趣味の史跡巡り、美術展鑑賞などで得た感激・思い出を形にして残すために、本ブログを立ち上げました。心に残る過去の旅行記や美術展見学記なども、逐次アップしていきたいと思います。

by nene_rui-morana

横浜・山手散策

 多忙な中の貴重な秋晴れの休日、久々に横浜に出向くことにした。

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 午前10時過ぎに家を出て、私鉄とJRを乗り継いで石川町で下車、スタートはイタリア山庭園の【外交官の家】の予定だった。しかし持ち前の方向音痴の本領発揮?で、目的地に行きつけない。早めの昼食をとった店で聞いたら、かなり離れてしまっていることが分かった。

店を出て急な坂道を息を切らしながら上がって進むと、フェリス女学院大学前に到着、案内地図で道は分かったが、ここからイタリア山庭園まで戻るとかなりの時間ロスになるので次回に持ち越すこととして、山下公園方面へと向かった。



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# by nene_rui-morana | 2017-12-27 19:46 | 近郊散策 | Comments(0)

[見学日] 2016年5月28日(土)


[会 場] Bunkamura ザ・ミュージアム



 前回、見学を終えて会場をあとにする時は名残り惜しくてならなかった。

本展覧会には展示替えはなかったので、表記は正しくはない。内容からして自分が足を運ぶのが一度で済むわけはない。長期間が経過しすっかり忘れていたが、当日は静嘉堂文庫美術館の展覧会『よみがえる仏の美』を見た後に会場に向かったことを、本稿を記すにあたって確認した。

今回も、国貞作品はタイトルの後にSを、国芳作品はYを付記します。



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# by nene_rui-morana | 2017-10-15 18:44 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

★二幕目の三 楽屋裏素顔夢想(オフステージ)

 本稿で何度か記してきたように、自分が歌川国貞という浮世絵師に魅せられるようになった最初のきっかけは、江戸東京博物館の展覧会で多くの人々を生き生きと描いた中村座の楽屋絵に出会ったことだった。その自分にとっては、本章はまさに夢のコーナーだった。

 【ふき屋町市村座大入りあたり振舞楽屋之図】【大坂道頓堀芝居楽屋之図】いずれにも、私の心を鷲掴みにしたあの作品と共通するオーラがあふれ、興奮で胸が高鳴った。先のコーナーで大型パネルが展示されていた【踊形容楽屋之図 踊形容開入之図】は色鮮やかな逸品、描かれたのは安政期、時代は不安定だが豊国を襲名した国貞は浮世絵界の第一人者として君臨していた。

 歌麿画を彷彿とさせる【楽屋錦絵二編 十枚之内】は、四人の役者をクローズアップして描いている。





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# by nene_rui-morana | 2017-10-04 16:44 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

[見学日] 2016年4月22日(金)


[会 場] Bunkamura ザ・ミュージアム


タイトルを見れば、自分が前後期とも本展覧会に足を運ばないことはありえない。某所でチラシを入手して以来、開催が待ち遠しくてならななかった。

受けた感動は並々ならぬものがあったが、その後自身に未曽有に近い災厄が降りかかった。責任は全て自分にあるのでいた仕方ないが、数年がかりでの復帰に取り組むことを余儀なくされた。そんなこともあり、アップがすっかり遅れてしまった。

作品後のローマ字は、Sは国貞作、Yは国芳作を表します。



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# by nene_rui-morana | 2017-10-02 18:34 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

 日野原氏のスライドトークをはさんで、この日も貴重な国貞作品鑑賞の機会を満喫した。

 国貞は、人物の個性等の他に、季節も描き分けていることが、居並ぶ作品から伝わってきた。


 大好きな【江戸名所百人美女】シリーズをじっくり鑑賞、本日も「よし町」が一層輝いて見えた。

【今様三十二相】シリーズの「気まヘかよさ相」は、他所で見て以来、大変気に入っている作品である。コマ絵の祝儀袋もキマっている。

本日も【時世江戸鹿子 隅田川木母寺】にはじっくり見入った。


 2Fへと上がり、ケースに入った【江戸名所百人美女】をじっくりと鑑賞した。「第六天神」「新大はし」の衣装の表現が素晴らしいと感じた。

 【風りう花暦 撫子】は描かれている玩具に注目した。

【時世百化鳥 風車にみゝづく】はタイトルのとおり、胴体部分に「壽」の字が書かれ目をパッチリ開いたコマ絵のみみづくがユニークである。画中の達磨(後ろ向きで鏡台に写る)、猫の玩具、引き出しに入る「美艶仙女香」、国貞は細部まで手を抜かない。

 【浮世人精天眼鏡 針仕事】は山東京山が詞書を書いている。

 【江戸八景 吉原ノ夜雨】、屋外に降りしきる雨が伝わってくる。

 【十二月の内 衣更着 梅見】、現在の東京スカイツリーに程近いあたりから国貞が活動していた柳島・亀戸にかけては梅林がひろがっており、満開の時期は文字通り花のパラダイスだったであろうことが想像できる。


展示作品を見て、制作年代もおおよそ見当がつくようになったように思う。後の時代のものほど、カラフルになっている。絵の具の質が良くなったのかもしれず、あるいは国貞(既に豊国襲名)の名声が確立して高級な絵の具が使用できるようになったのかもしれない。

 何度も繰り返し見た後、次の目的地、大規模な展覧会が開催されている渋谷へと向かった。


国貞が残した作品は膨大だが、歌麿や北斎に比べると国貞に特化した図録は少ない。その意味では、当館監修の『没後150年記念 歌川国貞』『歌川国貞 これぞ江戸の粋』が刊行されたのは、自分にとっては非常に嬉しい。これらをじっくり読み込みながら、国貞への注目がより高まり、再度開催される展覧会の鑑賞へとつながることを切望してやまない。


