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趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。
by nene_rui-morana
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カテゴリ:展覧会・美術展(日本編)
  • 似顔絵本家三代歌川豊国展 Ⅱ (後期)
    [ 2012-05-20 17:10 ]
  • 似顔絵本家三代歌川豊国展 Ⅱ (前期)
    [ 2012-05-19 19:34 ]
  • 没後150年 歌川国芳展(後期)
    [ 2012-05-15 20:06 ]
  • 没後150年 歌川国芳展(前期) ③
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  • 没後150年 歌川国芳展(前期) ②
    [ 2012-05-13 11:34 ]
  • 没後150年 歌川国芳展(前期) ①
    [ 2012-05-12 11:22 ]
  • 東京国立博物館140周年新年特別公開 他
    [ 2012-03-27 21:15 ]
  • 絵で楽しむ忠臣蔵
    [ 2012-02-08 14:40 ]
  • 歴史の中の龍
    [ 2012-02-07 10:32 ]
  • 平清盛
    [ 2012-02-04 20:20 ]
似顔絵本家三代歌川豊国展 Ⅱ (後期)
[副 題] 写楽ばかりが役者絵じゃない

[見学日] 平成24年4月22日(日)

[会 場] 礫川浮世絵美術館


 想定外の異動を余儀なくされ、感傷にひたる間もなく超特急で新旧職場の引き継ぎを行い、新職場勤務が始まってから3週間、連日待ったなしの締切ものに追われ慌ただしい毎日が続いていた。心身の疲労も甚だしかったが、前期とは展示内容が変わる歌川国貞の展覧会とあっては、足を運ばないわけにはいかない。貴重な日曜日、疲れた体に鞭打って会場へと向かった。

 この日は見学者も少なくほぼ会場を独占状態、おかげでスタッフの方からいろいろお話がうかがえた。髪や衣装など具体的な作品の見所を示しつつ、布目刷りや正面刷りなどの説明もしていただき、予備知識なしに見れば見過ごしてしまうような細部まで綿密に手を加えられていることが分かり、大いに感銘を受けた。
 今回の展示は国貞最晩年の作品で、本人は既に体調を崩していて多くの部分が弟子の手によるものとのこと、その意味では私は≪歌川国貞工房≫というのが正しいのかもしれない。今日のディズニーや手塚ブロ、またサザエさんやドラえもんと共通するものがある。

 スタートは【両国夕涼みの図】、風に吹かれる衣装の表現がたまらない。アイテムを持って佇む人物は大変リアルで、そこに立っているようである。

 【雪月花の内】はそれぞれ八代目団十郎の当り狂言を描いたもの、知らずに見れば同一人物とは思えず、役者は化け物だと実感した。
 
 【両国夕景一目千金】は、吉原が焼失してから仮営業していた遊郭を描いたとのこと、膳やとっくり・火鉢・燭台、そして煙草入れ、毎度のことながら多様なアイテムに魅せられる。

 【豊國揮毫奇術競 天狗小僧霧太郎】も、人物が手にした天狗の面や、行燈・香炉などのアイテムが印象的だった。
 このシリーズはタイトルのとおり大変面白く、【豊國揮毫奇術競 児雷也】も、折り紙がカエルに変身する部分が心に残った。
 【豊國揮毫奇術競 妖術大蛇丸】は本日特に気に入った作品の一つ、蛇や屏風にかけられた衣装の緻密な表現が素晴らしいと思った。

 【(児雷也豪傑譚)田毎姫実は照田(粂三郎),児雷也(河原崎権十郎)】にも、先述の作品と同じく、折り紙がカエルに変身する描写が見られた。傍らには絵草子も展示されていたが、こちらがオリジナルで好評だったので大判二枚続が制作されたという。

 【強盗狩猟 雲竜九郎影純,優賊魁首 虎王麿早風】は、虎の毛並や龍のウロコの表現が国貞らしく素晴らしいと感じた。

 昨年見てお気に入りとなったシリーズにも再会でき、とても感激した。
 【江戸廼花 名勝會】シリーズでは、今回は【れ[根津] 河原崎権十郎】に注目、提灯が強いインパクトを与える。【な[小石川] 小石川・丸山 市川白猿の犬山道節A】は、描かれた昇り龍が今年らしくていいと思った。
 置ケースには【柳街梨園全盛花一対】シリーズや、【三世歌川豊國(国貞)死絵】などが展示されていた。


 待望の国貞の展覧会、異動その他で身辺がたてこんでいたので、何とか前後期見ることができ、嬉しく、またほっとした。
 あらためて、国貞は自分にとって最高の芸術家の一人であることを実感、来年の第三段の実現を今から心待ちにしている。

by nene_rui-morana | 2012-05-20 17:10 | 展覧会・美術展(日本編) | Trackback | Comments(0)
似顔絵本家三代歌川豊国展 Ⅱ (前期)
[副 題] 写楽ばかりが役者絵じゃない

[見学日] 平成24年3月24日(土)

