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法隆寺

 滞在3日目の11月1日(月)午前、小雨の降る中を最初に向かったのが【法隆寺】、昨日までに体験した道路渋滞に鑑み、JRで移動した。法隆寺駅から寺入口までを結ぶバスに乗りこむ。車内は満員に近かった。
 南大門前で下車、以前来た時はこことは別の場所から入ったせいか、全く違った印象を受けた。色づき始めた木々や中門をバックに何枚か記念撮影した。法隆寺については今さら語る必要はないが、あらためて、広大な伽藍、スケールの大きさに圧倒された。日本が世界に誇る最古の木造建築、日本初の世界遺産・法隆寺はわが国の至宝である。 この日は観光客の他、数多くの修学旅行生の姿を見かけた。

 まずは【西院伽藍】に入る。
 【金堂】に安置された【釈迦三尊像】その他の諸仏をじっくりと見学、美術展で見た時に比べると堂内は薄暗く背面も見えないが、「寺では仏様は正面から拝むものです。」という係員の方のお言葉に納得、本日は正面から手を合わせた。壁画は戦後惜しくも焼損したが、再現壁画が往年の輝きを伝える。
 【五重塔】最下層の塑像群も、以前[法隆寺展]で見て以来、私のお気に入りとなっている。再会の喜びをかみしめつつ、こちらもじっくりと見入った。

 本日は幸運にも【上御堂】が特別公開されていて、工事中でやや落ち着かなかったが、【釈迦三尊像】と【四天王像】を拝観することができた。

 廻廊の外に出て、【大宝蔵院】へと移動する。平成10年落成で、前回来た時はまたこの建物はなかった。
 その名のとおり、ここは法隆寺の宝庫、日本史の授業で習う、飛鳥~白鳳期の美術品が、一堂に会している。再会の感動に胸をふるわせ、【夢違観音】【玉虫厨子】【橘夫人厨子】その他多くの寺宝を何度も繰り返し夢中で見ていった。
 館内に一角に、多くの人を魅了してやまないあの仏様の殿堂、【百済観音堂】が設けられている。昔の宝物館でお会いした時に比べると遠くなってしまったのが少し残念だが、より崇高さが引き立ち、新たな感動を得た。「こんなに長身でいらっしゃったのですね。」という感想を持った。

 本日はさらに、【大宝蔵殿】で[法隆寺秘宝展]が開催されていた。こちらでも通常は見られない数々の寺宝に接し、ほとんどが初見ということもあり、大いに感銘を受けた。
 建物は2倉に分かれ、最初に仏像を中心に展示する【中倉】に入る。注目したのは、密教や浄土教の教義・信仰に関する展示が多数あったこと、法隆寺では空海を聖徳太子の再来としていた時代があったという。時代は下るが、熱心な日蓮信者だった長谷川等伯が大徳寺の仕事を手がけていたことを思い出した。案外昔の日本人は、現代人が考えるよりも信仰に関してはおおらかだったのかもしれない。こらの倉で心に残ったのは、【厨子入阿弥陀三尊及び二比丘尼像】(重文)、【厨子入薬師如来両脇侍像】、【厨子入五大明王像】、等等、いずれも小さめながら見事な技巧に魅せられた。【弥勒菩薩坐像】は珍しい法界定印だった。【北辰妙見像】鎌倉時代の絹本著色作品、葛飾北斎が信仰したことでも知られるが、長い歴史を感じることができた。
 【南倉】にも密教や神仏習合関係の展示がたくさんあるが、こちらでは絵画や鏡なども見られた。個人的に注目させられたのは、【孔雀明王像】【閻魔天曼荼羅】【法華曼荼羅】【星曼荼羅】など、いずれも絹本著色で、曼荼羅にも実にいろいろな種類があることが分かり、好きな分野でもあるので嬉しい展示だった。
 本秘法展は本当に素晴らしく、時間が許せば半日いても飽きなかったかもしれない。開催中に足を運ぶことができて、本当に幸運だったと思う。

 フィナーレは少し離れた場所にある【西院伽藍】、律学院や本堂・羅漢堂のそばを歩きながら、法隆寺の規模を体で再確認した。【西院伽藍】は傘をさして見学したが、この時雨は止んでいた。
 【夢殿】の【救世観音】と感激の再会、この像についても今さら説明の必要はない。当たり前かもしれないが、美術展で見るよりお寺で見た方がより感じるものがある。本日は金色がより鮮やかで、文字通り全身から輝かしいオーラを発していて、何度も夢殿を廻り、繰り返し見た。

 法隆寺は過去何度か訪れていて、寺宝の多くは東京の美術展でも対面している。その度にそのスケールには圧倒されたが、リニューアル?後初となる今回は、特に感じるものが大きかった。時間があれば、各所にもっと長時間滞在したかった。境内図を見ると隅々まで網羅できたわけではない。
 今回の感動を忘れず、いつかぜひ、秘宝が公開される時期に、再び訪れたいと思っている。
by nene_rui-morana | 2010-11-24 22:13 | 平城遷都1300年巡り | Comments(0)

趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。

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