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# by nene_rui-morana | 2017-10-02 17:45 | Comments(0)

表記展覧会は期間が短く展示替えもないため、当初は再度足を運ぶ予定はなかった、しかし、大好きな国貞の展覧会でもあり、近くのミュージアムで開催される国貞・国芳の展覧会に足を運ぶことにもなったので、2016年4月22日に先ず太田記念美術館に立ち寄った。

 当日は金曜日、午前中は仕事に出て、午後は休暇をとった。

 会場近くで昼食をとった後、入館し、しばし国貞ワールドを満喫した。


 午後2時より、地階の部屋で学芸員・日野原健司氏によるスライドトークが催された。実は、これが再度当館に赴いた大きな理由の一つだった。

 しかし、超多忙な4月、午前中の勤務、昼食後の午後というシチュエーションは、講座を聴講するには最悪だった。恥ずかしながら、数分後には船をこぎ始め、貴重なお話を半ば夢の中で聴く羽目になった。長期間が経過し、記憶も曖昧になり、正確でない部分もあると思いますが、当日メモした内容を列記します。


●(弟子の歌川国周が描いた死に絵【三代目歌川豊国肖像】を紹介して)当時の国貞は、人気・業績共にトップでした。


●(国貞の画業を紹介して)彼が得意とした役者絵・美人画が、当時の浮世絵の王道でした。


●(弟弟子の国芳と比較して)国貞はお高くとまって真面目、国芳は江戸っ子気質で権威嫌いといった特質があったようです。


●楽器、料理、幼児への慈愛、アウトドア、女性のしぐさや身だしなみ、人物の心の動き、等々、国貞は実に多くを描きました。今回の展示作品には猫などの動物も登場します。


●【松葉屋内 代々山 かけを にしき】は、髪型や衣装に注目してください。花魁と禿の打掛のデザインは烏と白鷺でペアルックです。


●シンプルな装いの町人も描いています。【江戸名所百人美女 薬けんぼり】のモデルの女性は、体を洗う糠袋をくわえています。


●【雪】のモデルはお歯黒をし、黒い御高祖頭巾をかぶり、柄入りの手拭いをマフラーのように巻いています。着物の柄の水鳥は、背景の隅田川を暗示しているようです。


●【当世三十貳相 世事がよさ相】は歯を磨いています。


●【当世美人合 かこゐ】のモデルは、当時人気のコスメ用品でコマ絵にも描かれている「美艶仙女香」で化粧に余念がありません。着物の柄は椎茸の笠の裏側と松葉の組み合わせです。


●【当世三十貳相 あそびた相】のモデルは前髪にリボンを飾っていますが、これは10代前半の若い娘を表しています。立派な装身具から見ると、おそらく大店の娘でしょう。


 上記以外には、【星の霜当世風俗 蚊やき】について解説があったようである。また「梓客=版元」と当日のメモにある。いずれも内容については記憶がない。

 先述のとおり、半ば夢の中での聴講となってしまったが、貴重な指南となった内容もあった。


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# by nene_rui-morana | 2017-09-30 22:38 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

[見学日] 2016年4月10日(日)


[会 場] 太田記念美術館


 会場、テーマ、どこから見ても表記展覧会に自分が行かずにすむはずはない。開催を知ってから、4月になるのが待ち遠しかった。



 例によって見学から長期間が経過してしまったため、正確には記憶していないが、最初のパネルでは、歌川国貞が描いた当時のライフスタイル、ファッション、背景、アイテムなど、作品の見どころを紹介していたように思う。


 【松葉屋内代々山 かけを にしき】から展示はスタートした。

 【江戸自慢 仲の町燈篭】には我が酒井抱一がデザインした団扇が描かれている。両者の年齢差はちょうど親子くらいで活動拠点も遠くはない。少なくとも国貞が抱一の存在を知っていたのは確かだろう。個人的には、師匠の初代歌川豊国がある意味「兄弟弟子」となる抱一に会うために、雨崋庵か吉原に出向き、随行した若き国貞が抱一に対面するといったシチュエーションを想像している。

【時世江戸鹿子 隅田川木母寺】は墨田区内に今も残る「梅若寺」(場所は移転している)を描いたもの、国貞の活動拠点からも遠くない。本作品の季節は夏だが、雪景色が名物だったらしく、冬の木母寺を描いた作品を何点か見た記憶がある。



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# by nene_rui-morana | 2017-09-18 09:54 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

[副題]「ひとまねこざる」からアニメーションまで


[会場] 松屋銀座8階イベントスクエア



 地元の図書館のリサイクルコーナーで、忘れかけていたけれど忘れることのできない思い出につながる絵本を入手した。タイトルは『ひとまねこざる びょういんへいく』、第1版発行は昭和42年、2版は45年となっている。懐かしい思い出が胸をよぎった。

 遥かなる昔、幼稚園時代かそれより少し前、3歳年上の従兄から本書を含めた『ひとまねひざる』(原題 はCurious George )シリーズを何冊か譲り受けた。大変気に入り、何度も読み返し、その従兄の家に行く時に持参して分からない箇所を聞いた記憶もある。両親ともに地元出身で田舎がなく、また兄と姉がいない自分には、夏休みなどに伯母の家に行って従兄に会うのが大きな楽しみだった。

 往年の幸せなひと時を思い出しながら本書を読み返していると、数日後にNHKテレビでジョージの生みの親、ハンス&レイ夫妻の足跡をたどった≪おさるのジョージ誕生秘話 1735キロの大冒険≫が放映、続いて新聞掲載されている表記展覧会の広告を発見、何かの縁を感じて、足を運ぶことにした。