[会 場] 礫川浮世絵美術館


 歌川国貞のファンになってから彼についていろいろ調べて知った当館、昨年開催された表記展覧会の第一段が大変素晴らしかったので、次回の国貞展覧会の実現を心待ちにしていた。HPで第二段の開催を知った時は年度切り替えの超多忙な時期だったが、迷わず前後期に足を運ぶことを決意した。
 当日は午前中に江戸東京博物館の特別展≪ザ・タワー≫を見た後(記事は後日アップします)、地下鉄で春日に向かった。なおこの日は生憎の雨模様で、予報では午後にはあがるとのことだったが、結局帰りまで傘が手放せなかった。

今回は国貞が師匠・歌川豊国の名を襲名した【二代豊国(実は三代)襲名披露の図】が展示されていた。この襲名については古来いろいろ言われていて、国貞自身は<二代目豊国>を名乗っていたことはよく知られているが、最近では通説とは別の意見も出されていると昨年当館の方からうかがった。

 本日の大ヒットは【雨舎(アマヤドリ)春の道ずれ】、三十人以上もの人物を描き分けた大判10枚続の大作、国貞の真髄が堪能できる豪快かつ多彩な逸品、男役からも匂い立つような色気が満ち溢れている。この作品を見て、ますます国貞が大好きになったように思う。

【値千金春之楽 大神楽 団十郎Ⅷ】や【値千金春之楽 恵方まゐり 幸四郎Ⅵ】、その他すべての作品、国貞描く各種アイテムは実に素晴らしく、鑑賞者を楽しませてくれる。

過去に感銘を受けた【今様三十二相】シリーズとも再会?でき、とても嬉しかった。お気に入りは爽やかな画風の【すずしさうB】、コマ絵の使い方も実にキマっている。

 壁面の他、置ケースにも何点か展示されていた。
 【今様押絵鏡】【当世自筆化粧鏡】の両シリーズの他、【団十郎親子(Ⅶ、Ⅳ)の口上】など他では見たことのないジャンルも出展されていた。゛
 
 タイトルのとおり本展覧会は役者絵をメインとしたもの、同時代の人気役者の颯爽とした姿がリアルに伝わってくる。役者絵にとって衣装は極めて重要な脇役?、このジャンルの表現も実に素晴らしい。
 大判5枚続の大作【呉竹の新助 坂東彦三郎,荒磯の香次 河原崎権十郎,曙の山三 沢村田之助,花橘の竹七 市村羽根左衛門,竜王の駒五郎 中村芝翫】も本日特に気に入った作品の一つ、男優陣の魅力が最大限に表現され、各人が身につけている衣装も実に心憎い。

 大好きな国貞作品を今回もたくさん見られて、大変嬉しかった。
 特に見学時は想定外の人事異動の内示を受け、ショックと絶望に打ちひしがれていたので、国貞作品に接したことは大きな癒しとなった。

 
by nene_rui-morana | 2012-05-19 19:34 | 展覧会・美術展(日本編) | Trackback | Comments(0)
没後150年 歌川国芳展(後期)
[見学日]平成24年2月12日(日)

[会 場] 森アーツセンターギャラリー


 昨年暮れに本展覧会前期を見た時、前後期で展示が大々的に変わることを知り、何としても後期も来なければと思った。
 ところが家族がインフルエンザに罹って看病する必要が生じ、症状は軽かったが自分も感染して、外出がままならない状態がしばらく続いた。他にも緊急対応を求められる不測の事態が発生し、一時は諦めかけ、まさに会期最終日に何とか足を運ぶことができた。
 日曜日で混んでいることを予測し早起きして行ったのだが、チケット売り場から長蛇の列、組合斡旋の割引券を買って来なかったことが悔やまれた。前回の教訓でロッカーは多分あいていないだろうと思い、必要最低限の軽装で出かけたのは正解だった。

 今回も解説書きは後回しにし、人垣があいた場所から見計らって、次々と鑑賞していった。毎度のことながら、どの作品の素晴らしく自分の拙い筆力では表現できないとしか記せない。

忠臣蔵十一段目両国勢揃図】は同じテーマの作品を他の多くの絵師も手掛けている。多くの人物を表情豊かに描き分けた本作も大変素晴らしい。
 【金太郎鬼ケ嶋遊】は、青を基調にし鮮やかに配された赤色が強烈なインパクトを与える。
 【八犬伝之内芳流閣】は屋根の上という珍しいロケーション?、登場人物の表現は相変わらず脱帽もので、屋根の装飾等も印象的に描かれている。
 【誠忠義士肖像】シリーズは最近別の展覧会で目にしたが、この中の【杉野十平治次房】は、エキゾチックな模様の金色暖簾とそれをくぐろうとする杉野の横からの描写が心に残った。
 【文覚上人那智の瀧荒行】は縦長の三枚続、このような奇抜な発想は国芳ならではで、あらためてその奇才ぶりに驚嘆させられた。【張交絵 ふぐ・上利剣・芳流閣】も向かって左に縦長一枚、右に二枚描かれた変わり種、広重・国貞(署名は豊国)との夢の競演作である。

