりも貧しく、旅行は夢のまた夢だったた若き日、「いつか必ず中宮寺の観音様と再会したい。」という一途な思いが、多くの苦しみを乗り越える原動力となった。その意味では、私にとってはこの仏様は大恩人(??人間ではないが適切な言葉がみあたらない)である。
 幾多の歳月が流れ、時代も自分も激変したが、漆黒の美しいお姿は変わらない。慈愛あふれ気品ある微笑、見る人の心を癒す飛鳥彫刻の最高傑作、今回も若い初対面の時と同じく、じっくりとその尊いお姿に見入った。係員の方に「こちらの観音様は、私が最も好きな仏像です。」と言うと、「ここで一日過ごされる方もいますよ。」とにこやかに応えてくださった。その気持ちが自分にもよく分かる。御前でじっくり拝顔していると、時が経つのを忘れてしまう。本日は次の予定もあってあまり長い滞在ができず、本堂を出る時は後ろ髪をひかれる思いがした。
 自身が生きる時代にこの仏像が存在する奇跡は大いなる幸福であり、天に心から感謝している。今後も奈良を訪れる時は、必ず中宮寺に足を運び、愛してやまないこの仏様を拝みたいと思う。

 堂内には【天寿国曼荼羅繍帳】のレブリカも展示されている。以前来た時はオリジナルが見られたが、現在は作品保存のため奈良国立博物館に寄託されているという。修学旅行の時は、半跏思惟像と並んでこちらからも新鮮な感動を与えられた。もとははるかに大きかったと聞き、これだけの大きさになってしまったことを残念に思った記憶がある。蛇足ながら、高校に進学してから家庭科の自由研究に[日本刺繍]を撰び、この作品についてもかなり詳しく調べた。当然ながら当時はパソコンなどなく全て手書きで、この時に[刺繍]という漢字の書き方を覚えた。

 本日はまた、[鳩和殿]が公開され、平成の秘宝が特別公開されていた。半跏思惟像のレブリカも展示されていたが、これはもしかしたら、昔都内のデパートで開催された[中宮寺展]に出品されていたものかもしれない。
by nene_rui-morana | 2010-11-25 21:32 | 平城遷都1300年巡り | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。

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