 8月18日の金曜日、会期終了が迫ったすみだ北斎美術館の≪北斎×冨士≫を見学した後(記事はいつかアップします、冷汗)、地下鉄で銀座へと向かった。

 会場の8階は、親子連れなどでかなり混雑していた。


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# by nene_rui-morana | 2017-09-17 18:08 | 展覧会・美術展(西洋編) | Comments(0)

鑑賞した展覧会2017

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# by nene_rui-morana | 2017-08-26 20:50 | 記事作成中(近日中アップ予定) | Comments(0)

春画展 第1期

[副 題] 世界が、先に驚いた。


[会 期] 2015年9月19日(土)~12月23日(水・祝)


[会 場] 永青文庫



 2013年から14年に大英博物館で開催された『春画展』が大きな反響を呼んだことを、美術関係雑誌で知った。その後に参加した2014年度の浮世絵学会で、国内でも開催の運びとなりつつあるとの情報を得る。

春画の芸術的価値は近年高まりつつある。最近の展覧会でも河鍋暁斎などが描いた春画が出展されていた。

 注目を浴びていた展覧会であることと、次回いつ実現するか分からないという理由により、足を運ぶことにした。都内での春画展見学は東洋文庫に次いで二度目となる。

 会場の永青文庫は、道中が坂なのに加えて4階建てなので、高齢者やハンディのある方には少々難儀かもしれない。チケット買いの行列も会場内も、かなり混雑し、係員に抗議する高齢男性の姿も見られた。



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# by nene_rui-morana | 2017-07-30 22:11 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

平尾昌晃さん ご逝去

 往年はロカビリー歌手として一世を風靡し、後には歌謡史を代表する名曲を多数作曲した平尾昌晃さんが、亡くなられました。享年79歳。


 自分が平尾氏の名を知ったのは「カナダからの手紙」がヒットした時でした。もちろん、その前から「よこはま たそがれ」「瀬戸の花嫁」などは知っていましたが、これらを作曲されたのが平尾氏だということ、かつてはロカビリー歌手だったことなどを知ったのは、それより少ししてからでした。


 ヒット曲は数知れませんが、個人的に最も心に残っているのは、10代の時に好きで見ていた藤田まこと氏主演の一連の「必殺シリーズ」の主題歌です。

中学生の時は土曜日の帰宅後に、(母がパートに出ていたので)妹と家事をしながら「土曜アンコール劇場」「ハリウッド映画大集合」とあわせて再放送を見るのが楽しみでした。高校時代は金曜日の夜に放映されていたと思います。当時の我が家にはビデオはなかったので、その時に見ないと次回のあてはない、文字通り「一期一会」の気持ちで時間をやりくりしました。

 「茜雲」「哀愁」「さざなみ」、一般の歌謡曲やアニメの主題歌に比べれば、これら必殺シリーズの主題歌は影が薄いかもしれませんが、自分にとってはかなり過酷だった若き日々の支えとなりました。当然ながらステレオもなかったので、テレビにラジカセを近づけてカセットテープに録音し、音が途中何箇所も切れるまで聞き続けました。

 ようやくプレーヤーを買ってから、まだCDの復刻もネットオークションもなかった時代、図書館で都内の中古レコードショップの案内をコピーして探し続けました。ようやく見つけた時の感激、しかし当時の自分が買うには余りにも高く、後ろ髪ひかれる思いで店をあとにしました。

 長い年月が流れ、CDを手にしたその日は、深夜まで繰り返し聴き続けました。それからしばらくして、全編が収録されたDVDも販売されました。


 父が若い頃に足を運んでいた喫茶店で、ブレイクする少し前の平尾氏が歌っておられて、テーブルで会話を交わしたこともあると話していました。出演されたテレビを見る度に「あの頃は気安く話していたけど、本当に有名になったな。」と言っていました。

 良く知られているように、結核で歌手生活の中断を余儀なくされたことが、平尾氏の人生の転機となりました。これがなければ、現代を代表する幾多の名曲は、あるいは誕生しなかったかもしれません。

 昭和の、自身の若き日の、父と過ごした日々の思い出につながる方が、また一人旅立たれ、自分の中でまた一つ幕が下りました。

 平尾氏の訃報に接した後、何度もコンビを組んだ山口洋子さんの時と同様、代表的な歌が次々と、自分の中を走馬灯のように駆け巡りました。


 つつしんで、ご冥福をお祈りします。


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# by nene_rui-morana | 2017-07-26 22:46 | Comments(0)

画鬼・暁斎 後期 

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         [副 題] 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル

        [見学日] 2015年9月4日(金)


        [会 場] 三菱一号館美術館



前後期で展示替えがあり表記展覧会、告知された時点で迷うことなく2度足を運ぶことを決心した。

 前回感銘を受けた作品、新たな展示、夢の暁斎ワールドを夢中で満喫した。



Ⅰ.暁斎とコンドルの出会い-第二回内国勧業博覧会-

 スタートの【東京名所之内 上野山内一覧之図】は、前期とタイトルも所蔵も同じだが別物らしい。

 コンドルの【上野博物館遠景之図】(東京国立博物館所蔵)は後期のみの出展、暁斎に師事する前か直後の頃の作品だと思うが、水彩画の優れた才能が遺憾なく発揮されている。



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# by nene_rui-morana | 2017-07-18 21:49 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(2)

画鬼・暁斎 前期 ②

Ⅴ.暁斎の画業

 天災絵師・河鍋暁斎の真髄が存分に味わえるファンにとっては涙もののコーナーである。自分が暁斎に魅せられるきっかけとなったのは諷刺画だが、本章にはそれ以外にも正統派?の肉筆画なども多数展示されていた。画題も作風もバラエティーに富んでおり、非常に見応えがあった。