 三枚続の美人画【船橋屋】は深川の有名菓子店を描いたもの、近くで活動していた兄弟子・国貞も同じテーマの作品を残している。【駒形の朝霧】も、類似の他絵師の作品を見た記憶がある。

 子ども絵のコーナーの作品は本当に微笑ましい。一方で、子供に見立てて当時の生活や風俗を伝えてくれている点も見逃せない。

 国芳も【東海道五十三次人物誌】というシリーズを残しており、こちらも広重とはまた違った魅力がある。【本朝名橋之内 江都日本橋略図】は、まだ早朝の静けさも感じられる広重の作品とは全く違い、多くの人々がごった返す賑やかな作風となっている。

 後期の今回も、兄弟子・国貞(署名は豊国)との夢のコラボ作品を見ることができた。【東西大関俳優】は上質で保存状態も良好、当時の人気役者の風貌を見事に伝えている。愛してやまない二人の絵師が共同でこの作品を完成させたという事実も自分には嬉しい。
 またこの<摺物と動物画>のコーナーでは、一部の作品が完成版と校合刷をあわせて展示され、興味をそそられた。
 
 <戯画>のコーナーの作品は本当に面白く、自室で見たなら声をあげて大笑いしたかもしれない。
 変わり種は【化物忠臣蔵】、昨年以来、忠臣蔵をテーマとした作品に多く触れる機会があり、大いに共感してきた。国芳はもちろん正統派?の忠臣蔵作品を残しているが、一方でしこのような砕けた作品も描いていたことを知った。ある意味これもまた、いかにも国芳らしい作風で、とても楽しめた。
 【浮世よしづ久志】は<きげんがよし><えんぎがよし>など中央に大きく書かれた<よし>の言葉がつくことを集め描いた作品、右上落款の横に猫を肩に乗せた後姿の<国芳>が描かれている。この作品に表れているような国芳のキャラクターが、私は大好きである。
 【桜三筋末広の松】は吉原の幇間の座敷芸を描いたもの、今日のダンス等の教本に近く、北斎も同様の作品を残している。

 
≪感想≫
 まだ病の疲れが抜けきれていない状態での決断で不安はあったが、何とか鑑賞を全うできて?ほっとした。
 今回も数多くの国芳作品に触れ、心底感動し、そして楽しめた。毎度のことながら、ご自身の目で見ていただかなければその素晴らしさは表現できない、としか記せない。今後も国芳作品が展示される展覧会が実現したら、ぜひ足を運びたいと思う。

 帰りがけにミョージアムショップで、クリアーファイルや絵葉書などを記念に購入した。
 我が家の書架も限界に達しているが、これだけの国芳作品が網羅された図録を購入しないわけにはいかない。記事アップのためあらためて読み返してみると、本当に面白く、新たな発見がある。国芳は文句なし、時代を超えて日本人を喜ばせる稀代の娯楽絵師である。彼が再評価され、その作品を見る機会に恵まれた時代に生きていることを、天に感謝する。
by nene_rui-morana | 2012-05-15 20:06 | 展覧会・美術展(日本編) | Trackback | Comments(0)
没後150年 歌川国芳展(前期) ③
7.摺物と動物画-精緻な彫と摺
 このコーナーに展示されている<摺物>とは私的な注目等により制作された非売品、それだけに素材も贅沢で、浮世絵版画とはまた違った絵師の気合も感じられる。絵具や紙の質が良いためか、保存状態も良好で色彩もより鮮やかだった。
 役者絵、美人画、動物画など、内容もバラエティーに富んでいるが、【八代目市川団十郎追悼摺物】は兄弟子・国貞(署名は豊国)との夢のコラボ、画題も含めて自分にとっては特に心残る逸品だった。


8.戯画-溢れるウィットとユーモア
 このコーナーの作品については無知な自分には何ら記す資格はない。国芳ひいわれてまず脳裏に浮かぶ作品の数々、抱腹絶倒の面白さの中にも度重なる禁令を逆手にとって制作を続けた国芳の反骨精神も感じられ痛快である。国芳作品の楽しさが最大級味わえるジャンルといえるだろう。


9.風俗娯楽情報-
 幕末期の浮世絵は報道メディアとしての役割も果たしていた。風俗や信仰・祭礼・相撲・見世物など、当時の市井の生活を国芳は如実に伝えてくれた。歴史史料としても貴重だと思う。
 ラストには、国芳直筆の貴重な【書簡】、続いて追悼絵である【国芳死絵】が展示されていた。


10.肉筆画・版木・版本ほか
 本展覧会では会場内の随所に版木や版本も展示されていて、こちらも非常に興味深く見た。
 あわせて、4点出品された国芳の肉筆画も展覧会の目玉の一つ、いずれも美人画で全て素晴らしいが、白地に青で描いた藤模様の着物を身につけた【夏衣美人図】は文句なしに国芳の最高傑作、髪飾りや僅かに覗いた蹴出しの赤も心憎い。なお、これと似た着物を着た美人絵が他にも見られた。