1. 英国人が愛した暁斎作品

 本コーナーの展示は、アメリカの実業家チャールズ・S・スミスの旧コレクション、約100年ほど前に氏が亡くなり、メトロポリタン美術館に寄贈された。動物を描いた作品が多かった。

 思わず口元がほころぶ【牛と牧童図】【金魚と遊ぶ小童図】、後の作品の後方には主役?の小童が捕えたものか、亀が紐で岩にくくられている。

 ユーモラスな表情の【木菟図】、精悍な【小禽を捕える鷲図】など、入念な描写の作品に食い入るように見入った。ケースに入った各画の傍に、下絵も展示されていた。


2. 道釈人物図

 本コーナーには、鍾道や観音・鬼など、展覧会でもよく見かけるモティーフが描かれた作品が展示されていた。

 【毘沙門天図】は彩色鮮やか、描写も入念、18歳の時の作品と聞いて驚き脱帽した。

 対して【布袋の蝉採り図】は軽妙なタッチのモノクロ作品、こちらにも暁斎の真髄が感じられる。布袋様は童子のように可愛らしい。

多くの童子が描かれた【郭子儀図】も微笑ましい作品だった。

 

 下の階へと移動する。


3. 幽霊・妖怪図

 暁斎が描く怪物は、あるものは解剖学的に正確であり、あるものはユーモラスにデフォルメされている。後者は今日でも漫画のキャラクターや遊園地のアトラクションで通用すると思う。今回も百鬼夜行や鳥獣戯画などを楽しませてもらった。


4. 芸術・演劇

 暁斎が舞台道具の一部としての絵画を描いていたこと、能や狂言を愛し自身も狂言を学んでいたことを、今回初めて知った。

 【子供助六の股くぐり図扇子】には九代目市川団十郎の賛が添えられている。

 【河竹黙阿弥作「漂流奇譚西洋劇」パリス劇場表掛りの場】およびその下絵は、横浜浮世絵を思わせた。


5. 動物図

暁斎が描く動物は、しばしば人間のような表情をしている。同じ作品の中で、人物の顔はラフに描き、動物の方をより入念に仕上げているケースも多い。

生首をくわえる狼を描いた【月に狼図】は、9歳の時に川に流れていた生首を写生したというエピソードを彷彿とさせる作品だった。暁斎が生きた時代はまだニホンオオカミは絶滅していなかったから、実物を見ていた可能性もある。


6. 山水図

 他のジャンルに比べると暁斎の山水画は多くはないが、解説にあるように不得意だったわけではなく、戯作画や動物画が人気だったのでそちらにより多くの時間を費やした結果なのだろう。本章の展示はそれを物語っている。

 【霊山群仙図】は、暁斎が亡くなり未完成となっていた作品を娘・暁翠が仕上げたもの、過去に暁斎父娘の展覧会を見たが、暁翠も素晴らしい絵師だと感じた。葛飾北斎・応為と相通じるものを感じる。


7. 風俗・戯画

 このジャンルも暁斎の魅力が堪能できる。

 【書画展覧余興之図】は、自身も頻繁に参加しただけあり、臨場感が伝わってくる。同内容の作品を他所で見た記憶もある。


8. 春画

 近年、表記の展覧会がロンドンで開催されて大変な反響を呼んだ。これまでの日本では、このジャンルの一般向け書籍が大々的に宣伝されることも展覧会が開催されることも多くはなかったが、風景画や美人画と同等のれっきとしたジャンルで、名だたる絵師は全て手掛けており、佳作も多い。

 この分野の暁斎作品も、彼らしくユーモアにあふれ、非常に楽しい。

 【はなこよみ】は全12枚で、各月の行事や祭礼をテーマに描かれている。展示されていないが、入れられた袋には江戸の名所が記されているという。


9. 美人画

 フィナーレを飾るのは美人画、こちらも浮世絵を踏襲しつつも暁斎らしい画風が投影された秀作揃いだった。

【美人愛猫図】は上品で色鮮やか、本当に美しい。【極楽太夫図】(個人蔵)は以前に見たかもしれない、暁斎の代表作である。



≪感想≫

 自分にとっては大変価値のある、大好きな暁斎の展覧会だったで、受けた感激も並々ではなかったが、記事のアップはすっかり遅れてしまった。そのため、臨場感が薄れてしまった事実は否定できず、感銘を受けた多くの展示作品についても詳しく記すことはできなかった。

 展示作品はどれも素晴らしく、大変嬉しい内容の展覧会だったという事実だけは伝えたい。

 近年評価が高まっている暁斎に更に注目が高まり、今後も在外作品の御里帰り展覧会などが実現することを切望してやまない。


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# by nene_rui-morana | 2017-07-16 22:16 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

画鬼・暁斎 前期 ①

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       [副 題] 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル

       [見学日] 2015年7月24日(金)


       [会 場] 三菱一号館美術館


★プロローグ

学生時代に教わることがなかった河鍋暁斎という絵師を知ることになったきっかけは、偶然地元の図書館で見かけた図録、痛快な風刺画に若かった自分は急激に魅せられた。酒井抱一や歌川国貞よりもファン歴は長い。自分でも何冊か暁斎の画集を購入し、過去に何度か展覧会に足を運んだ。

一方、今回の準主役、ジョサイア・コンドルの名は、鹿鳴館やニコライ堂の設計者ということもあり、比較的早く知ったように思う。

両名が自分の中で結びついたのは、本展覧会にも多数出品している埼玉県蕨市の『河鍋暁斎記念美術館』で暁斎のファンに足を運んだ後だった。現地で見た限定販売の『暁斎絵日記』に大きな感銘を受け、高額で重たかったが購入した。解説の抜き刷りを参考に読み進めてコンドル(日記ではコンテルもしくはコンデエールなどと記載、一部の研究書ではコンダーと書かれている)の姿を発見し、「暁斎はこんな有名な外国人と交流があったのか」と少々驚いた記憶がある。

そのコンドルが設計した三菱一号館で開催される大規模な暁斎展の情報を得た時の感激と興奮は並々ではなかった。

※作品名の後に記入がないものは河鍋暁斎記念美術館所蔵です。



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# by nene_rui-morana | 2017-07-11 21:59 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

御見舞い

 九州北部を襲った豪雨で、甚大な被害がもたらされました。毎年のように繰り返される水害の報道に接する度に、地球の気象異常の深刻化が進んでいることを痛感させられます。

かつて旅行で訪れた地が災害に見舞われ、現地からの映像を見ると、とりわけ心が痛みます。今回も、旅行の醍醐味が分かりかけた頃に訪れた日田市では亡くなられた方が出て、久留米市でも一時避難勧告が出たようです。柳川を訪問した時は雨で市内の堀川の水が道路に溢れ、その先にある観光スポットの見学を断念した記憶がありますが、その後何度も同様の事態が発生したのでしょう。

 東日本大震災も、熊本地震も、完全復興はまだまだという状態にあって、次々と繰り返される天災、あらためて日本は災害の多い国だと思い知らされます。話題がそれますが、だからこそ、戦争などの人災は断固阻止せねばならないとも感じます。

 被災された方々に心から御見舞い申し上げると共に、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。


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# by nene_rui-morana | 2017-07-10 15:32 | Comments(0)

東京二十三区内のツバメ

 半月ほど前、近くのレストランで昼食をとった後、近所のビル1階の駐輪場から出ようとすると、頭上を一羽のツバメが屋外へと飛んで行きました。

 驚きながら「どこに巣が?」と見回すと、出入り口近くの天上の一角に発見、中にはひなが数羽、親鳥がエサを運んで来る度に大きな鳴き声をあげていました。

 都会のツバメが激減したとのニュースに何度も接しているので、こんな身近に新たな巣と命を見出し、けっして大袈裟ではなく感動しました。

 自分が子どもの頃、表通りの商店の軒先にはツバメの巣が何個かあり、春になると付近の電線には必ずツバメが何羽かとまっていました。しかし今は店もなくなり、生活圏内でツバメを見ることはなくなりました。

 記憶に残っている光景は四半世紀前のGWに津和野を訪れた時、多くのツバメが子育ての真っ最中で飛び交っていました。

f0148563_20545642.jpg 今回、巣を作ったのは屋内、オーナーさんの善意で撤収されずにすんでいるようでした。ここなら天敵のカラスにも襲われず子育てできそうだなと思いました。携帯で撮影しましたが、残念ながらブレてしまっていました。

 数日後に再び訪れると、既にほとんどのヒナは巣立ったようで、一羽だけ残っていました。この時もあまりいい写真は撮れませんでした。

 来年以降も再び会えることを楽しみにしたいと思います。


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# by nene_rui-morana | 2017-06-19 21:57 | 季節の風物詩 | Comments(0)

特別展 快慶

[副題] 日本人を魅了した仏のかたち


[会期] 平成29年4月8日(土)~6月4日(日)


[会場] 奈良国立博物館



 鎌倉時代の天才仏師・快慶は、今の自分には最高の御贔屓芸術家、都内や近郊でその作品が公開される時は可能な限り足を運び、その度に陶酔にひたった。

 その快慶の作品が一堂に集結した表記展覧会はまさに理想そのもの、東京国立博物館で入手したチラシには、過去に見たものから未だ作品名も知らないものまで魅力的な彫像写真が掲載され、興奮はピークに達した。ぜひとも、何としても、足を運びたいと思った。

 以前の自分なら、GWに何としても時間をつくり、奈良に足を運んだだろう。しかし、東日本大震災を機に生活は激変し、かつてはかけがえのない趣味だった旅行は現在の自分にはほぼ不可能となっている。

 それでも、限りなくゼロに近い可能性に望みをつないできたが、父が入院して以降に儚く散った多くの夢と同様、今回も叶うことはなかった。

 残念ながら東京への巡回はなさそうだが、未来に希望を託したい。


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# by nene_rui-morana | 2017-06-18 21:32 | 幻の展覧会 | Comments(0)

2-5あそぶ

 自身は全く嗜みはないが、最近の展覧会で香道に関心をそそられているので、【香道具 香札箱・銀葉盤】には注目した。

 ミニチュア好きの自分には、【ままごと道具(茶道具)】のような展示はたまらない。

 【双六「投扇興点式双六応用」】も、ゲームのやり方は分からないが見るだけでも楽しい展示だった。

2-6 いのる

 【縁起熊手】は、浅草寺裏での、おそらく現在も毎年ニュースで取り上げられる鷲神社の酉の市でモースが買ったもの、国貞の浮世絵の記憶と重ねて見た。

 【愛宕大神 御札】【護符など】も、自分には興味深い展示だった。

イラスト[仏教の墓、神道の墓]には、漢字も記入されている。モース自身が書いたのか、それともこの部分だけ身近な日本人に記入してもらったのだろうか。




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# by nene_rui-morana | 2017-06-06 21:27 | 旧展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)
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      [副 題] 江戸東京博物館 開館20周年記念特別展 

      [見学日] 2013年9月21日(土) 

      [会 場] 江戸東京博物館

 

 アップは前後してしまったが、表記展覧会は先にまとめた≪よみがえれ!シーボルトの日本博物館≫より先に見ている。長時間が経過したため展覧会を知ったいきさつは覚えていないが、おそらくはチラシかポスターを見て、現在の自分が最も関心をそそられる「19世紀の日本に関わった外国人」がテーマなので、即座に見学を決意したのだと思う。