≪感想≫
 昨年の展覧会で一挙に御贔屓芸術家の上位に上りつめた国芳、その国芳のこれほど大規模な展覧会が東京で実現し、それを見ることができた喜びは計り知れない。
 近年とみに評価と人気が高まっている国芳、<漫画の元祖>とも言われるが、確かに作品を見ていると漫画世代の自分などは大いに共鳴させられる。描かれている内容もバラエティーに富んでいて、見ていて飽きることはなく、心底楽しめる。本展覧会には多くの方々が足を運ばれグレードの高い感想記がたくさんアップされているので、今回も例によって、大変素晴らしい内容で表現する言葉が見当たらないとだけ記したい。
 なお、本展覧会は前後期に分かれ大掛かりな展示替えがあることを会場で知る。年明けには多くの予定が入っているが、何としても後期も来なければと思った。ミュージアムショップでも可愛いグッズなどがたくさん販売されていたが、図録とあわせて後期に持ち越すことにした。
by nene_rui-morana | 2012-05-14 21:52 | 展覧会・美術展(日本編) | Trackback | Comments(0)
没後150年 歌川国芳展(前期) ②
3.役者絵-人気役者の様々な姿
 第3章は役者絵、この分野は師匠・豊国と兄弟子・国貞が不滅の業績を残している。国芳の役者絵については評価が分かれているらしいが、江戸庶民を熱狂させた当時のスターの姿を伝えている点で、今日への貢献度は大きいと思う。
 【二代目岩井粂三郎のかつしかのお十 三代目尾上菊五郎の木下川与右衛門 四代目坂東三津五郎の渡し守浮世又兵衛】は同時に描かれた大魚が強烈な印象を与える。
 大勢の人物を描いた三枚続の【大山良弁瀧之図】は私好みの作品だった。
 【十二代市村羽左衛門の悪源太義平 四代目中村歌右衛門の岩木三郎太夫広綱 二代目市川九蔵の八町礫の鬼平次】は、中央の歌右衛門の衣装が心に残った。
 個性的な風貌の<坂東しうか>を描いた複数絵師の作品は過去に何度も見ており、その姿は記憶に残っている。今回も【坂東しうかの橋本屋白糸】などが展示されていて、一目で分かった。
 それにしても、役者絵作品のタイトルは長くて、記載するのに本当に苦労する。


4.美人画-江戸の粋と団扇絵の美
 このコーナーは華やかで明るい雰囲気に満ち溢れ、作品を見ていると心が温まるような気がした。時には背筋が寒くなるほど生々しい写実的な国貞の美人画に対し、国芳の描く美人は健康的で明るく清々しい印象を受ける。女性の着物や表情からは季節が感じられる。また国貞同様、駒絵やアイテムの使い方も絶妙で魅せられる。
 【美人子ども十二ケ月シリーズ 端月の初卯】は正月らしいお飾りや奴凧が可愛らしい。
 【金龍山おくやまの景】と【艶姿十六女仙 豊干禅師】は、人物等を一部残す一方、色合いや背景を変えて全く違う題材の作品に仕上げていた。
団扇絵も国貞作品の魅力を堪能できるジャンルの一つ、人物の豊かな表情、念入りな彫り・摺り・デザインは現存作品が少ないだけに尚更現代人をも惹きつける。【当世三婦苦対 湯帰り】の背景の人形など、バックの描き方も手がこんでいて見応えがある。
吉原を描いた浮世絵も特に好きなジャンル、その点では華やかな遊女と彼女たちに使える禿・階下の内証を描きこんだ【新吉原京町壹丁目角海老屋惣二階之図】は理想に近い作品で、国貞描く歌舞伎楽屋絵と同様の感動を受けた。


5.子ども絵-遊びと学び
 国芳が描く子供たちの絵を見ていると心がなごむ。すべてではないにせよ、彼がモデルとした江戸時代の子供たちは豊かな愛情を注がれ幸せな幼少期を送ったことが見てとれる。
 どの作品も微笑ましいが、【新板子供遊びの内 雪あそび】の雪ダルマや、おなじシリーズ【ぼんぼんうた】の子供が手にする役者絵の団扇など脇役?の描写にも注目させられた。書初めの様子を描いた【幼童席書会】も気に入った作品の一つ、掲げられた清書の数々は素人から見ても達筆で書体も様々、到底子供の書とは思えない。
 

6.風景画-近代的なアングル
 登場人物と共に描かれた国芳の風景画には、広重や北斎とはまた一味違った趣があり、今回このジャンルでも印象深い作品を開拓できた。「江戸時代にスカイツリーが?!」と話題になった【東都三ツ股の図】とも再会できた。
【大山石尊良弁瀧之図】は多くの人物の綿密な描写に圧倒された。
【東都御厩川岸之図】は併せて展示されている<変り摺>では対岸の色合いを薄めるなど全体的に色のコントラストを下げた仕上げとなっている。

by nene_rui-morana | 2012-05-13 11:34 | 展覧会・美術展(日本編) | Trackback | Comments(0)
没後150年 歌川国芳展(前期) ①
 *標記展覧会は昨年暮れに見たのですが、以後の多忙に加え、類似の他展覧会との兼ね合い等を考え、アップを遅らせておりました。