 ※展示作品の次のローマ字は所蔵先を表します。

   P=ピーボディー・エセックス博物館、U=東京大学総合研究博物館、

   E=江戸東京博物館、M=ボストン博物館




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# by nene_rui-morana | 2017-06-04 15:50 | 旧展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)

2017年5月18日

 私事で恐縮ですが、本日また、年を重ねました。

 

 以前、多少身辺に余裕があった時は、誕生日が平日なら休みをとり、外出などして思い出づくりをしていました。父が病気になってからはそれも難しくなりました。本日は月に一度の絶対に休めない日のため、日中は普通に淡々と業務に取り組みました。本日限定のサービスもいろいろあったと思いますが、調べる余裕もありません。

 ただし、定時にあがらせてもらい、家族が買ってくれた大好きな薔薇の花を飾り、夕食はやはり好物のお寿司をいただきました。この後は少々奮発したケーキをいただきます。


 明日からも、当然ながら通常通りの勤務です。今週は土曜日も出勤です。

 近日中に会期が終わってしまう展覧会が何件かあるので、来週以降、調整をして足を運びたいと思います。ちなみに、本日は「世界博物館の日」、自分に相応しいなと思っています。

 あわせて、年度末の多忙で中断していた歯科医への通院も、早いうちに復活?しなければなりません。老眼も急速に進んでいるので、眼科にもお世話になりそうです。


 ともあれ、空襲から逃れ戦後の過酷な時代を生き抜いて命をつないでくれた天国の祖父母と父、そして難産で病気をもって生まれてきた自分を苦労して育ててくれた母に、心より感謝して、今日という日を過ごします。


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# by nene_rui-morana | 2017-05-18 20:30 | Comments(0)

第4章 ようこそシーボルトの日本博物館へ

待望のコーナーに胸が高鳴る。※本章の展示の所蔵は全てMFK

シーボルトの日本コレクションの展覧会は、アムステルダム、ヴェルツブルク、ミュンヘンで開催された。彼自身はこれを、しばしば「日本博物館」と呼んでいる。

 スタートは、「アムステルダム日本資料展覧会」の展示の再現、参考になった木工木版画によるイラストも出展されていた。【花鳥図衝立】の他、燈篭、仏像、香炉などを展示、【僧形坐像】は小さいながら非常に写実的で、モデルがいたのではないかと思った。

続いて、工芸品、日用品、模型、人形、僧侶の肖像、地図、書籍、等々、次々と目に入ってくる。シーボルトが直に目にした当時の日本の様子が伝わってきて、興奮は最高潮に達した。シーボルトの関連年表も展示されていて、鳴滝塾を開いた時は28歳だったことを知った。



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# by nene_rui-morana | 2017-05-15 21:30 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)
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    [会 期] 2016年9月13日(火)~11月6日(日)



    [会 場] 江戸東京博物館・1階特別展示室



 表記展覧会の特集番組がテレビ放映された時、国立歴史民俗博物館での会期は終了間近だった。自分にとっては大変魅力ある内容だったが、やや遠い千葉県佐倉市まで足を運ぶ余裕はなく、文字通り泣く泣く諦めた。

 それだけに、都内の江戸東京博物館に巡回すると知った時の喜びと感動は並々ではなかった。

作品名の後に記したローマ字は所蔵を示します。

S=SAB(フォン・ブランデンシュタイン=ツェッペリン家、シーボルトの子孫)

M=MFK(ミュンヘン五大陸博物館) 




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# by nene_rui-morana | 2017-05-13 17:25 | 展覧会・美術展(日本編) | Comments(0)
2017、私のゴールデンウィーク!

変則勤務で飛び石出勤があり、家庭の事情で遠出も出来ないため、例によって近所の展覧会に足を運びました。
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 少しですが、季節の花も見てきました。とても綺麗で心癒されました。
【亀戸天神・藤祭り】
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【上野寛永寺・牡丹祭り】
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# by nene_rui-morana | 2017-05-07 17:45 | Comments(0)

Ⅹ 首飾り事件

この事件は『ベルばら』に詳しく描かれているので、読者には良く知られている。

 展示作品【ルイ=ルネ・エドゥアール・ド・ロアン=ゲメネ枢機卿、ストラスブール大司教】により、ロアン大司教のフルネームと容貌を知った。他に、【ベメールとバッサンジュによる王妃の首飾りの正確な写し】などが出展されていた。

 半世紀ほど前に復元された問題の首飾りの複製も展示、真珠やダイヤをちりばめた豪華絢爛なジュエリーだが、これを好む人はあまり趣味が良いとは言えないと自分は感じた。貧乏人のひがみだが、首肩背中の筋力が衰えている自分はこんな重い装身具はとてもつけられず、頼まれてもつけたくない。

 宝石商ベメールが最初に営業?に赴いた時、「そんなお金があるならダイヤではなく軍艦が必要。」ときっぱり断っていることからも、アントワネットは母の政治力には及ばないにしても国家の現状を全く把握していなかったわけではないと思う。



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# by nene_rui-morana | 2017-04-30 22:00 | 展覧会・美術展(西洋編) | Comments(0)

[副 題] 美術品が語るフランス王妃の真実


[見学日] 2017年1月30日(月)


[会 場] 森アーツセンターギャラリー


同世代の多くの女子と同様、自分も『ベルサイユのばら』(以下『ベルばら』と略)と共に小中学生期を過ごした。単行本はもちろん全巻持っているし、宝塚の舞台もライブは1度だけだがテレビは何度か見た。中高は女子校だったのでクラス内でも『ベルばら』はずいぶん話題になった。年齢に沿って、マリー・アントワネットやフランス革命に関する書籍はずいぶん読んだ。

 マリー・アントワネットに関する展覧会には過去に2回見ている。最初は連載終了後間もない中学生時代に都内某デパートで開催された展覧会、この時は途中で亡父も合流した。2度目は時を経て今世紀の最初、こちらはほどなく人生最大級の悲劇に襲われたため直前の記憶が曖昧となり、後日身辺整理をした時にチラシや半券が見つかって行っていたことが判明?した。

 マリー・アントワネットの生涯と彼女が生きた時代は個人的には非常に興味をそそられるので、表記展覧会の情報を得た時は即座に見学を決定した。会期も開館時間も長いので比較的のんびり構えていたが、第4四半期に入って様々な用事がたてこみ、不測の事態もありえるので、時間が確保できた日に足を運んだ。

 当日は地下鉄で六本木に出た後、何度か利用した金券ショップでチケットを購入し、会場近くの店で昼食をとった。

 平日だったかなり混雑しており、チケットを購入していったのは大正解だった。会場の森アーツセンターギャラリーは高所恐怖症の自分は正直あまり好きではない。特に以前はロッカーも展示リストもなく不満を感じていたが、この点は現在は改善されている。



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# by nene_rui-morana | 2017-04-23 22:00 | 展覧会・美術展(西洋編) | Comments(0)

噫横川国民学校

少し時間が経過してしまったが、3月9日(木)放映の「昭和の選択」で、井上有一氏(以下「有一」と敬称略させていただきます)の表記作品が取り上げられた。個人的に大きな感銘を受けたので、感想等を記したいと思う。


 20世紀を代表する前衛書道家・井上有一(1916年~1985年)の名を、恥ずかしながら私は今回初めて知った。その生涯と偉大な業績については関連書等が多く出版されているので、ここには詳しく記す必要はない。

 【噫横川国民学校】は有一晩年の代表作、1978年に発表された。現在は群馬県立近代美術館が所蔵している。

 舞台は、昭和20(1945)年3月10日、当時の東京市本所区にあった横川国民学校、現在の住居表示は墨田区東駒形四丁目、東京スカイツリーに程近く、現地に今もある横川小学校では地元の学童が学んでいる。

 当時教師だった有一は前夜より宿直として校内に詰めていた。そこで、太平洋戦争下、特に甚大な被害がもたらされた戦禍に遭遇することになる。



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# by nene_rui-morana | 2017-04-17 08:15 | 東京スカイツリーの町から | Comments(0)

[会期] 2013年10月10日(木)~12月29日(日)


[会場] 石橋財団ブリヂストン美術館



 どういう経緯で表記展覧会を知り、足を運ぶことになったのか、その後にあまりに大きな出来事が多く発生し時間も経過したため、覚えていない。

 ギュスターヴ・カイユボット(1848年~1894年)は印象派を代表する画家だが、日本では駆け出しの頃の印象派を支援した富裕なパトロンとして知られている。自分もカイユボットに関してはこの程度の知識に加えて作品は【床削り】くらいしか知らなかった。しかし、表記展覧会の頃までにはテレビ番組で他の作品にも接し、関心をそそられていたので、日本初の大規模な回顧展という貴重な機会を逃すわけにはいかないと、大変な時期だったが何とか時間を作って会場に足を運んだのだと思う。

 鑑賞日時は正確には記録していないが、12月23日以降であるであることは確認できている。当日はけっこう混雑していて、チケットを購入するのに列に並んだ記憶がある。



Ⅰ.自画像

 最初の章には3点の自画像が展示されていた。カイユボットの自画像は数が少ないので、貴重である。



Ⅱ.室内、肖像画

 本章には、カイユボットの家族の肖像の他、彼と同じブルジョア階級の生活を伝える作品が展示されていた。

 家族や執事が登場する【昼食】は、手前の皿を真上の視点から描いている。

 【マルシャル・カイユボット夫人の肖像】は母・セレストの肖像、この作品が描かれた翌1878年に58歳で亡くなっている。

 モデルと同様に、描かれた調度や窓外の景観などにも興味をそそられた。



Ⅲ.近代都市パリの風景

 カイユボットが活躍した時代には写真が登場、都会の生活のひとコマを切り取りアレンジして描いた本章の作品は、後述する弟マルシャルと同様に彼も写真の影響を受けたことがうかがえる。大改造前の街の様子が手にとるように伝わってくる。

 テレビ番組でも紹介された【ヨーロッパ橋】【建物のペンキ塗り】【室内-窓辺の女性】などは自分も注目させられた。【パリの通り、雨】は、小林忠先生のお話によると葛飾北斎作品の影響を受けているという。

 また、印象派展のカタログ数点も展示されていた。



Ⅳ.イエール。ノルマンディー、プティ・ジュヌヴィリエ

 カイユボットは都市の風景の他に、自然風景も描いていて、こちらも心に残る。本章に登場するのは、イエールの11ヘクタールにおよぶ広大な庭園付き別荘や、そこに滞在していた夏季のバカンス時に見た水遊びなどの様子、後に邸宅を建てたプティ・ジュヌヴィリエの景観など、19世紀ブルジョワ階級の生活が伝わってくる。憧れてやまない有閑階級、水辺の風景は心和む。