[見学日] 平成23年12月29日(木)

[会 場] 森アーツセンターギャラリー


 昨年に見た複数の展覧会で自分の中に不動の地位を確立した歌川国芳、もちろん本展覧会が告知されると直ちに足を運ぶことを決意した。暮れも押し迫り超多忙な29日、乱立する他の展覧会との必死で折り合いをつけた。 当日は少々疲れがたまっていたのか軽い頭痛を感じ、やや不安を抱えての見学となった。
 入場前に昼食をとり会場へ、高層ビルの谷間で屋外は大変な強風、高所恐怖症の自分はエレベーターで上がる間もいい気持ちはしない。
 最初に個人的な不満を記したい。第一は展示リストが用意されていないこと、第二は(かろうじて確保できたが)ロッカーの数が極端に少ないこと、コートなどがかさばる冬場は荷物を抱えての見学は苦しいものがある。

 本展覧会は国芳展としては過去最大のスケールを誇るもの、昨今の人気を反映して会場内の熱気もひとかたならぬものがあった。
 昨年見た別の国芳展の教訓?を生かし、解説等は流し読みして、居並ぶ作品の数々に夢中で見入った。


1.武者絵-みなぎる力と躍動感
 スタートは国芳の出世作ともいうべき<武者絵>の数々、豪快かつ大胆でスケールの大きな描写、あふれる躍動感、これらを見た当時の人々の熱狂・興奮が伝わってくる。一方で【曽我箱王丸】の不動明王や【源頼光】の土蜘蛛などユーモラスなキャラクター?に思わず口元がほころんだ。
 【堀川夜討】など、多くの人物を多彩に描き分けた私好みの作品も多数あり感激した。
 【薩摩守忠度】は墨線の他は彩色は顔の部分だけ、カラフルな展示の中にあって異彩を放っていた。版下絵(最終原稿)が現存している点でも、貴重な史料といえるだろう。
昨年ノックアウトされた【源頼光公館土蜘作妖怪図】とも感動の再会?を果たせた。
 【源頼朝卿富士牧狩之図】は雄大な六枚続、【武田信玄諏訪頼重の陣中をくづす図】は構図が印象的だった。
 

2.説話-物語とイメージ
 前章にもあったが、国芳は一般に馴染みの深い古典や物語を題材とした作品を多数描いている。当時の子供はこれらを通じて学び、大人は今日の我々と同様に楽しみながら国芳の反骨精神に喝采をおくったのだろう。
 【二十四孝童子鑑】は校合摺と完成品がセットで見られた。゛
 何度も描いている【鍾馗】も、赤色だけで摺られた<疱瘡絵>や黒に肌色のみのもの、背景に人物を描いたものなど、様々なバージョンを楽しめた。


 次のコーナーに向かう途中の巨大な柱に見られるのは【其マゝ地口猫飼好五十三疋】、多くの人が見入っている。
 国芳が描いた友人の狂歌師・梅屋鶴子の肖像画や、国芳宅などのパネルも展示されていた。【暁斎画談】は一時国芳に弟子入りしていた河鍋暁斎が当時の様子を描いたもの、国芳は懐に猫を抱えて原稿に向かい、周辺にも複数の猫がたむろ、室内は弟子でごった返している。一家で国芳宅に起居していた弟子もいたという。これらの人々の生活を賄うため、売れっ子絵師であっても経済面では決して楽ではなかったと思われるが、好きな猫に囲まれ多くの弟子たちと好きな画業に打ちこめた生活は、本人にとっては充実してだろうと感じる。

by nene_rui-morana | 2012-05-12 11:22 | 展覧会・美術展(日本編) | Trackback | Comments(0)
東京国立博物館140周年新年特別公開 他
 1月に東京国立博物館に足を運んだのは、先述の龍の特別陳列の他に、この時に特別公開された至宝の数々を見ることが目的だった。過去に目にした作品もあるが、今後いつ見られる保証もない現状では行かずにはいられない。

 目玉は何といっても本館7室の三展示、まずは尾形光琳筆【風神雷神図屏風】と何回目かの対面、他の作品と同様に見る度に新たな感動があり、躍動感あふれるダイナミックな画風にますます魅せられていく。周囲の多くの人も熱心に見入っていた。もう一点は紙本金地着色の【長恨歌図屏風】だった。
 池大雅筆【楼閣山水図屏風】(紙本金地墨画着色)はこの日最大のヒット、一度見た後も何度も作品の前に戻り、繰り返し繰り返し鑑賞した。かなり大きめの作品で、描かれているのは岳陽楼と酔翁亭をとりまく中国屈指の景勝地、大雅の中国に対する憧れ・情熱が画面からあふれている。船や樹木の表現は絶妙かつ壮麗、何時間見続けても飽きることはないだろう。大雅は間違いなく天才だったと確信した。かなり以前から池大雅という絵師には興味を抱いていたが、昨年出光美術館で見た作品とこの作品とで、彼もまた自分の中に不動の地位を築いたと実感した。大雅は陽光の下で屋外写生も行ったといわれ、この作品には卓越した点描表現が見られる。最近私は、大雅には印象派の先駆者的一面があるのではないかと感じている。大雅はスーラより前の時代を生きた。印象派の画家たちが浮世絵と共に大雅の作品を見ていたなら、近代の世界美術の歴史は少し違ったものになっていたかもしれない。近い将来には大雅に注目する欧米の美術学者も現れるような気がする。