【セーヌのプティ・ブラ、アルジャントゥイユ、陽光】【セーヌのプティ・ブラ、秋】【セーヌに係留されたボート】などの水面の表現は特に大変素晴らしいと思った。

 【向日葵、プティ・ジュヌヴィリエの庭】の、手前の向日葵と後方の建物の白壁は、少し離れて見ると印象派を思わせるものがあった。



Ⅴ.静物画

 静物画も描いていたカイユボット、【キンレンカ】はどこか酒井抱一の作品に似ているように感じた。



Ⅵ.マルシャル・カイユボットの写真

 カイユボットより5歳ないし6歳年下の弟マルシャルは、パリの官立高等音楽院(コンセヴァトワール)出身の音楽家、第Ⅰ章に展示されていた【ピアノを弾く若い男】は彼がモデルともいわれている。作曲も手掛けているが、恵まれた環境ゆえに、むしろ趣味の船遊び・切手蒐集・ガーデニングなどに重きを置く生活を送った。義兄の影響で写真を学び、近代都市パリとその郊外の姿や、家族や友人など身近な人々を多くの写真におさめた。

 本展覧会でカイユボットの貴重な作品と同様に特に関心をそそられたのが、このマルシャルと彼が撮影した写真だった。現在の自分にとって、この人の生活はまさに理想そのもの、労働の義務から解放されて趣味に没頭できる人生は自分には叶わぬ夢、心中に蔓延する羨望感に溜息をつきながら、展示を次々と見ていった。

初期写真は個人的には大変好きなジャンルなので、本章の展示も貴重なカイユボット作品と並んで自分にとっては魅力あふれるものだった。兄が見て描いた景観が、時代が、そこに広がっている。

 本展覧会を鑑賞して自分は、カイユボット兄弟に、やはり趣味に生きた徳川慶喜と弟・昭武と相通じるものを感じた。写真という共通の要素があったこともその思いを強くした。偶然にもマルシャルと昭武の生没年はほぼ同じ、同年生まれのゴッホは彼らより10数年早く世を去った。



★コレクション展示

 この日は、カイユボット作品とあわせて、当館の所蔵作品も展示されていた。本展覧会の少し前に印象派の展覧会複数に足を運んでおり、そこで感銘を受けたピサロやシスレー、シニャックらの作品に再会できて、大変嬉しかった。



≪感想≫

 先述したとおり「印象派のパトロン」としての認識しかなかったカイユボットが、19世紀フランスを代表する画家であることを多くの貴重な展示作品を通じて知ることができて、自分にとっては大変有意義な展覧会だった。彼が生き、描いた19世紀は今の自分が最も興味をそそられる時代なので、受けた感銘は非常に大きい。弟マルシャルが撮影した写真も自分にとってはサプライズであり、心躍る展示だった。

 本展覧会の開催期間中に父は手術を受け、会場に赴いた時は術後の療養中だった。手術前には危険を伴うことを告知されていたが、術後の経過は良好だったので、年明け後しばらくはやや楽観できる毎日だった。

 年度末には、看護の真っただ中に予想も希望もないまま突然告知され、月に数十時間のサービス残業を強いられる職場から異動の決まり、ようやく看護と仕事の両立に少し余裕が出来そうだと新たな年度をスタートさせた直後、父は突然旅立った。

 父の存命中に鑑賞し、過酷な日々の心の支えとなった展覧会の記事の多くが、まだアップできていない。現在は当時とはまた違った課題や責務を多く抱えてせわしない毎日が続いているが、なるべく早くまとめあげたいと思っている。


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# by nene_rui-morana | 2017-01-21 16:40 | 旧展覧会・美術展(西洋編) | Comments(0)

[見学日] 2017年1月7日(土)


[会 場] すみだ北斎美術館



 「すみだ北斎美術館」開館記念の表記展覧会は、前後期で展示の入れ替えがある。前期は開館日に足を運び、貴重な機会なので後期もぜひ見学しようと決心した。

 近年は正月2日からオープンする美術館等が増えており、正月ならではの催しもある。今年も冬休み中に一度くらい、どこかに足を運びたかったが叶わず、表記展覧会が2017年最初の鑑賞となった。

 少々迷ったが、当館は「江戸東京博物館」や「たばこと塩の博物館」にも近く、今後はハシゴ鑑賞する機会もあると思い、年間パスポートを購入した。

 まだ学校の冬休み中ということもあり、会場内は中学生以下も含めて、かなり混雑していた。

 常設展示室は今後の来館時にも見られるので軽く流し、企画展示を中心に見た。



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# by nene_rui-morana | 2017-01-14 17:48 | 東京スカイツリーの町から | Comments(0)

鑑賞した展覧会2016

     カテゴリのタイトルを変更しなければと痛感するこの頃です。

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# by nene_rui-morana | 2017-01-14 14:42 | 記事作成中(近日中アップ予定) | Comments(0)

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 表記は「すみだ北斎美術館」の開館記念展、一世紀近く行方不明になっていた幻の絵巻の他、当館が所蔵する数々の名品が見られるとあって、期待も並々ではなかった。

 開館当日の2016年11月22日は火曜日だったが午後は休暇をとって現地に赴いた。

 常設展を見た後に2階の展示室へと移動する。


序章|北斎のイメージ

 最初のコーナーには、北斎の伝記として有名な飯島虚心作【葛飾北斎伝】やその袋などが展示されていた。参考図版として、よく知られている溪斎英泉作【北斎肖像】や、常設展示の北斎アトリエの元となった露木為一作【北斎仮宅之図】のパネルも見られた。

【葛飾北斎像】の作者・伊藤晴雨は近年その名を知った墨田ゆかりの画家、かなり刺激的な作品を多数描いているが、展示されている北斎の肖像画は細部まで丁寧に描写され味わいがある。

 注目したのは天保13(1842)年版【当時現在 広益諸家人名録】、『中島鉄蔵』(記載は旧字体)の名が見られる。これが今日でいうところの戸籍上の氏名、北斎の本名なのだろう。



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# by nene_rui-morana | 2017-01-09 16:46 | 東京スカイツリーの町から | Comments(0)