 今回は7室の三作品以外でも、多くの素晴らしい展示を見ることができた。
 博物館ニュース等でも紹介されていた【秋冬山水図】(雪舟筆)と【賢愚経断簡(大聖武)】(伝聖武天皇筆)は、感動の再会となった。
 絵画では、又兵衛、宗達、探幽ら狩野派、抱一、応挙、如慶、北斎らの夢の競演に酔いしれた。
 書の分野では、道風、佐理、一休、秀吉、他にも天皇や著名な公家など歴史に名を残す人物の貴重な直筆の史料を見ることができた。注目したのは烏丸光広の【東行記】、江戸下向時の旅行記でイラストも描かれ、興味深く見た。すぐそばには、<寛永の三筆>の一人・松花堂昭乗の詩巻も展示されていた。【詩書屏風】も心に残った作品の一つ、右より奇数幅には篆書で、偶数幅には行書で揮毫されていて、作者の卓越した書の才能がうかがえた。

 東京国立博物館の所蔵は逸品揃い、今後も貴重な作品を見る機会が得られることを望んでやまない。

by nene_rui-morana | 2012-03-27 21:15 | 展覧会・美術展(日本編) | Trackback | Comments(0)
絵で楽しむ忠臣蔵
 正月2日、江戸博5階の企画展示室は二つのコーナーに分けられ、先記の龍の企画展と表記展覧会とが開催されていた。
 暮れに平木浮世絵美術館で見た同内容の展覧会が大変良かったので、国貞作品を多数所蔵する本館の展示も楽しみにしていた。

●第一章 物語に魅せられて
 第一章はもっとも展示のボリュームがあり、≪仮名手本忠臣蔵≫に江戸の庶民がどれほど熱狂したのかがうかがえた。
 まず目に入ったのは、壁面に展示された落合芳幾の【仮名手本忠臣蔵】、大序から大尾まで全13枚の力作である。
 振り向くと展示ケースの中には我が歌川国貞の作品、相変わらず役者の個性や衣装の表現に関しては自分の拙い文章力ではとても伝えられない。特に【瀬川菊之丞のニ役早替り おかる勘平 中村芝翫の一文字屋才兵衛】は素晴らしいと思った。
 並んで展示されている歌川国芳画は四人の人物が描かれていた。
 その後も次々と国貞作品が目に入り大感激、国貞は間違いなく忠臣蔵の代表絵師といえるだろう。【忠臣蔵夜討の図】には手前の人物が持つ太鼓に「命依義軽」と書かれている。このような細かい表現も心憎い。
 【義士両国橋退去図】は、壮大な構図から一目で歌川貞秀作と分かる。本日、国貞・貞秀師弟の競作を見られたのも大変嬉しかった。

●第二章 ヒーローたちに憧れて
 表記タイトルなら主役が国芳作品であることに意義をはさむ余地はないだろう。中央ケースに展示されているのは【誠忠義士伝】、動きのある構図に魅せられる。【誠忠義臣名々鏡】のコマ絵は国芳の長女と次女が描いたと言われている。北斎の娘・応為と同様、偉大な父の血はしっかりと娘にも受け継がれたのである。
 このコーナーでは、同タイトルの【誠忠義士伝】を国貞・国芳の兄弟弟子の競演で見比べて楽しんだ。壁には弘化~嘉永年間に描かれた国芳作品、手前のケースには国貞晩年の作品、一部タイトルが異なっていた。
 国貞・国芳ともに、最近の自分にとっては極めて重要な絵師、その意味ではこのコーナーはまさに夢の競演で、感激もひとしおだった。


●第三章 パロディを玩味して
 最終章のタイトルも私好み、残念ながら先日の展覧会でノックアウトされた歌川広重の【見立滑稽忠臣蔵】は出展されていなかったが、興味をそそられる作品が数多くあった。
 【後姿忠臣蔵絵巻】はタイトルのとおり、登場人物は後姿であったり、袖などで顔を覆っている。
 【東都高輪泉岳寺開帳群衆之図】は、駕籠の猪人形や、水引暖簾の雁木模様などに、細やかな遊び心が感じられる。
 【忠臣蔵見立人形】は素材を忠臣蔵に見立てた<寄せ絵>(異り絵、変わり絵ともよばれる)、謎解きとしてもとても楽しい。
 他の展覧会でも見かけた八世市川団十郎の死絵が此処でも出展されていた(バージョンは別)。
 大トリを飾るのは、豊洲でも展示されていた国貞の【絵兄弟忠臣蔵】、この作品は国貞の代表作だそうで、再び見られて大変嬉しかった。四段目は前垂れの裾に<佐乃喜>と書かれているが、これは版元・佐野屋喜兵衛をもじったもの、このような国貞の趣向がたまらない。今回でさらに、国貞が大好きになってしまった。


 暮れの平木浮世絵美術館に続き、浮世絵にとっては重要なテーマである忠臣蔵の展覧会を江戸博でも見ることができて、触発されたことも多く、自分にとっては未来につながる貴重な経験となった。国貞や国芳ら御贔屓絵師の作品を堪能し、新たな魅力を発見し、探究心を掻き立てられた。今後も同様な展覧会が開催されたら、ぜひ足を運びたい。
 本企画展は12月から始まり、前後期で展示が変わったことを会場で知る。事前に分かっていれば前期も足を運んだのに、残念だった。

 当日は正月の臨時開館日ということで、常設展示室は観覧料無料、館内では≪えどはくでお正月!2012≫と題して様々な企画が催されていた。
 自分の滞在時にすべてが行われてはいなかったが、えどはく寄席、邦楽演奏、クロスワードパズル、絵はがきプレゼント、企画関連ワークショップでの「組上絵であそんでみよう」、等等、楽しそうな内容が目白押しだった。また江戸町人や鹿鳴館風のコスチューム姿の人が展示室内を歩いて来館者の記念撮影に応じていた。
 当日私は予想外に当館の滞在時間が長引き、この後に考えていた上野に行かれず国立博物館の正月イベントが体験できなくなったため、「今日はあちらに行けばよかったかな。」と少々後悔もしたが、宝船の絵をいただいたり本日ならではの催しを体験できたので、やはり来てよかったと思った。
by nene_rui-morana | 2012-02-08 14:40 | 展覧会・美術展(日本編) | Trackback | Comments(1)
歴史の中の龍
 平成24年の干支・辰にちなみ、江戸東京博物館5階の企画展示室では昨年末から龍の企画展が開かれていた。我が歌川国貞の作品も展示されているようなので見ておきたいと思い、正月2日、1階の特別展を見学した後に常設展スペースへと移動した。
 龍は日本人が畏れ、一方で憧れ親しんできた仮想の霊獣、展示室にはこの龍をかたどった武具や工芸品、また龍についてかかれた典籍や錦絵などが展示されていた。


●第1章 干支のなかの「龍」
 展示のスタートは【七福神宝船の図】(歌川芳虎画)、宝船の舳先は龍、上部に廻文<なかきよの とをのねふりの みなめさめ なみのりふねの をとのよきかな>が書かれている。
 続く国芳の【十二支見立て職人づくし】では、龍は玉師(あい玉づくり)として描かれていた。
 他には、和時計や年代記などが展示されていた。


●第2章 龍の力
 第2章には、龍を描いた絵草子類や、龍が持つとされる力にあやかった品々が展示されていた。
 ケースの中に国貞の【竜王太郎英雄譚・巻七】が展示されていて大感激した(署名は豊国)。
 一方、水の神・龍がモチーフとされた代表格は火消し関係の品々、【龍吐水】の他、龍の刺繍がされた火事装束などが出展、実際の火消し装束もあったが時代が下ったものは着て楽しむのが目的だった。
 火消しの姿を描いた浮世絵もあり、芳虎の【江戸の花子供遊びのうち 一番よ組】の人物は龍の刺青をしていた。国貞の【臥煙もの 四世市村家橘】は本日最も心に残った作品、やはり刺青をした火消人足は定火消に属するという。併せて描かれた纏・提灯・龍吐水とのコンビネーションも絶妙、国貞の真髄が堪能できる珠玉の逸品、この絵の前に何度も足を運び繰り返し見入った。
 異色の展示としては薬の看板と包紙、【登龍丸】や今日にも伝わる【龍角散】の看板が出展されていた。このジャンルも作品のデザインも個人的には気に入った。
 他には武具類や龍頭などを展示、倶利伽羅竜王の前立てなど非常に凝った作りだった。


●第3章 干支のなかの「龍」
 第3章の展示は龍がデザインされたグッズ類、たばこ入れ、印籠、櫛、笄、等等、龍文は江戸の人々に愛された。お馴染みの龍虎をあしらったものも見られた。
 他には反物や長襦袢、さらには「龍」の字凧も展示されていた。


 本企画展は、今年のスタートを飾るに相応しい内容だったと思う。龍ゆかりの品々はどれも見応えがあり、江戸の粋が感じられた。国貞や国芳の作品が見られたのは特に嬉しかった。
 自分は参加しなかったが、この日と翌3日は<辰年書初め体験>やパフォーマンス書道などの正月イベントも催された。
by nene_rui-morana | 2012-02-07 10:32 | 展覧会・美術展(日本編) | Trackback | Comments(0)
平清盛
[副 題] NHK大河ドラマ五〇年特別展

[見学日] 平成24年1月2日(月)

[会 場] 江戸東京博物館


 最近は多くの博物館が正月二日から開館しているが、江戸東京博物館もその一つ、表記特別展は告知された時から見たいと思っていたので、様々な正月イベントが催される新年初開館日に訪問し、平成24年展覧会見学のスタートを切った。
 会場内はなかなかの盛況だった。


 厳島神社の鳥居の写真に迎えられて会場内に入る。
 日本史に興味を持ち始めた幼き頃、夢中になっていたのが源平合戦の時代、平清盛よりは少し後の時代となるが歴史小説や関連書もずいぶん読み、高校の史学部でもこの時代を研究した。したがって、清盛その人直接ではないが彼の時代にはそれなりに取り組んできたので、清盛の関しては人並みの知識はあると思っている。
 実際に本特別展からは、かつて追求してきた内容を実史料で再確認できたという感想を得た。また、随所に当時の様子を現代の新聞風にまとめた【平氏ニュース】が展示されていて、こちらはこれから歴史を学ぼうとする小中学生等にとっても良い指南になったと思う。


●第一章 平氏隆盛の足跡
 第一章は、清盛の一生と平家の盛衰を駆け足で伝えていた。
 特に心に残ったのは【平清盛請文(武家手鑑)】(重文)、清盛自筆書状にはやはり注目させられる。【後白河院庁下文】は大学のテキストか歴史書で目にしているかもしれない。清盛は院司の一人<参議右衛門督平朝臣>として連署・花押をしている。
 【中右記】【山槐記】など当時を伝える実史料も自分にとっては意義のある展示だった。


●第二章 清盛をめぐる人々
 第二章は清盛所縁の人々に関する展示が中心だった。
 【鳥羽法皇・美福門院・八条院像】【待賢門院像】などは歴史書で見た記憶がある。
 在学中の古文書学の成績は惨憺たるものだったが中世の古文書は好きなので、【後白河法皇参詣時祈念祝詞】(厳島神社所蔵)や【藤原忠道消息】(重文)、【平宗盛消息】(重文)などは自分にとっては嬉しい展示だった。特に<安元三(1177)年6月5日>という日付が特定できる【伊都岐島水精寺勤行日記注進状案】は800年の歳月を経て歴史を伝える史料として強く心に刻まれた。


●第三章 平氏の守り神-厳島神社
 いよいよ本特別展の目玉、【平家納経】(国宝)と感激と対面、感動と興奮で胸が一杯になった。日本美術の粋と呼ぶに相応しい、豪華で、華麗で、雅びな名品、この作品も一部を以前に見ているが、後世の琳派芸術等に触れた今日ではまた格別に感じるものがある。もちろ本日特に心に残った展示で、何度も念入りに見入った。
 【金銀荘雲龍文銅製経箱(平家納経納置)】(国宝)や【松喰鶴文蒔絵小唐櫃(伝安徳天皇調度納)】にも注目させられた。
 【伝源為朝所用 小桜韋黄返威鎧】(国宝)を見た時、先の≪法然・親鸞≫の展覧会で熊谷直実関係の史料を見た時と同様、為朝は物語上の架空の人物ではなく実在し歴史に名を残した人物であることを実感した。
 会場の一部には厳島神社の模型も設置され関連ミニ番組をリレー放映、遥かなる昔に現地を訪れた時の記憶が懐かしく甦ると共に、【平家納経】の美にこめられた一途な思いも感じられた。


●第四章 平氏の時代と新たな文化
●第五章 平家物語の世界
 第三章の後半以降はどこまでの展示がどの章に属するのか明確に記録しなかった。
【権中納言平清盛家政所下文(御判物帖)】(重文)や【後白河院并建春門院神宝物奉納日記】【官幣并神宝物等奉納日記】などの古文書は先のコーナーと同様に興味深く見た。
 厳島神社に奉納された舞等で使用されたであろう伎楽面や楽器には、古の日本の演劇を垣間見る思いがした。江戸より前の時代に制作された【平家琵琶 銘 千鳥】き京都市文化財に指定されている。
 装飾経の他に仏像・仏画も展示、【閻魔天像】(国宝)の水牛に坐した閻魔は観音のように優しい表情だった
 ゆかりの遺跡からの出土品の中の白磁の壺や碗、さらには当時の船の模型などから、平氏が行った日宋貿易を生で感じる思いがした。 
 展示のフィナーレは≪平家物語≫を描いた絵巻や屏風、合戦シーンを描いた作品から中高生時代の古文の授業が思い出された。全編完璧に読んだわけではないが、≪平家物語≫も好きな古典だった。


 本特別展は若き日に夢中で追求していた時代の展覧会で、とても懐かしく思うと共に、今回も新たな発見がたくさんあり、有意義な内容だった。
 【平家納経】の素晴らしさはとても言葉では表現できず、いつか全幅を公開する展覧会が実現してほしいと心底感じた。


 会場を出ると、ミュージアムショップの側で関連ミニ番組が放映されていた。
 【平家納経】の絵葉書その他を記念に購入し、昼食をとった後、常設展コーナーの企画展を見学に向かった。
by nene_rui-morana | 2012-02-04 20:20 | 展覧会・美術展(日本編) | Trackback | Comments(0)